表彰式後インタビューに答える五十嵐カノア Photo: THE SURF NEWS

銀メダルの五十嵐カノア、ISAとWSLのジャッジング差に戸惑いつつも「五輪の良い練習になった」とコメント

9月19日(水)、愛知県田原市の伊良湖・ロングビーチで『2018 アーバンリサーチ ISAワールドサーフィンゲームス』のグランドファイナルが行われ、日本代表の五十嵐カノアが銀メダル、村上舜が4位のカッパーメダルを手にした。

個人でも団体でも金」を目指していた五十嵐カノアは惜しくも金を逃したものの、日本代表として54年間の大会史上初のメダリストになった。

Photo: THE SURF NEWS

表彰式後のインタビューでは、本大会を主催するISA[国際サーフィン連盟]と、カノアが普段参戦しているCT[チャンピオンシップツアー]の運営団体WSL[ワールドサーフリーグ]のジャッジングの違いを感じていたと明かし、悔しさを滲ませていた。

「サーフィンの調子は良かったけど、ジャッジの評価は違ったみたい」

19日、表彰式後に行われた囲み取材で、五十嵐カノアは以下のように語った。

「ファイナルは波が少なく、チャンスも少なかった。試合は負ける方が多いものなので仕方ないけど、サーフィンの調子は良かった。でも、ジャッジの評価は違ったみたい。」

「ラウンド1の時から、普段自分が参戦しているCT(WSL)とのジャッジングの違いを感じていて、細かいテクニックが評価されにくいから、よりシンプルなサーフィンを心掛けていた。それでも、ファイナルだから難しいことをやってみたけど、あまり評価に繋がらなかった。」

ファイナルでの五十嵐カノア 4本のライディング

ISAテクニカルディレクター「基準の差はない。オリンピックもこの基準。」

ISAテクニカルディレクター エリック・クライマー氏 Photo: THE SURF NEWS

五十嵐カノアのコメントに対し、そのジャッジ基準について一般メディアからの注目も集まっていたが、ファイナルの翌日20日、ISAのテクニカルディレクターを務めるエリック・クライマー氏が、集まった報道陣を前にISAのジャッジング方針を説明。メンズファイナルヒート、五十嵐カノアのジャッジについて以下のように話した。

● 波のセレクトや全体構成も重要。波が小さい場合は、それだけ細かいところを見ていかなければならない。

● 例えば、同じ技をジャッジするにも、難しい波や大きい波で評価も変わる。

● ISAも(WSLと)同じ目線でジャッジしており、基準の差はない。オリンピックもこの基準となる。

クライマー氏自身はオリンピックのサーフィン競技にも深く関わっており、「オリンピックもこの基準でジャッジする」と説明。

ISAに限らず、世界統一基準のジャッジングを目指すサーフィン競技にとって、その採点方法の分かりづらさが課題とされているが、サーフィン協議に詳しくない一般メディアからも、2020年東京オリンピックに向けよりシンプルで明確な採点基準が必要なのではという声もあがった。

「オリンピックの良い練習になった。金は五輪にとっておきます。」

インタビュー冒頭では、グランドファイナルでの採点内容に悔しさを吐露したが、最後には「この大会はオリンピックの良い練習になった」とコメント。

「日の丸のパワーはモチベーションになった。チームのために金メダルは取りたかったけど、オリンピックにとっておきます。」と前向きに締めくくった。

カノアのヒートは特に多くの観客が取り囲んだ Photo: THE SURF NEWS

Photo: THE SURF NEWS

「Go Kanoa」Tシャツを来て応援する人々 Photo: THE SURF NEWS

「Go Kanoa」のうちわや旗も Photo: THE SURF NEWS

(THE SURF NEWS編集部)

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