QSランキングトップにトリプルクラウン獲得。
カリフォルニア出身の選手では史上初の快挙を同時に成し遂げてしまったグリフィン・コラピント。
サンクレメンテ出身の19歳、2018年のCTで一番期待されているルーキーの成功の理由に迫る。
グリフィンのCTへの挑戦は15歳の時まで溯る。
この時にCT入りの目標を4年後に定めたのだ。
ジュニア時代、2015年に大原洋人が優勝したハンティントンビーチでの『Vans US Open of Surfing』では同時開催のジュニアイベントで優勝。
この時の2位は五十嵐カノア、3位は新井洋人だった。
2016年にはQSに本格参戦して32位。
ハワイでも活躍してトリプルクラウンのハレイワでは強豪に混じって9位に入った。
ジュニアではパイプラインでの『Pipe Pro Junior Champion』で優勝。
世界一のジュニアを決める『World Junior Championship』ではイーサン・ユーイング(AUS)とファイナルを戦い、2位になった。
そして、飛躍の年となった2017年。
年初の『Volcom Pipe Pro』でファイナル進出の3位。
シーズン後半、ポルトガルのQS10,000『EDP Billabong Pro Cascais』で5位に入り、ランキングも大幅に上昇。
トリプルクラウンではハレイワで2位、サンセットで4位。
パイプラインではトライアルで敗退したためにメインラウンドには出場出来なかったが、同郷の先輩、コロヘ・アンディーノと僅かな差でトリプルクラウンを獲得。
QSではシーズン前半からトップを独走していたジェシー・メンデスを抜くことに成功した。
彼の成功の理由は大きく分けて3つ。
家族、コーチ、先輩の存在だ。
彼を支えた家族は、両親と弟のクロスビー、スポンサーの’Billabong’
彼の父は中学校の教師であり、同時に夏の間には「Poche」というビーチでサーフキャンプを運営している。
(今夏はシャークアタックの影響で閉鎖した日が多かった)
彼は子供の頃からこのサーフキャンプに参加して最初はボディーボードで楽しんでいた。
それは普通の子供がゲームを楽しむようなごく自然な感じ。
彼が波乗りを楽しむ原点であり、今でも大きな影響を与えている。
ここ数年で一気に注目を集めている選手の右腕となるコーチの存在。
グリフィンのコーチ、スネークことジェイク・パターソンはその中でもマイクロことグレン・ホールと並ぶ才能を持っている。
2年前、グリフィンはマイクロのキャンプに参加していたが、あるきっかけからスネークのアドバイスを受けるようになる。
スネークは元CT選手であり、現在は五十嵐カノア、レオナルド・フィオラヴァンティ、エゼキエル・ラウなど『Quiksilver』の若手のコーチとして手腕を発揮。
「5戦続けて最初のラウンドで敗退した時、スネークに何でも言うことを聞くからと助けを求めたんだ。その後、ブラジルのコンテスト前で聞いた彼のアドバイス通りにやってみたのさ。最初から自分の戦略は悪いと分かっていたしね」
それまでの彼のヒート戦略はサーフィンの才能に頼るだけのものだった。
しかし、スネークはその才能を最大限に生かす方法を教えたのだ。
「自分の戦略は基本的にアウトに出てベストを尽くすだけ。それだけで十分だと思っていたんだ。しかし、スネークと一緒にヒート中に何をすべきか考え、その通りに行ったら今までで最高の結果になったのさ。彼のアドバイスは重要だった。間違いなく、彼はカノアとレオ達と上手くやっている。あのチームワークが好きなんだ。本当に楽しかったよ」
スネークのコーチのポリシーは’楽しんでやること’
それがグリフィンとの相性の良さに結び付いているのだろう。
サンクレメンテ出身のCT選手で最も成功している先輩、コロヘの影響。
それはコーチよりも間接的ではあるが、決して過小評価は出来ない。
「彼は兄のような存在なんだ。一緒に旅をしたり、サンクレメンテでサーフィンしたりしているよ。彼と父のディノはいつも助けてくれる。今回のハワイでも彼らと一緒の家に住んで面倒を見てくれたのさ」
コロヘは2015年に苦しいシーズンを送り、CTではランキング25位。
QSからのリクオリファイという屈辱を味わい、オフシーズンにハードなトレーニングを積んで2016年は別人のような強さを身に付け、CTランキング4位に。
2017年も一時はタイトル争いに絡む活躍を見せ、新しい時代のタイトルコンテンダーとしてCTの中心人物になっている。
そんなコロヘのハードなトレーニングが形となって報われたプロセスを間近で見ていたグリフィン。
2018年は偉大な先輩と同じ舞台に立つことになる。
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