2015年夏に一般オープンしたウェールズ(イギリス)のサーフ・スノードニア。スノードニアは、ウェイブガーデン社の造波装置を使用したウェイブプールですね。
スノードニアのオープンを皮切りに、サーフランチ、Nランド(WSLに売却済み)、BSRサーフリゾート、中国のウェイブプール、サーフレイクスなど、デモ施設や商業施設問わず、数々のウェイブプールが誕生しました。
では気になるのが、今後のウェイブプール業界。そこで、ウェイブプールの動向に関する興味深いデータが研究者により発表されたとサーフメディア「The Inertia」が報じています。
ウェイブプール建設のブームは2038~2041年にピークに達し、2050年までにウェイブプールでブレイクする波数が海でブレイクする波数を超えることになる。
上記声明の裏付けとして、「WavePoolMag」による世界のウェイブプールマップをリンク付けしていて、世界では建設済みまたは建設予定のウェイブプールがすでに45個あるとのこと。
とても興味深い内容なのですが、果たして研究結果というものが真実であるのか?と言うのも、研究結果については参照先がなく、記事のカテゴリーは「コメディ」、ライターは顔写真がキアヌ・リーブスで名前が「ジョニー・ユタ」ですから(笑)。
(編集部注:言わずと知れたサーフアクション映画の名作『ハートブルー』の主人公がキアヌ・リーブスが務めるFBI捜査官ジョニー・ユタ)
ウェイブプールマップに関してはジョニー・ユタによるものではないのですが、実際に45個も現時点において建設済みもしくは建設予定なのかも少し疑問が残ります。
というのも、日本のサーフランチやパース(オーストラリア)のアーバンサーフなんかは、すでに建設が厳しいとの声も聞こえているものの、同マップには含まれていますし。
さらに言えば、すでに建設中止の発表されたサーフランチフロリダが残っていたり、いわゆるモダンウェイブプールにはカテゴライズされない日本の神戸レイーズが含まれています。
初耳だったのは中国の清豊エクストリーム・スポーツ・センターに建設されたウェイブプール。
「The Ghost Ship」と記されていて、同マップを作成したメディアが一部では同名で呼ばれているとのことですが、グーグルでフレーズ検索しても「The Ghost Ship」と呼称しているメディアは皆無でした…。
ただ、全てが作り話かと言うと、あながち可能性としては否定できないような内容にも思われます。30年も先の未来予想図ですから。
30年後のウェイブプールは自然との共生がカギ?
ウェイブプール競争激化という現状を見ていると、将来的にウェイブガーデン社がリーディングカンパニーである可能性は高いですが、より多くの会社が造波装置開発に乗り込んでくるはずですし、特に中国の参入も濃厚かと思います。
ただし、ウェイブプールのコンセプト自体が変わってくる可能性が多分にあるでしょう。発生可能な波数、波のクオリティ追求については変わらないと思います。
ポイントになるのは、「地下水位が高い」という理由からフロリダのサーフランチが建設中止となったニュースを見る限り、いかに自然と共生可能なウェイブプールなのかが重視視されてくることでしょう。
しっかりとプランを立てても建設不可能となれば、ウェイブプールに手を出す業者は減っていきますが、サーフ業界自体が日頃から環境問題と向き合っている現状を考えれば、自然環境を優先して建設中断するというのも自然な流れですし。
もはや、クオリティの高い人工波発生だけでなく、成熟してきたからこそ新たな局面に差し掛かってきたウェイブプール。どのような方向性へと向かっていくのか注目ですし、2050年にはどのような様相となっているのかも楽しみです。