あなたが11歳の頃の夢は?
子供の頃の夢は大きければ大きい方が良いと思うが、環境や才能によってその夢が叶えられる確立というのは高くなるだろうし、まして親が果てしなく大きな夢を叶えた人であれば、自然と道は開ける。
10年間戦ったワールドツアーから昨年引退したジョシュ・カーの娘、シエラ・カーは11歳にしてプロサーファー、プロスケートボーダー、プロゴルファー、全ての夢を実現出来る可能性を持っている。
更に『Roxy』の仕事としてPGA(プロゴルフツアー)のインタビュアーを堂々と務める姿はリポーターの才能さえもあると感じさせる。
WSLがジョシュの妻、シエラの母であるニッキ・カーにインタビュー。
二人の活躍を一番側で見てきた彼女の言葉は、アスリートに関わらず子育てをしている親の心に響いてくる。
■アスリートを育てるのに一番難しい点は?
断固とした態度をとり、絶対に譲らない。
その線引きをどこに置くかね。
まだ僅か11歳であることを毎日のように彼女に気付かせる必要がある。
その一方で、彼女が健康で幸せ、平和である限り、励ましてあげたい。
彼女は一人二役(笑)をこなしているんだと私は思う。
今の彼女は順調よ。
愛情がある清純な少女だし、まだテディベアと寝ているわ。
そして、学校、スポーツなど人生について情熱的で自己主張が強いの。
彼女はこれからの人生で何をしたいのか、何をするべきかをすでに理解している。
不可能だと感じたり、スローダウンすることも一切ないわ。
本当に負けず嫌いで、何かをしている時に自身が納得しない場合、達成するまで諦めないの。
自分の中で葛藤しているのよ。
私達は何かを押し付けたり、意見を言ったりはしない。
全て彼女自身に任せているわ。
■もっともやりがいがあることは?
彼女は常にポジティブ。
誰に対しても謙虚で良い態度をする素晴らしい性格。
そして、誰に対してもスポーツマンシップがあり、励ますわ。
彼女以外を応援している人や、彼女を知らない人が見ても気持ち良くなるような行動を自分自身で誇りに思って欲しい。
彼女がこの人生でストークしているだけで、私にインスパイアを与えてくれるの。
■現在、シエラがハマっているスポーツは?
それは頻繁に変わるの?
常にサーフィンが1番ね。
でも、ゴルフも僅差よ。
スケートボードも大好きだけど、最近低下しているかな。
私達は彼女自身に決めさせている。
彼女をプッシュしたり、何がしたいか質問したりする必要はないの。
逆に彼女が私達に聞いてくるわ。
もし、彼女が選ぶのであれば、毎日大好きな全てのスポーツを一つ一つやり遂げると確信している。
■シエラがもっと大人になった時、彼女はコンペティションに参加するでしょうか?
このままの彼女であれば、多くのスポーツでプロになり、チャンピオンにもなるでしょう。
■あなた自身はアスリートですか?
はい、そうです。
でも、何かの選手ではないわ。
私の両親は様々なスポーツに挑戦して欲しかったみたいね。
私は全てに全力を尽くした。
自分に合った全てのスポーツを好きになり、最低限のことは維持出来たわ。
いくつかのスポーツに関しては教えることも出来るわよ(笑)
■自分の子供が情熱を追い求めるために払った最大の犠牲は何ですか?
私は達成したいことが沢山あるし、それを抱えていたり、家族が夢と目標を成し遂げることが幸せなのよ。
ジョシュはまだ続けられるのに、家族との時間を過ごすためにコンテストに出場することを辞めたの。
全て理解したわ。
いつか近い内に私はやりたいことを達成するし、ジョシュも多くのことを達成するでしょう。
子供の情熱は私達の情熱でもあるわ。
■プロのアスリートは多くの旅をする必要がある。
家族としてそのことをどう考え、行動しますか?
家族での旅はハードだったわ。
非日常が続くの。
ジョシュはオーストラリア出身、私はアメリカ出身。
お互いがどこにいるかに合わせて移動していたの。
私には18歳になる息子が他にいるの。彼はスポーツ以外にも人生の目標を持っている。
シエラは多くのスポーツを追求して沢山の目標を持っているわ。
ジョシュは一年の内に何ヶ月もツアーを回る生活だった。
そんな私達が一緒に過ごせるように、そして一人一人のために尽くせるように努力していたのよ。
常に家族が一番。
でも、それは簡単ではないわ。
■ジョシュが引退した今、あなたの家族が求めることは?
それは素晴らしい質問ね。
私達は何度もその質問を受けてきた。
ジョシュはとてもエキサイティングなことに現在取り組んでいる。
私達はそれが計画通りに行くことを望んでいるの。
私達にとって恩返しはとても重要だし、何があっても継続して取り組んで行くわ。
10年にも渡ったワールドツアー引退後、2018年のジョシュはWSLの仕事を手伝う他、家族との旅を計画しているそうだ。
WSLの仕事を手伝うことは彼や家族にとっての恩返しであり、コンテスト以外での旅は例え同じ場所でも違う景色に見えることだろう。
そして、11歳のシエラは成功した父と愛情溢れる母の元で成長し、数年後には世界を代表するアスリートになっているのかもしれない。
それがサーフィンだけと限定するのはナンセンスだ。
Nikki Kerr on Raising a Pro Athlete
(空海)
COVER PHOTO:© WSL/Cestari