先日、お伝えしたジョン・ジョン・フローレンスの「Hurley」離脱のニュース。
2019年12月に親会社のナイキが投資会社のブルースター・アライアンス(Bluestar Alliance LLC)に「Hurley」を売却したことから始まり、2020年シーズンが始まる前のストーブリーグは過去に例を見ない大騒動になっている。
そんな中、2月7日に新生「Hurley」の管理会社が今後の戦略を記したプレスリリースを公開した。
新生「Hurley」は従業員56人のリストラを行い、その流れはアスリートにも及ぶことに…。
しかし、それは縮小傾向にあるサーフ市場で生き残るために広範なライフスタイル事業へシフトさせる会社の前向きな戦略でもあるようだ。
新しいCEOのジョセフ・ギャベイは「これは長期的な成長と計画のための非常に難しい決断だった。以前のビジネスモデルを継続することは出来ない。しかし、このブランドが持つ文化やそれを築いた人をリスペクトしていないという意味ではないよ。誰もこんな難しい決断はしたくなかったけど、’Hurley’が前進するためには必要だったんだ」と声明を出している。
ブルースター・アライアンスが「Hurley」を購入した理由は上層部が利益になると考えていたからだ。
それは投資会社として当たり前のことである。
創業者のボブ・ハーレーが思い描いていた未来とは違う方向に向かっているのだろうが、2002年にナイキの子会社になった時にすでに流れは変わっていたのだ。
新生「Hurley」は老若男女を問わず、より広い消費者に愛されるブランドに向かう。プレスリリースの内容は以下の通り。
「Hurley」は過去数年サーフ製品のみに焦点を当ててきました。これからは事業全体の軌跡を変えます。サーフィンを超えてスケートボード、スノーボード、ミュージック、アートに焦点を拡大しながら、「Hurley」のマーケティング戦略は開発しつつも適正なサイズに収めます。最終的には最高のライセンスパートナーを配置してライフスタイルブランドに成長させることです。
今後、急速に新たなライセンスモデルの事業に移行していきます。新たにメンズアパレル、下着、ソックス、ビーチサンダルのカテゴリーで『United Legwear & Apparel Co.』とライセンス契約を締結。
ウィメンズのアパレル部門では、『Hybrid Apparel』と共にこのカテゴリーを強化していきます。
もう一つの重要な動きは、スペイン・バルセロナを拠点とするヨーロッパ、中東、アフリカ地域の「Hurley」事業を、ナイキのフットボール部門で副社長兼GMを20年以上務めたデヴィッド・メイアと、Quiksilverとナイキの副社長兼GMだったハビエル・カレラが買収したことです。
彼らはヨーロッパ・中東・アフリカで新しい販売契約に基づいて事業を展開、全てのカテゴリーでビジネスを拡大した経験があります。
「Hurley」が今まで行っていないことの一つとして、流通モデルの変更があります。
より良い小売業を尊重することは私達の最優先事項です。最高の品質を保ち、当社が協力する小売業において現在の顧客層が離れることはないでしょう。計画的にはより広く成長して製品カテゴリーを多様化することですが、その意図は「Hurley」がサーフィンをこれから先も主要なリソースとしてあり続けることなのです。
「Hurley」が生まれたコスタメサはブランドの伝統と将来の発展を証明するものであり、グローバル戦略にとっても重要です。
コスタメサは当社のサーフデザインと開発のハブであり、現在の本社を中心に設計、生産、販売に90人以上の従業員を継続雇用しています。
「Hurley」の小売は引き続き成功を収めており、小売業が困難な状況でも力を発揮し続け、現在の小売業のリーダーシップはそのままにいくつかのポジションを追加。全体としては約320人のフルタイム及びパートタイムの従業員を雇用しています。
現在のチームは非常に貴重であり、顧客に提供するサービスと製品のレベルを店舗が強化することの保証を続けています。
ブランドのコアな部分のサーフィンについては、今年の東京オリンピックに出場するコロへ・アンディーノ、ジュリアン・ウィルソン。
その他、フィリッペ・トレド、カイ・レニー、コア・スミスなどのトップアスリート、ブランドアンバサダーがマーケティングとして含まれ、他のアクションスポーツのアスリート、セレブ、インフルエンサーを包括的にすることを目標としています。
今後数週間に驚くような契約も控えています。
サーフィンは依然として「Hurley」の最優先事項であり、ブランドの精神でもありますが、「Hurley」全体を拡大するには計画にいくつかの変更が必要です。
このシフトにより、最終的にはスター選手の本来の仕事外でのパートナーシップが可能になります。未来にとって重要な若いサーファー向けのプログラムや、コミュニティへの働きかけの重要性を強調したいのです。
アスリートのプログラムとビジネスは連携していないため、そこで生き残るためには変化が必要なのです。
新しい組織構造の下では、ブランドのDNAを尊重してコアな部分を’ぶらさずに’収益性の高い成長を加速することが可能になります。
若い層に焦点を当てて必要なリソースを展開し、ライフスタイルブランドとしての「Hurley」の国内及び国際的な拡大を目指します。
※Bluestar Allianceの2020年2月7日発表プレスリリースより抄訳
なお、ジョン・ジョン・フローレンスは新しいスポンサーはまだ決まらず、2020年シーズンの休暇を発表したカリッサ・ムーアも最新の動画を見ると「Hurley」のステッカーを剥がしている。
レイキー・ピーターソンは「vissla」のウィメンズブランド「sisstrevolution」への移籍が決定している。
(空海)