2月上旬、南極で2回立て続けに観測史上最高気温が記録され、シーモア島では気温が20℃を超えた。膨大な量の氷が存在する地域での温暖化は海面上昇など、地球全体に影響を及ぼす恐れがある。
今年2月6日に南極半島の北部に位置するエスペランサ基地で18.3℃が記録され、9日に南極半島東岸のシーモア島でブラジルの研究チームが20.75℃を記録した。いずれも前の最高記録より1℃近く高い。南半球の夏は終わりに近づいているものの、今後の更なる記録更新も否定できない。
南極半島周辺の気温は変動が特に大きく、2000年代に入ってすぐ平均気温が下がったものの、ここ10年間著しい上昇をみせている。WMO(世界気象機関)によると南極半島の北端は、地球上で最も温暖化が進んでいる地域の一つで、過去50年で約3℃上昇したという。南極半島西側の氷河は過去50年で87%が失われ、最近12年では特に加速しているという。
太陽の熱を反射する雪が一度解けてしまうとむき出しになった地面が熱を吸収し、気温の上昇や更なる雪解けを促進してしまう。大気圏の変化も観測されていて、エル・ニーニョや外洋の海流との関係も指摘されている。
世界の真水の7割が南極を覆う雪や氷に貯蔵されていると言われ、すべてが解けて海に流れたら海面が50メートル以上上昇するという計算も。海面上昇が進行すれば、世界中で海岸線が更に浸食され、砂浜がなくなるだけでなく、世界各地のリーフブレイクにも大きな影響が出てくるだろう。
国連の報告によると今世紀には30㎝~110㎝上昇する可能性が高く、人間がどのようにして温暖化防止に取り組むかで大きく左右される。南極の壮大な自然を守ることは地球全体を守ることに直結する。地球に住む人ならだれもが他人事ではない話だが、サーファーにとってはなおのこと軽視できないニュースだ。
地球温暖化や海面上昇の影響、私たちにできることについてまとめている記事は以下より。
(ケン・ロウズ)