ステファニー・ギルモアと五十嵐カノアをヨーロッパレッグから密着した「All In」のシーズン2。
「WSLスタジオ」と「Red Bull TV」が製作したドキュメンタリー番組もいよいよ大詰め。
ポルトガル戦でフランス戦よりも順位を上げた両者は最終戦のハワイへ。
エピソード4はマウイ島のホノルアベイとオアフ島のパイプラインが舞台。
特に今回はステファニーの姿がフィーチャーされている。
ステファニー・ギルモア マウイ戦 5日前
ウインメンズCT、最終戦の舞台はマウイ島のアッパーウエストに位置する世界有数のライトのポイントブレイク「ホノルアベイ」
コンディションが決まれば他の島からもサーファーが押し寄せ、常に混雑しているスポットだ。
2019年からカナダのトレーニングウェアブランド「lululemon」がスポンサーとなった『Maui Pro』
ステファニーはここで過去4度の最多優勝記録を持つ。
ヨーロッパレッグで8度目のワールドタイトル獲得の可能性が消滅してプレッシャーから解放されたステファニー。
コンテスト5日前にはツアーの仲間、メイシー・キャラハンと電話でお喋りしながら彼女の似顔絵をiPadに描く。
数日後にはホノルアベイという自然が創った美しいキャンパスに自らがラインを描くことになる。
世界中を巡っているステファニーでさえ「地球上で最も魔法のような波」と称するホノルアベイ。
「私達にとってクリスマスプレゼントみたいなものよ」とも話す。
加えて一年の大半がメンズと併催されるコンテストと違い、マウイ島ではウィメンズが単独で行われるため、集中出来るそうだ。
マウイ島の沿岸にはホノルアベイの他にも良質の波が点在する。
素晴らしい人に美味しい食べ物があるローカルショップ。
つまり、ここは天国のような場所なのだ。
五十嵐カノア マスターズ 9日前
五十嵐カノアにとってルーキーイヤーにファイナルに残ったパイプラインマスターズは特別だ。
コンテスト9日前。
ステイ先はパイプラインの目の前で、コーチのスネークことジェイク・パターソンやチームメイトとの共同生活。
朝食にシリアルを食べながらの話題は翌日に20ftまで上がる波の予想。
目標の年間ランキングトップ5入りのために入念に調整をする。
コーチのスネークは、「彼は才能だけに頼らず、ハードなトレーニングを積んでいるよ。バリ島で優勝した翌朝7:30にはジムでトレーニングをしていたね。みんながコンテストのために来る前に目標をこなしてしまうのが印象的だったよ」とカノアについて話していた。
ステファニー・ギルモア マウイ戦 2日前
ウィメンズサーファー界の頂点に立つステファニーはコンテスト以外にも様々な仕事をこなす。
2019年からスタートしたガールズサーファーを育成するプログラム「Rising Tides」もその一つ。
サーフィンを愛する若い女性と共に海に入ることは自身にとっても素晴らしい経験だ。
五十嵐カノア マスターズ 8日前
パイプラインマスターズが始まる8日前。
カノアは両親と共にリラックスした時間を過ごす。
このパートは日本語なので、ぜひ見て欲しい。
ステファニー・ギルモア マウイ戦 初日
今年のホノルアベイはウェイティングピリオド後半に入った冬のウネリと共に開幕。
「ウイルス感染後疲労症候群」により約2年休んでいたタイラー・ライトが復帰したことも大きな話題になっていた。
今回のステファニーのモチベーションはホノルアベイでの5度目の優勝。
強いトレードウィンドの影響でラフなコンディションでも彼女の優雅なサーフィンは一貫としていたが、R3で腰を痛めてしまった…。
本来なら棄権して家に帰り、リハビリするような痛みだったが、親友のニッキ・ヴァン・ダイクのリクオリファイのために次のRound of 16でニッキとランキングを争っているシルヴァナ・リマを倒す必要があった。
この時からモチベーションは親友のために変わり、見事に勝利した。
ステファニー・ギルモア マウイ戦 最終日
通常、ウィメンズだけのイベントの場合、コンテストは2日間で終わる。
腰の痛みを抱えながら翌日には最終日を迎えることになった。
最終日、最初の対戦相手はQFのキャロライン・マークス。
ヨーロッパレッグでタイトルの可能性を打ち砕いたアップカマーとの勝負はコンペティターとして非常に重要であり、キャロラインにとってもここで負ければカリッサ・ムーアにワールドタイトルを奪われることになる大切なヒートだった。
パーフェクトコンディションに恵まれたこの対戦。
強い自信がみなぎる最年少17歳のキャロラインのバックサイドとツアー最年長31歳、ステファニーの力強いフロントサイド。
ロッカールームでカリッサが二人の勝負を見守る中、僅差でステファニーが勝利した。
ヒート終了後はキャロラインとハグを交わし、カリッサに感謝を伝えられる。
次のSFで対戦するステファニーとカリッサ。
「次のヒートは譲ってくれる?」とステファニーはジョークを飛ばしていた。
キャロラインにリベンジを果たした後、ステファニーのフォーカスは新しいワールドチャンピオン、カリッサを倒すことに変わる。
程よいプレッシャーと平穏な気持ちはステファニーのサーフィンが高みに至る材料になった。
更にライバルの刺激によってカリッサもアグレッシブとなり、シーズン最高の名勝負になった。
マウイ戦 ファイナル
SFでカリッサを倒したステファニーはシーズン2度目のファイナルへ。
2019年最後の対戦相手は復帰したタイラー。
応援団の声援を受けながらリズムを崩さずに夢のような波に乗り続けた。
タイトルレースからの脱落、腰痛。
期待していなかったCT通算31勝目、ホノルアベイでの5勝目を手に入れたステファニーはカメラの前で最高の笑顔を見せた。
次回、「All In」のエピソード5はパイプラインマスターズでの五十嵐カノア。
目標のトップ5入りなるか?
(空海)