THE SURF NEWSでは、7都道府県に緊急事態宣言が発令された4月7日から、
サーフィン自粛に関する海外と国内動向をまとめた記事「サーフィンも自粛するべきか。海外動向と日本国内の現状」内で読者アンケートを実施中。4月12日までに2401人(うち有効回答者数2152件)が回答した。
サーフィン自粛に対して、初めは「個人の判断でよい」とする風潮が強かったものの、緊急事態宣言後初の週末となる4月11日~12日にかけて、外出やサーフィンを自粛する人が増加する傾向がみられた。
4月7日から4月12日までの回答状況を以下にまとめた。
Q1.現在、仕事はどの様にしていますか?
「完全テレワーク中」と「一部テレワーク中」を合わせると32%。「テレワーク対応できないため仕事に出ている」との回答は59%だった。
厚生労働省とLINE株式会社が行った「第1回 新型コロナ対策のための全国調査」(回答期間4月5日~4月6日、回答数2453万人超)によると、 「仕事はテレワークにしている」の回答は5.6%だった。
株式会社パーソル総合研究所が行った、全国約2万人の正社員を対象としたアンケートでは、テレワーク実施率は13.2%。スポーツ報知が行ったアンケートでも、テレワークをしている人は17%との結果だった。
これらの一般的なアンケートと比較すると、TSN読者の間では比較的テレワークが進んでいると見てよいだろう。サーファーは世間よりオフィスワーク率が低く、テレワークに切り替えづらい職種に就いているイメージがあるが、意外にもサーファーはテレワークが進んでいる結果となった。
Q2.現在、外出をどの程度していますか?
期間合計の値はグラフの通りだが、日別でみてみると、徹底派は7日時点で14%だったが、12日には23%に増加。逆に、多少外出する派は7日時点で25%だったが、12日には19%に減少していた。
これは、徐々に外出自粛傾向が強まっていることの表れといえるだろう。
Q3. サーフィンをしますか?
「混んでいない場所でする」または「普通にする」と回答したサーフィンする派は58%だったのに対し、「自粛する」派は26%と半分以下の結果になった。
ただ、緊急事態宣言直後の2日間(4/7~8)と、週末の2日間(4/11~12)を比較すると、自粛する派は23%から35%に増加。逆にサーフィンする派は、59%から51%に減少し 、4月11日~4月12日の週末にかけ、サーフィン自粛ムードが強まったと考えられるだろう。
当初は「サーフィンする」派が過半数だったが、4月7日の緊急事態宣言後も各地のサーフポイントはこれまでと変わらず混雑しており、週末を前に危機感を感じた全国の自治体や各地のNSA支部等がこぞって来訪自粛要請や駐車場閉鎖などの対応を実施。
駐車場が閉鎖になったポイントから、周辺エリアにサーファーが流れることは容易に想像でき、週末の間にも周辺一帯の駐車場が続々と閉鎖になっていった。この流れを受けて、 自粛ムードが一気に加速した。
また、サーフポイントの実態としては、一宮エリアをはじめ、週末駐車場が閉鎖されたポイントでは地元住民も含め海に入っている人がごくわずかだったのに対し、千葉南方面や湘南などで駐車場が通常営業していたポイントでは、通常と同じかやや少ない程度にサーフィンをしている人が一定数いたことが分かっている。
駐車場閉鎖により、他エリアに人が流れることを心配する声もあったが、駐車場の閉鎖はサーフィンの抑止に一定程度効果があったと言えそうだ。
Q4 . サーフィンを自粛すべきと思いますか?
「絶対に全員が自粛すべき」または「個人の判断とはいえ自粛に協力すべき」と答えた自粛賛成派は31%と半分以下だった。
一番多かった回答は、「行き帰りや混雑を避けるなど配慮を条件として個々の判断で良い」の64%。
Q3 と同様に4/7~8と4/11~12を比較すると、自粛賛成派は28%から40%に増加。逆に、配慮すればよい派は66%から58%に減少し 、ここでも4月11日~4月12日の週末にかけて自粛ムードが強まった傾向が見てとれる。
Q3とQ4は同様の傾向があった一方で、Q3の「自粛する」とQ4の「自粛すべき/協力すべき」を比べると、後者のほうが回答数が多かった。
この差は、各所の自粛要請は、海に入ることを制限するものより、サーフィンのために移動を減らすことに重点が置かれていることから、沿岸部在住の人とそうでない人などの立場に寄って回答が分かれたとの推測ができる。つまり、ローカルサーファー自身は海に入るが、他県からのサーファーは来てほしくないと考えている人が一定数いる等の事情が考えらえる。
また、「むしろ自粛すべきではない」と回答した人が3%おり、日別でみてもその回答割合にほぼ変化はなかった。自粛ムードが強まる中でも、むしろ自粛するべきでないと考える人が一定数いるという点にも注目したい。新型コロナ鎮静化後のサーフィン業界の経済を心配する声もあれば、サーフィンは免疫力向上につながると考えている人も一定数いる模様だ。
「サーフィンを自粛すべきと思いますか?」
この問いについては、様々な立場から様々な意見が出ている通り、なかなか明確な答えはでないが、上記アンケートの結果を、違う見方から考えてみたいと思う。
Q4の「サーフィンを自粛すべきと思いますか?」の結果は、「個人の判断とはいえ自粛に協力すべき」または「行き帰りや混雑を避けるなど配慮を条件として個々の判断で良い」と回答した“個々の判断派”が91%を占めるとも読み取れる。
これは、外出自体に罰則があり、逮捕者がでている海外の一部の国・エリアに比べて、日本では比較的緩く、要請レベルであるということが表れているだろう。
しかし、海外がどのようにビーチ閉鎖やサーフィン禁止に至ったかについても触れておきたい。
例えば、カリフォルニアでは、3月19日に州知事令として自宅待機命令が発令され、ヘルスケアを含む“必要不可欠な行動”は許可されていた。当初はそれほど閉鎖しているビーチの数やエリアは多くなかったが、発令後も週末のビーチは変わらず混雑する状況を受けて、徐々にビーチ閉鎖の動きが強まった。閉鎖されたビーチでサーフィンしようと試みたサーファーが逮捕される事例が数件報告されている。カリフォルニア以外にも、オーストラリアや初期のイタリアでも同様の動きがあった。
必ずしも日本と海外が同じ道筋をたどるとは限らないが、日本でも週末にポイントが混雑する状況を受けて駐車場が閉鎖された例は複数ある。自粛要請後、実際にどの程度のサーファーが海に集まるのか、またその際の行動が、今後の展開を左右する可能性は大いにあるのではないだろうか。
まとめ
・サーファーの間では意外にもテレワークが進んでいる
・外出自粛傾向が徐々に強まっている
・4/11~12の週末にかけてサーフィン自粛ムードも強まった
・その背景に各地での来訪自粛要請と駐車場閉鎖の対応がある
・Q3「自粛する」とQ4「自粛すべき/協力すべき」の回答数の差は立場による違いか
・海外ではビーチの混雑状況をみて徐々に閉鎖が増えた
・今後海にどの程度サーファーが集まるのか、その際の行動が今後の展開を左右する?!
事態宣言が発令された都府県をはじめとする都市部から人が押し寄せている状況ついて、高齢者が多く医療機関も少ない地方はかなり危機感を募らせており、各地域から悲痛の叫びが届いている。
各自治体・行政機関等からの指示や、NSA各支部をはじめ各サーフィン団体から出ている要請を確認のうえ、仮に海に行く場合であっても各所の要請内容を尊重し、地元住民への配慮をした行動を願いたい。今後のアンケート結果は、後日公表予定。
(THE SURF NEWS編集部)
全国のサーフィン自粛要請や駐車場閉鎖情報は以下にまとめています。随時更新いたします。
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