サーフボードの素材と言えば、昔から一般的なPUことポリウレタンや、強度と軽さが特徴のEPS(エクスパンダブルポリスチレン)が主流。
今回紹介するのは、五十嵐カノアを始め、ジョーディ・スミス、カイ・レニー、チッパ・ウィルソンが乗っている黒いサーフボード、「Dark Arts Surfboard」
このボードの特徴はEPSにカーボンファイバークロスを組み合わせ、EPS以上の強度と軽さ、そして高性能を実現させたこと。
キャッチコピーは「早くて強くて軽い」
黒という他とは違うルックスもあり、これから日本でも人気が出る可能性がある。
(まだ日本で扱っている代理店はないようだ)
その前に少しだけこの異色のサーフボードの知識を得ておこう。
Dark Arts Surfboardの歴史
「Dark Arts Surfboard」の創設者はメインシェイパーを務めるJTことジャスティン・テルネス。
18歳の頃にグラッシングから始まった彼のシェイプ人生は、途中サンディエゴでパンクロックのベーシストを務めるなど異例。
その腕前は確かで、ラスティ、チャンネルアイランドなどの業界をリードする老舗と協力、ステュー・ケンソン、ハンク・ワーナー、クリス・クリステンソンと一緒にサーフボードビルダーとしての世界を追求して2001年にシェイパーとしての道を歩み始めた。
2006年にはFirewireのマネージャーに就任して専門知識を急速に吸収しながら新しいサーフボードの製作方法を模索。
Firewireに入ってから数年後、コスト軽減のために工場をタイに移したのをきっかけにサンディエゴのジャマルにサーフボード工場を建設し、現在のEPSとカーボンファイバークロスを組み合わせたサーフボードを完成させた。
これまで沢山のサーフボードにグラッシングをしてきたけど、品質に満足したのはこのカーボンボードだけだよ。
JT
2018年、南カリフォルニアで築き上げ、CTサーファーが愛用するまで成長した「Dark Arts Surfboard」
これまでのサーフボードビルドの伝統に疑問を抱き、サーフィンのパフォーマンスを向上させるだけではなく、丈夫で長持ちするという環境問題を抱える今の時代に合った技術を完成させた。
3名のシェイパー
現在「Dark Arts Surfboard」には、JTの他、二人のシェイパーがいる。
2018年にジョーディ・スミスの父、グラハム・スミス。
2019年にはジョン・ジョン・フローレンスが幼少の頃から乗りつづけているジョン・パイゼルが「Dark Arts Surfboard」のシェイパーに加わった。
Dark Artsの職人技はネクストレベルさ。一緒に仕事出来て嬉しいね。彼らとの共同作業により、ボードが進化していくのが楽しみだよ。
ジョン・パイゼル
私は45年以上サーフボードを作り続けてきたけど、このようなカーボン構造との融合を見たことがなかったよ。ハイエンドの仕上がりと造形、職人技が際立ったこの精度を實現するのは困難だね。大量生産が乱立した現代、技巧と機能性を兼ね備えた製品を見つけるのは難しい。最初から最後まで職人技にこだわるこのベンチャーの一員であることを嬉しく思う。
グラハム・スミス
(空海)