Photo: WSL / JP Van Swae

シェーン・ドリアンが語る「サーフィンと人生」

シェーン・ドリアン。ケリー・スレーターやロス・ウィリアムスに並んで90年代初頭にニュースクール・サーフィンを世に知らせた一員。11年間CTで戦ったのち、フォーカスをビッグウエーブに変更し、ジョーズなどのブレイクをパドルで攻める先駆者のひとりだ。2005年以来は数々のビッグウエーブのアワードを獲得。現在は家族と生まれ育ったハワイのビッグアイランドに住み、弓矢で野生の有害鳥獣などを食肉のために取るハンティングにも挑戦している。

47歳になった今、サーフィン界のレジェンドが長年パフォーマンスの限界に挑戦して、また2児の父としての経験や知恵を米Surfer誌で語った。


あまりに大きく、強烈な波に乗ってしまったら、もう満足してビッグウエーブを止めてしまう可能性は多いにあると思う。

毎年冬になると「今年が最後かな?」と自分の心に問いかける。しばらく(ビッグウェーブから)離れた今、過去にジョーズやマベリックスで乗った波を振り返ると、その経験を超えることはないだろうと思ってしまう。必要以上に危険を冒すことは無責任で自己中心的だというふうに思うようになる時は来るだろう。ここのところ、いろいろと責任が増えてきているからね。

ジョーズでのモンスター・チューブを超える波はあるのか? Photo: WSL / Aaron Lynton

そんなにたくさんのサーフボードはいらない。

無駄の多いことをしたくないし、埋め立て行きのごみを増やしたくない。世界一エコな生活を目指しているわけではないが、新しいボードを注文するたびに必ず後のことを考える。

美しい環境と瞬時につながることができる意味では、ハンティングもサーフィンも同じ魅力を感じる。

自然に囲まれているのはハンティングの醍醐味の一つ。自分で狩りをして、無駄がないように解体するのも大好きだけど、ハンティングに行く理由としては世界中の山や森に囲まれたいという理由が9割だ。 

動画でドリアン一家の生活を覗く

初心者であることは楽しい

長いこと何かを極めてきたからこそ、新しいことを始める楽しさがある。今はハワイの山間地に住んでいるが、ここに来る前は一度もハンティングに行ったことがなかった。引っ越してすぐはイノシシが家の周りを荒していたので、ハンティングに詳しいお隣さんにお願いして教えてもらった。新しいことを学ぶのはすごく新鮮だ。

ビッグウェーブのサーフィンもハンティングも忍耐が肝心

ハンティングをしていて、一度も矢を弓に射らずに数日過ごすことがある。大物に忍び寄って、すごく撃ちたいのに角度が悪く撃てない時がある。自制心を持ち、ものすごく取りたい動物が目の前から歩き去るのを見るのは忍耐が必要。ビッグウェーブも全く一緒。ジョーズで4時間入っていても、一本も波に乗らずに上がることもある。サーフィンもハンティングも忍耐と倫理が必要。

ジョーズでみがいた忍耐が多くの賞につながった Photo: WSL / Kelly Cestari

サーフィンへの熱意は時間と共に変わる

個人的に一番大きい波に乗ることや、年間の順位はもうそんなに大事ではない。今は自分の子どもたちと一緒に海に入ることや、家族でビーチに行くことの方がストークする。

バックドアを攻め続けることでついたあだ名、シェーン・バックドリアン Photo: WSL / Kelly Cestari

いくら自分の子どもにサーフィンをやって欲しくても、それはかなわない時もある

親として、自分の子どもがやりたいことを応援することが大事だ。サーフィンをして欲しいと思うこと自体は悪くない。だって、サーフィンって人生においてものすごく大事なことだから。でも、子どもがやりたくないなら、無理やりは押し付けられない。

シェーンの息子、ジャクソン・ドリアンも一流のグロメッツ

自分の子どもとサーフィンするのは超えられない最高な経験だ

ビッグウェーブに乗るより、自分の子どもとサーフィンをする方がよっぽど好き。世界一好きなことだ。

ケン・ロウズ

*この記事は米Surfer誌の記事「Lessons on Living and Surfing From Jaws Lord Shane Dorian」より抜粋して紹介しました。

この記事に 関連するタグ

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。