東京五輪オフィシャルサポーターの「Yahoo! JAPAN」は、12月1日、『東京オリンピック・パラリンピックガイド』内で、サーフィン日本代表・前田マヒナの特集コラムを公開した。
2020年11月に千葉県一宮町釣ヶ崎海岸で開催された『第2回ジャパンオープン』で優勝し、五輪最終選考会である『2021 ISA ワールドサーフィンゲームス』への出場権を獲得した前田マヒナ。
この特集では、幼少期から、世界トップに君臨したジュニア時代、そして今に至るまで、前田マヒナのサーフィン人生を改めて振り返る。その他にも、ブラジリアン柔術「Ginastica Natural」やその師匠キッド・ペリグロ氏との出会い、登録国籍の変更にまつわるCT選手タティアナ・ウェストン・ウェブとの思い出など、意外と知られていない前田マヒナの一面を紹介している。
本編は以下より
≫ハワイ育ちのサーファー・前田が持つ侍魂 旧友との約束胸に「五輪で日の丸掲げる」Yahoo! JAPAN
THE SURF NEWSは、この特集制作にあたり取材協力。ここでは特集に載せきれなかったインタビューの一部をお届けする。(▼前田マヒナサイン入りプレゼントも実施中)
■THE SURF NEWSインタビュー
「コーチ、マネージャー、食事、トレーニング、そのすべてがきちんとオーガナイズできて、CT選手レベルの準備が整っています」
ジャパンオープンでの快進撃。去年は日本の小波に苦戦しているように見えましたが、この一年半を経て一皮剥けたように感じました。自分の中で何か変わったことはありますか?
コロナ禍はハワイに戻って過ごしていました。夏のハワイの小さな波で練習ができたのもよかったですが、それ以上にコーチを変更したことと、ビッグウェーブのためのトレーニングを通してメンタル的に成長できたのが大きいかなと思います。
それから、去年のジャパンオープンで負けたのが凄く悔しくて、板も全て変えました。志田でも結構練習できたのがよかったです。
去年は落ち込むこともあったけど、コロナ禍でホームのハワイに戻って体制を立て直すことができました。
CT選手はサーフィンが上手いのは勿論だけど、自分がサーフィンに集中し、最高のパフォーマンスを出すための環境をしっかり作っている。私は今、コーチ、マネージャー、食事、トレーニング、そのすべてがきちんとオーガナイズできて、CT選手レベルの準備が整っています。
2度のワールドチャンピオン、ジョン・ジョン・フローレンスにもコーチングをするロス・ウィリアムスを新たにコーチに迎えた経緯を教えてください。
最近まで、1988年のワールドチャンピオンのバートン・リンチと、マーク・アッケセンの2人に1年ほどコーチをお願いしていました。マークは試合にも殆ど出ていない人ですが、メンタル面でとても鍛えらえました。
私の考え方によりフィットする人を探していた時に、以前から習っているブラジリアン柔術の師匠キッドさんが、ジョンジョンのコーチも務めるロス・ウィリアムスを薦めてくれました。
キッドさんはロスのこともマヒナのことも知っていて、二人の考え方は合っているのではと引き合わせてくれました。ジャパンオープンの時、ロスはAbemaの映像が見られなかったので、毎日試合結果を送ってフィードバックをもらっていました。実は、ジャパンオープンの3週間前にコーチを変えたばかりですが、結果も出たし良い相性だったかなと思っています。
自身もインストラクター資格を持っているブラジリアン柔術の「ジナスティカナチュラル」。その師匠キッド・ペリグロさんは自分にとってどのような存在ですか?
キッドさんは昔からマヒナのことを知っていて、いい時も悪い時も見てきてくれています。師匠、友達、コーチ、メンター、お父さん、おじいさん……とさまざまな肩書があるんです。ジャパンオープンの時も、毎日ライブ映像をみながら応援してくれて、毎晩電話でサーフィンと関係ない話をして平常心を保って試合に挑むことがあできました。
「コロナ禍で試合がなくなって、どうしたらプロサーファーの仕事になるのか考えた」
コロナ禍で始めたというビッグウェーブのトレーニングについて教えてください。
コロナ禍で試合が全部なくなって、「プロサーファーとしてどうしたら仕事になるのか?価値を生み出せるか?」と考えました。そこで16歳の時にナザレに挑戦してから、周囲の人に「次はジョーズだね」と言われてたこともあってこの機会に挑戦してみようと思いました。
ビッグウェーブに挑むには、何もよりもまず強いメンタルが必要です。マーク・ヒーリーのもとで、息止めの練習に加え、呼吸の練習やメディテーションなどを取り入れたトレーニングをしました。
その結果、今は1分56秒息を止められるようになりました。ビッグウェーブでワイプアウトしても、実際息ができない時間はどんなに長くても30秒くらいなんです。だから何が起きてもパニックにならないこと、そのメンタルが一番大事なんです。
ビッグウェーブのためのトレーニングは「ジャパンオープン」でどのように活きましたか?
メンタルトレーニングや呼吸法は、平常心を保ったり、集中力を高めたりするのに役立ちます。だからビッグウェーブの為だけではなくて、日本の小波での試合のためにもなります。「ジャパンオープン」でも、考え方やルーティンの内容は少しチューニングしましたが、ウォーミングアップの時にメディテーションをしたりと役立ちました。
あと、ジャパンオープンの時は編み物をしていました。ステイ先のK-Ohanaで編み物キットをもらって、日本に入国後2週間の隔離期間中に始めたんです。マフラーを編むと集中力が高まり、嫌なことも忘れられて、周りからは「これからもずっと編み物すれば」と言われました。今のところ作ったマフラーと帽子は穴だらけなんですけど(笑)
去年のWSG2019ではCT選手と当たるヒートも多く、敗退した時の悔しそうにしていました。今年改めてWSGへの出場権を獲得できて、どんな気持ちですか。
実は、去年負けてから、そんなに重要な大会だったんだと気づいたんです。でも、今年の方が選考基準の高いイベントだからエルサルバドルで頑張ります。去年は40%くらいの実力だったけど、今年は100%で挑みます。五輪の出場資格を取るだけでなく、ゴールドメダルを取りに行きます。
「登録国籍を変更して悔しいこともあるけど、サーフィンに対してよりポジティブな気持ちで取り組めるようになった」
2018年に登録国籍をハワイから日本に変更した時に、周りからの反対や迷ったりしたことはありますか?
変更する前ハワイの友人達に相談したらみんな「変更すれば」と言って認めてくれていたので、特に心配はありませんでした。
だけど悔しい思いがあるのも確かです。地元のサンセットでの試合に参加できないこともあって、自分のホームで私はここでサーフィンを覚えたのにって思うこともあります。特に今年はCTにサンセットが加わるから余計に悔しいです。
でももっと早く変更すればよかったというくらい、嬉しいことの方が多いです。日本では多くのスポンサーさんがサポートしてくれて、サーフィンに対してポジティブに取り組めるようになって、本当にありがたいです。
サーフィン界ではここ数年で男女の賞金平等化をはじめ、女性の地位向上について様々な取り組みがされています。日本を代表するウィメンズサーファーとしてこの流れはどんな風に思いますか?
WSLが世界で最初の男女賞金の平等化の決断をしてとても嬉しかった。ウィメンズにもやっとチャンスが巡ってきたと思った。アメリカは平等じゃないから、他のスポーツにも例として示せると思う。
人間のなかでセパレーションはない。これまで女子の実力が低いからって言われてきたけど、それは賞金が平等じゃないから努力しきれない、全てを注ぎきれないということだと思う。最初から平等だったら、めざしてたはずだし、男子だって超えてた。賞金は平等だけど、まだスポット数は大きな開きがあるから、これは改善していかなきゃいけない。
「goalとexpextationは違う。他人からの期待を背負うのではなく、自分が心から目指したいものを見つけること」
SK-Ⅱ“美は競争ではない”のキャンペーンがとても印象的でした。ウィメンズサーファーのボディイメージについて感じることはありますか?
日本は人のルックスに対して口出しをすることが多いと思う。アメリカではあまり言われないけど、日本では「マヒナは痩せてない、太ってる」と言われることがよくあります。
私は言われたら怒るけど、日本には他人に言われたことをそのまま受け入れて自信を無くしてしまっている女の子が多すぎると思う。みんなスペシャルなんだから、もっと自信をもっていいはず。
SK-Ⅱは、モデルとしてのマヒナじゃなくて、アスリートとしての前田マヒナを受け入れて理解してくれている。これは競技にも言えることですが私が大事にしているのは「goalとexpextationは違う」ということ。
他人からのexpectation(期待)を勝手に感じて「こうしなきゃ、こうでいなきゃ」と変なプレッシャーに感じるのは良くない。自分が心から目指したいgoalを持っていれば心から楽しんで取り組めます。「自分は王様になれる」そういう気持ちで考えてます。
では自分にとってのgoalとは?今の前田マヒナが考える自身の将来像を教えてください。
様々な世界で影響力のある人になりたい。QSやCTを回り続けるようなことはしたくないんです。これはライフワークではなくチャンピオンになるための通過点。もっと言えば、ワールドチャンピオンになったあとも、何度もタイトルを取りにいくのではなく、そこから様々な世界を広げていきたいです。
今はオリンピックでゴールドメダルを獲ることと、ワールドチャンピオンになることが一番の目標で、その先どうするかはまだ分かりません。だけど、私が小さい時ハワイで色々面倒見てもらったので、将来は日本でキッズサーファーのサポートにも力を入れていきたいです。
自分の口からは言わないが、貧しい国に行く時はスペアボードを持って行き、サーフボードを買う余裕がない地域の子供たちに渡したりもするという前田マヒナ。ISAワールドサーフィンゲームス、五輪、ワールドチャンピオン、そしてその後の更なる活躍を期待したい。
本編は以下より
≫ハワイ育ちのサーファー・前田が持つ侍魂 旧友との約束胸に「五輪で日の丸掲げる」Yahoo! JAPAN
前田マヒナ
1998年2月15日 ハワイ生まれ。
2014年、国際サーフィン連盟、世界プロサーフィン連盟のジュニアタイトルをダブルで獲得。
チャンピオンシップツアー昇格を目指し、2018年QSランキング14位。2019年15位。
2020年『第2回ジャパンオープン』優勝。2019年〜2020年サーフィン日本代表。
取材協力:K OHANA’S
(THE SURF NEWS編集部)
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