そう思いながらも、なんだか重い腰が上がらない・・・そんな方も多いのでは。その一つの理由が、野球やサッカーといったスポーツと異なり、多くの人がサーフィンの基礎知識や基本的なルールを知らないことにあるのかもしれない。
今回は、これからサーフィンを始める人や、始めたばかりの人に抑えてほしい、サーフィンの超基本のルール&マナーを紹介。
信号も標識も審判もない海では、ひとりひとりが共通のルールやマナーを把握し守ることで、海の上の秩序が保たれている。もしあなたがルールを知らなければ、あなたはもちろん、他のサーファーにも危険が及ぶ可能性も。これらのルール&マナーを頭にいれてから、サーフィンを楽しもう。
▼目次 1.駐車マナーを守ろう 2.ゴミは持ち帰ること 3.天気図・波情報をチェック 4.体調・コンディションを整えておく 5.潮の流れを把握する 6.もしも沖に流されたら 7.ゲッティング・アウト時のマナー 8.ボードを離した場合の危険性を知る 9.サーフィンのルールを厳守しよう 10.ルールを守りつつ臨機応変に |
初心者必見!サーフィンのルールと基礎知識 ~海に入る前~
1.駐車マナーを守ろう
各地のサーフポイント周辺で、後を絶たない問題の一つが迷惑駐車。駐車違反が原因で、サーフィン禁止に追い込まれたポイントもあるほど。迷惑駐車が原因となり、車へのいたずらや車上荒らしに遭った例も報告されている。
駐車場がないポイントでも、地域住民や通行車両に迷惑のない駐車を心掛けることはもちろん、アイドリングストップや騒音などについても配慮しよう。
2.ゴミは持ち帰ること
海というフィールドにお世話になるサーファー自身が、海にゴミを捨てていくのはもってのほか。海の周辺は、サーファーが率先してゴミを拾い、その環境を保っていきたいもの。
砂浜やその周辺では、ローカルサーファーや地元の方々の協力により、定期的に「ビーチクリーン」が開催されている場所が多くあるため、できればこういった活動にも積極的に参加したい。
3.天気図・波情報をチェック
波情報サービスの普及によって、リアルタイムに詳しい情報が手に入るようになった昨今。しかし、天気図や潮見表が読めれば、現状のコンディションだけでなく、今後の状態がどうなっていくかを予測できるようにもなる。
初めのうちは波情報の「概況・予想」といった解説状況を参考にしながら、徐々に自分なりに予測して動けるような知識もつけていこう。自分の予想通りにコンディションが変化していくことを実感するのは、興味深く面白いことでもある。
4.体調・コンディションを整えておく
サーフィンは持久力を要するハードなスポーツ。できれば普段からトレーニングしておき、筋力、体力をつけておこう。海に入る前日は、しっかり睡眠をとることも重要。
また、海に入る前は必ずストレッチして体の柔軟性を高めておき、怪我の予防も心掛けたいもの。ストレッチすることで、血液の循環が良くなり、疲れにくくなる効果もある。ストレッチする際は、反動をつけず息を止めないようにして、使用する筋肉や関節の稼動域をゆっくり伸ばすのがポイント。海から上がった後も、ストレッチするのが理想的。
初心者必見!サーフィンのルールと基礎知識 ~海に入ってから~
5.潮の流れを把握する
特に波が大きい日や横風の強い日は、カレント(潮流)が発生しやすくなる。消波ブロック(テトラ)や堤防の周りには、複雑で強い流れが発生するため、初心者は近付かないようにしよう。
また、海に入ったら沖から岸を振り返って陸上の目標物を見つけておき、自分のポジションがカレントに流されていないかを確認するクセをつけよう。自分が周囲にいるサーファーが波待ちしている位置と自分の位置を比較して、沖に流されていないかも確認しよう。
6.もしも沖に流されたら
サーフィン中にもし沖に流されたら、その流れに逆らわずに、横(岸と平行)にパドリングして、カレントから抜け出そう。元の場所に戻ろうとしてカレントに逆らって泳いでも、カレントが強い場合は体力を消耗するだけ。パドルや泳ぎに自信がある場合は、イラストのように岸寄りに斜めに向かって進もう。
また、波が割れていない場所ほど、沖に向かうカレントが強いことも覚えておこう。その日のコンディションを見て、初心者に厳しそうな場合は無理して入らないことが大切。
7.ゲッティング・アウト時のマナー
沖へゲッティング・アウトするときには、ライディングしているサーファーの邪魔をしないように注意しよう。波に乗っているサーファーを避けるには、そのサーファーの背後となる、波のピーク側(イラストの○方向)へ避けてあげるべき場合が多い。サーファーの進行方向を横切るように沖へ向かう(イラストの×方向)場合は、危険が伴う。
また、自分が乗っている場合も、パドルしてくるサーファーにぶつかりそうな危険を感じたら、早めにライディングを止めよう。
8.ボードを離した場合の危険性を知る
サーフボードをむやみに手から離し、後ろへ流してしまうのは危険行為。ボードの長さが約2メートルの場合、リーシュも約2メートルのため、後方約4メートルの範囲が危険にさらされることになる。最悪の場合はリーシュコードが切れる可能性もある。その為、止むを得ずボードを後方に流す場合は、必ず後方に人がいないかを確認しよう。
また、他のサーファーによるこのような危険を回避するためにも、水中から顔を出す際は、写真のように頭を手でカバーする習慣をつけよう。
9.サーフィンのルールを厳守しよう
全世界共通のルールが「ワンマン・ワンウェイブ」。つまり1つの波に乗れる定員は1人まで。基本的にはその波のピーク(一番最初に波が割れるところ)に一番近く、かつ一番先にテイクオフした人に優先権がある。
ピークから乗ろうとしている(または乗っている)サーファーがいるにも関わらず、そのショルダー側(進行方向側)でテイクオフすることを「前乗り」または「ドロップイン」と言い、完全なルール違反になることを覚えておこう。
10.ルールを守りつつ臨機応変に
基本的には波に乗っているサーファーに優先権があるが、目の前にゲッティングアウト中の人がいる場合は、テイクオフを控えるのも大切なマナー。また、自分がゲッティングアウトしているときは、基本的に波に乗っている人の進行方向を横切ってはいけない。
ただし波に乗っているサーファーの技量や波のブレイク次第では、避けた方向に向かってくる可能性もある。その為、基本ルールを守りつつも、実際にはその場の状況に応じて、臨機応変な対応がが必要なことも多い。
最後に「サーフィンは楽しい」
初心者にとって、自然を相手にするサーフィンは、海のことやサーフィンのルールなどこれまで知らなかったことも多く、もしかするとハードルが高いと感じるかもしれない。
そんな時は、スクールに参加したり、サーフィン経験が長い友人を頼るのも賢い選択。上記のような基礎知識を抑えておけば、むやみにサーフィンを難しく捉える必要もない。
なにより、サーフィンは楽しい。
立てなくてもボードに寝そべって波の勢いに押されるだけで楽しいし、立てたらもっと楽しい。海で朝日や夕日を見るだけで心が洗われるし、自力でテイクオフできるようになったら、それまで波に揉まれて耳や鼻に海水が入って痛くなったことも良い思い出だと思える。横に滑れるようになれば見たこともない景色が広がっている・・・
そんな瞬間があるから、人はサーフィンにはまっていくのかもしれない。
サーフィンの基礎知識とルールを覚えたら、さぁ海でサーフィンを楽しもう!
(THE SURF NEWS編集部)
取材協力・画像提供:波情報BCM