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ケリー・スレーターが総合格闘技関連のYouTubeチャンネルで自身の引退などについて語る

2022年のCTを最年長の50歳で回ることになるキング・ケリー・スレーターがシーズンオフに総合格闘技のジャーナリスト、エリアル・ヘルワニのYouTubeチャンネルに出演。
オンラインで1時間以上に及ぶ対談をして話題になっている。

その内容はサーフィン版・リアリティ番組『The Ultimate Surfer』、自身の引退、サーフランチ。
サーフィン以外にもMMA(総合格闘技)との関係、死、COVID-19についてなど多岐にわたる興味深いものだった。

そのいくつかを抜粋してお伝えする。

MMAとの関係は?

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8歳の時、フロリダ州ココアビーチでドン・”ザ・ドラゴン”・ウィルソンとテコンドーをやっていたんだ。
彼の母親がココアビーチに家を持っていて、良くここに来てトレーニングをしていたんだ。その関係で一年の半分、ここで道場を開いていたんだよ。
1980年か1981年だったと思う。初めてスペースシャトルが打ち上げられた時、私はビーチにいたことを覚えている。ドンは毎日ビーチを走っていたんだ。

そんなこんなで小さい頃から格闘技に親しんでいたのさ。
MMAの世界とは本当に縁がある。

柔術とMMAの世界の全てが本当に好きで、尊敬しているよ。
あの世界の技術の高さは、見ていて驚くばかりさ。
僕がこれまでずっと自分のことに熱中してきたのと同じように、自分のことに熱中している人たちを見るのが大好きなんだ。

実は子供の頃、よく喧嘩をしていたんだ。特に学生時代ね。
当時殴られるのは大丈夫だったけど、大きくなってからは、殴られるのが嫌になった。

ある時、喧嘩の最中にふくらはぎや太もも、お尻を蹴ったらその子が泣き出してしまったんだ。
自分も凄い悲しい気分になってもう喧嘩はこりごりだと思ったのさ。

死について

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溺死した友人が何人もいる。

ひどい話も結構あるよ。大きな波でサーフィンしている人は、たいてい死にそうな目に遭っているのさ。

怪我をするのは小波の時が多い。浅いリーフでの切り傷や、ボードが体に当たったり、色々なことが起こる。
波が小さいと、全てのエネルギーが一点に集中するし、リーフにもぶつかりやすい。サーフボードも遠くまで飛ばないから、自分にぶつかりやすいのさ。

死ぬかもしれないということほど、リアルなものはない。

その恐怖が強烈な集中力を生み、強烈な存在感を放つ。
それが、アドレナリンと危険に満ちたスポーツに人々を引きつけるのだと思うよ。

スポーツは自分が常にいるべき場所、つまり、自分が明確に存在して気が散らない場所に自分を導いてくれるんだ。

現実社会では携帯電話、情報、ニュース、その他もろもろの中毒になりやすい。
特にCOVIDについては誰もが最新の情報を知りたがっている。
ある種の危険や恐怖、自分が死ぬかもしれないという現実は明らかに引き込まれそうになる。
それは麻薬のようなものでもあるし、人間がドラッグにもたらすものと同じなんだと思う。

これまで数え切れないほどの友人が様々な原因で亡くなってきた。

自殺、溺死、殺人、麻薬の過剰摂取、癌など。

条件付きとは言いたくないけど、その周りの感情が分かるようになったんだ。
誰かが亡くなった時、それを体験し、その感情を乗り越える。
そして、人生は続いていくのだから、その人の良い面を思い出し、残りの人たちと良い時間を過ごすために、今を大切にしなければならないのだと実感するんだ。

引退ついて

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次が現役最後の年になると思っている。

もうすぐ50歳になる。
初めて世界タイトルを取ってから30年だよ。
6歳にサーフィンを始め、8歳の時に初めて大会に出た。

今でも学び続けなければならないと思っているよ。
もし、学んでいないなら、負けてしまう。
常に学んでいないと遅れをとってしまうのさ。

今、私が学んでいる人たちは基本的に年下だよね。
唯一恐れているのは、私がツアーを辞める前に名付け子がツアーに参加することかな。
彼は今15歳で彼の年では世界のベストだし、ツアー入りも遠くない。

年上のアスリートとして、若い子に行動や話し方、何かに取り組む姿勢に影響を受けたと言われれば、やりがいがあるし、人生で成功を収めたような気になるよね。

(空海)

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