米メディア『Surfline』で脇田貴之と息子、泰地のパイプラインについての特集が組まれた。
2月26日、週末土曜日のパイプライン。
脇田親子がここでセッションしたことは初めてではないが、その日のセッションは例えばキャッチボールする親子のような特別なものがあった。
世界で最も象徴的な波で繰り広げられた脇田親子のセッションとは?
Wakita: a Pipeline Legacy Story
脇田貴之とパイプライン
80年代後半からノースショアに通い始めている脇田貴之は2022年CT開幕戦で優勝したケリー・スレーターと同年代だ。
ノースショア、とりわけパイプラインのチューブに取り憑かれた彼は最終的にこの地に移住して経験を積む。
パイプラインでは特に危険な奥のピークを「ワキタピーク」「ワキタボウル」と呼ぶ。
それは日本人だけではなく、ノースショアローカルが口にするのだから、どれだけ彼がこの波に人生を捧げているかが分かるだろう。
その件について彼は「あそこは自分の場所ではないよ。親友のタマヨ・ペリーと一緒にサーフィンしていた時、いつも自分より奥のピークにいたことを覚えている。彼やデレク・ホー、マーヴィン・フォスターのような先人から学んだんだ。ローカルを尊敬しているよ」と謙虚に受け止めている。
「ワキタが生涯をかけてパイプラインで取り込んできたことを知っているよ。息子がその場所で本領を発揮する姿を見て、父親として誇らしいだろうと想像できるね」
マーク・ヒーリー
「パイプラインで息子とあのような波を共有できたことは言葉では言い表せないほど素晴らしいことさ。泰地はハワイで育ち、同じグーフィーフッター。彼はパイプラインでのサーフィンが大好きなんだ。それを共有できるのは素晴らしいこと。自分も大好きな波だからね」
脇田貴之
脇田泰地とパイプライン
2021年のJPSAショートボード最終戦で優勝するなど妹、紗良と共にコンテストの世界でも活躍する脇田泰地。
しかし、彼の根底にあるのは常にノースショアの波であり、偉大な父の存在だ。
「凄い楽しいけど、同時に恐怖心もある。父が危険なワイプアウトする姿を何度も見てきた。時々心配になるよ。自分の父があの危険なパイプラインでだよ。分かるでしょ?でも、良いライディングをした時は本当に嬉しいし、自分も波に乗ろうという気になるんだ。あの土曜日は父の方が先にパドルアウトしていて、友人から凄い波に乗っていたと聞いたんだ。だから、自分もアウトで特別な一本を待とうと考えたのさ」
脇田泰地
「泰地は16歳の頃から大きなパイプラインを始めたんだ。本当に心配だったよね。一緒にサーフィンしている時、気が付くと彼を気にかけている自分がいる。でも、最近は彼の方がコーチのように的確なアドバイスをしてくれるのさ。彼の言うことを聞いていると最高の波が来るんだ。だから、今はあまり心配していないよ。私達はとても良い関係。それは親子としてだけではなく、一人のサーファーとしてね。父親として息子とサーフィンするのは最高。この上なく幸せな気分なんだ」
脇田貴之
父の教え
「パイプラインについて父から多くのことを学んだし、今も学び続けている。まだ彼の境地に近づいてはいないよ。今は互いに学び合う関係でもある。父は常に先生であり、僕は生徒なんだ。今冬、彼が教えてくれたことで最高だと思ったのが、’パイプは人生のようなもの’という言葉さ。全ての波に乗ろうとすると本当に良い波が来た時に乗ることができない。準備をしてその瞬間を待つべきなんだ」
脇田泰地
『Surfline』ではVolcomハウスからのパイプラインの模様がLIVE中継されることがある。コンテストとは違い、ローカルやトッププロがひしめくこの場所で波に乗ることがいかに難しいことかがよく分かる。
(空海)