2021年、45歳で史上最年長ワールドタイトル記録を樹立したジョエル・チューダーだが、2022年はWSLへの要望の末、WSLのルール違反により出場停止処分を食らってしまい、WLTイベントにも姿を見せていない。
デヴォン・ハワードのWSLロングボードツアーディレクターの辞任と併せ、彼らは世界中の有望な若いロガーのためにやるべきことをやって表舞台から潔く去ったのかもしれない。
ジョエルに関してはハンティントンビーチでの『Vans US Open of Surfing』と併催されるWLT第2戦『VANS Duct Tape Invitational』で運営側として参加する可能性はある。
そんなジョエルがショートボードで言えば、ケリー・スレーター並にサーフボードにこだわっていることはご存知だろう。
何十年も乗ってきたドナルド・タカヤマのボードのシェイプルームで培った知識と歴史の移り変わりを見てきたことに加え、デビッド・ヌヒワ、ナット・ヤングが彼の師匠である。
重要なのはロングボードだけではなく、ミッドレングスなどのオルタナティブの世界でもジョエルが先人の知識を受け継いで舵取り役を担っていることだろう。
今回紹介する動画はLogRapを運営するライアン・キャノンの前でジョエルがナット・ヤングとの30年前のエピソードを話した後、1967年のナットのボードデザインにインスパイアされてオーダーしたノーコンケーブのロングボードに乗る映像だ。
ナット・ヤングがデビッド・ヌヒワを倒してワールドチャンピオンになったのは1966年なので、まさに全盛期にナットが乗っていたサーフボードに近いデザイン。
当時、10ft前後もあったサーフボードをナットは9ft台まで短くしてクリティカルセクションでのターンとノーズライドを披露してそれがのちにショートボード革命に繋がる。
つまり、サーフボードの歴史にとって重要な時代だったデザインをナットの弟子だったジョエルが2022年に蘇らせて夏のカリフォルニアで乗りこなすのだ。
(黒本人志)