7月9日(月)~16日(月・祝)の8日間にわたって、湘南・鵠沼海岸で行われた国内最大級のクロスカルチャービーチフェス『MURASAKI SHONAN OPEN 2018 supported by NISSAN CARAVAN(湘南オープン)』。
スターティングイベントとして、7月9日(月)から3日間に渡って行われたWSLのQS1,500『Murasaki Shonan Open』では、安室丈がQS初優勝を決め、大原洋人、新井洋人がベスト4入りした。
オリンピック新種目が大集結
毎夏、この鵠沼海岸を舞台に大盛り上がりを見せるこのアクションスポーツイベント。
今年は、BMXのコンテストも追加され、2020東京オリンピックの正式追加種目「サーフィン(ショートボード)」「スケート(ストリート/パーク)」「BMX(フリースタイルパーク)」の3競技が大集結した。
2020東京オリンピックでこれらのアクションスポーツが新種目として加わったのは、若者の“五輪離れ”を食い止めるためと言われているが、そのための施策として各競技会場の設備や雰囲気作りなども重要視されている。
「オリンピックの会場は野外フェスのような雰囲気を」
今年5月、国際オリンピック委員会(IOC)のキット・マコーネル競技部長は、2020東京オリンピックの会場や運営について「サーフィンの持つ競技性とカルチャーを融合させることが大切」「(波のコンディションにより)競技が中止になってもフェスは決行できる。」などと語った。
(参考:東京五輪のサーフィン会場など、野外フェスの雰囲気を=IOC競技部長|時事通信)
実際、7月18日には、オリンピック競技日程と共に、サーフィンフェスティバルが開催されることが公表された。
サーフィンフェスティバルの内容についてはまだ明かされていないが、先の報道によれば、マコーネル競技部長は大会組織委員会と「グリーンルーム・フェスティバル」の映像を見て方向性を共有したとのこと。また、スケートボードやBMXのイベントも行われる「USオープン」についても触れられている。
その点では、サーフィン・スケートボード・BMXのコンテストや音楽ライブが同時に行われた今回のイベントは、オリンピックの会場設備や運営の参考となる可能性も高いのではないだろうか。
そんな『MURASAKI SHONAN OPEN 2018』の会場風景をフォトレポートでお届けする。
湘南オープン会場MAP
『MURASAKI SHONANA OPEN 2018』の会場は、大きく分けて「ビーチエリア」「パークエリア」の2つ。鵠沼海浜公園スケートパーク(通称スケパー)を拠点とするパークエリアから、松波地下道前ポイントを拠点とするビーチエリアまでは、スケパーと134号線の間の遊歩道を歩いて5分ほど。ビーチ側からの出入りも可能だ。
パークエリア会場 詳細MAP
パークエリア内には、メインステージとなる「スケートボードステージ」のほか、BMXステージや、各種キッズ向けの体験ブース、飲食ブース、企業協賛ブースなどが設置されている。
ビーチエリア(松波地下道前)
WSLのQS1500(ショートボードのコンテスト)のほか、ロングボード招待制イベント、ボディボードコンテストが行われた。
パークエリア(鵠沼海岸スケートパーク)
スケートボードやBMXコンテストに加え、フィジークトライアル、音楽ライブ、ダンスショー、キッズ向けの体験会などが行われた。
メインのスケートボードステージ
パークエリアのメインステージ。15日(日)のオープニングセレモニーや音楽ライブ、ダンスショーケースなどもここで行われた。
BMXステージ
キッズ体験コーナー
イベント期間中は、キッズを対象とした、サーフィン・ボディボード・スケートボード・BMX・STRIDERの体験会が行われた。道具や参加費など全て無料。
フードブース
企業協賛ブース
“若者”で大賑わいの会場
日本人サーファーの平均年齢が30代、40代とも言われる中で、今回のイベントには10~20代の“若者”が沢山来場していた。それは、アクションスポーツ自体が若者から人気であることも理由の一つだが、それに加えて会場の「フェスのような雰囲気」が集客の要になっているように感じた。
彼らは、各競技のコンテスト観戦を楽しむ一方で、仲間とビール片手に皆で盛り上がること、フェスっぽい服を着ること、皆で写真を撮ることといった、その空間・時間を楽しんでいるように思えた。
課題はビーチとパークをどのように融合させるか?
そういう意味では、IOC競技部長が「野外フェス」のような雰囲気を求めたこともかなり頷ける。
今回のイベントでは、ビーチエリアとパークエリアの連携という点では、両会場にイベントフラッグが立っていたり、相互に会場案内看板が掲載されたり、スケートコンテストのMCでサーフィンにも言及したりと、運営側が一体感の醸成に腐心する様子は至るところで見受けられたものの、課題となる部分もありそうだ。
まず、サーフィン側の観点からすると、波のあった序盤の3日間でQS1500を行ったことは、選手ファーストという意味で最良の選択だったと言えるだろう。
とはいえ、開催日は平日ということもあり、大会期間中の人出はまばらといった状況で「MURASAKI SHONAN OPEN」のイベントセレモニーを前に、ショートボード競技の全日程が終了。その後の3連休に沢山の出展ブースやステージが完成し、多くの観客が集まっていたことを目の当たりにすると、やや残念な印象が残ってしまう。
また、その連休中にも、ロングボード/ボディボードの各コンテストが開催されたものの、大賑わいだったパークエリアに比べて、徒歩5分ほど離れた松波地下道前のビーチエリアは人出が少ない印象は否めない。大会会場の確保にいたっては、現地との調整や日程の確保など容易ではないことは想像に難しくないが、両会場の距離がもっと近ければと感じた方も多かったのではないだろうか。
湘南オープンの熱気をオリンピックにも期待。
しかし、今回『MURASAKI SHONAN OPEN 2018』には“若者”と呼べる人達がたくさん参加していて、会場にいる皆が熱狂していた。
私自身も例に漏れず、各ステージから繰り出されるパフォーマンスや会場の熱気に、終始興奮しっぱなしだった。
オリンピックでもこのような会場づくりがされれば、間違いなく集客につながるし、“若者”もオリンピックに注目することになると思う。
オリンピックに新たに追加された各種目の会場で、今回のような“熱”を感じられるのか?あと2年後に迫った東京五輪を楽しみにしたい。
(平野ハナ)