パリ五輪プロフィールシリーズの最後は日本代表、CT選手以外の注目選手を紹介する。
女子は2024年のCTタヒチ戦で優勝したフランス代表のヴァヒネ・フィエロがパリ五輪でも優勝候補の筆頭。
波のサイズが上がるほどローカルナレッジが活かされるだろう。
男子はローカルのカウリ・ヴァーストがヴァヒネよりも評価は下がるものの、CT選手を脅かす可能性が十分にある。
中国代表、最年少のスーチー・ヤンは未知数だが、五輪に出場すること自体が中国の同世代や次の世代のサーファーにとって大きな一歩となる。
ヴァヒネ・フィエロ Vahine Fierro
フランス代表
生年月日：1999/12/2(24歳)
身長：162cm
体重：45kg
出身地：フアヒネ島
フランス領ポリネシアのフアヒネ島で育ち、二人の妹と共に幼少の頃から両親にサーフィンを教わる。10代でタヒチ島に移住。14歳でコンテストに出場し始め、15歳で大手メーカーと契約を結ぶ。
10代からチョープーにチャレンジしており、最初は恐怖だったが、克服した後は「チョープーの波に乗ることは最高の感覚」と語った。
2018年にはチョープーの波で最高のバレルをメイクして米メディアのサーファー投票で「バレル・オブ・ザ・イヤー」を獲得。同年にオーストラリアで開催された18歳以下の世界一を決める『Jeep World Junior Championship』で優勝するなどビーチブレイクもこなすオールラウンダーでもある。
CTのタヒチ戦には2022年から出場。ジョアン・ディファイ、カリッサ・ムーアを倒して3位になり、大きな話題になった。2023年はステファニー・ギルモア、タイラー・ライト。再びカリッサを倒して3位に入り、2024年は遂に優勝と「チョープーの女王」と言われている。
2023年の『Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』で出場権を獲得。
同じフランス代表のカウリ・ヴァーストとは幼馴染でもある。
主な戦歴
2018年 『Jeep World Junior Championship』優勝
2022年 CT第10戦『Outerknown Tahiti Pro』3位
2023年 CT第10戦『Outerknown Tahiti Pro』3位
2024年 CT第10戦『Outerknown Tahiti Pro』優勝
2024年 CS第3戦『Ballito Pro』2位
カウリ・ヴァースト Kauli Vaast
フランス代表
生年月日：2002/2/26(22歳)
身長：176cm
体重：70kg
出身地：タヒチ島
タヒチで生まれ育ち、12歳でチョープーにチャレンジ。以来、タヒチを代表するサーファーに成長する。
2017年、2019年、2020年とWSLのヨーロッパのジュニアチャンピオンを3度も獲得。
2019年、17歳で初めてCTのタヒチ戦にワイルドカードで出場して9位に入り、2022年はイーサン・ユーイング、ケリー・スレーターらを倒して2位。
2023年はジョアオ・チアンカ、グリフィン・コラピントを倒して5位に入るなどチョープーでは今回パリ五輪に出場する選手よりも上回っており、優勝候補の筆頭にも挙げられている。波が大きくなればなるほど怖い存在になる。
5歳年下のナイキ・ヴァーストも12歳でチョープーにチャレンジ。当時17歳で弟をプッシュしていたカウリと共に大きな話題になっていた。
2023年の『Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』で出場権を獲得。サーフィン男子では最年少となる。
主な戦歴
2023年 QS3,000『Rip Curl Pro Search Taghazout Bay』優勝
2022年 CT第10戦『Outerknown Tahiti Pro』2位
スーチー・ヤン Yang Siqi
中国代表
出身地：中国/四川省西昌市
中国の四川省、西昌市生まれ。農家で内陸育ちの彼女が海を始めて見たのは9歳の時。レスリングのコーチをしていた叔父にセイリングを勧められ、海南省の省都でもある海口市に移住。セイリングチームに入った。
その後、サーフィンがオリンピック種目になり、2018年に中国がナショナルチームを設立。サーフィンに転向して2年目の2019年には10歳でISAのワールドジュニアに中国代表として出場を果たした。
コロナ禍を経て2022年にはISAのWSGに13歳で出場して29位。2023年は31位。そして、2024年は13位に入り、アジア枠を14歳で手に入れた。アジア女子は松田詩野とスーチーの二人のみ。
中国は五輪競技に採用されてから、サーフィンとスケートに対しての投資を強化。河南省にウェーブプールを設立するなど、他国とは比べものにならないくらい国家予算をかけていると言われている。トレーニングもサーフィンだけではなく、フィジカル、映像を使った分析など多岐にわたって行われている。
コーチには以前に日本のISAのコーチを務めていた南アフリカのウェイド・シャープが就任しており、現在の強い日本を育てるように中国のサーファーをサポートしている。ウェイド曰く、彼女には素晴らしい未来がある。中国チームも数年後には上位に食い込んでくるだろうとのこと。
チョープーの波に関しては未知数だが、注目したい選手である。
主な戦歴
2024年『ISA World Surfing Games』13位
ジョアン・ドゥルー Joan Duru
フランス代表
生年月日：1989/4/25(35歳)
身長：177cm
体重：77kg
出身地：フランス/オンドル
フランス南西部の有名なビーチブレイク、アングレとオセゴールの間にあるオンドルで育ち、エアリアル、カービングターン、チューブと全てが揃ったオールラウンダー。
2017年から2019年までCTを回り、現在もCSで上位に入り続けているベテラン選手。2024年はCTポルトガル戦にワイルドカードで出場して5位に入る。
東京五輪はフランス代表として2019年CTランキングの3番手で補欠選手になれる可能性があったが、出場の条件である2019年のWSGを怪我で欠場。しかし、ISAが医学的証拠が十分ではないことを理由に却下された。パリ五輪は2024年のWSGの結果で出場権を獲得する。
CT時代はチョープーで5位になった経験があり、今年は現地でのトレーニングにもフォーカスしているため、ダークホースの一人と言える。
主な戦歴
2018年 CT第10戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』2位
2022年 CS第5戦『Corona Saquarema Pro』3位
2023年 CS第3戦『Ballito Pro』
2024年 CT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』5位
ビリー・ステアマンド Billy Stairmand
ニュージーランド代表
生年月日：1989/10/21(34歳)
身長：170cm
体重：65kg
出身地：ニュージーランド/ラグラン
東京五輪に続き、2度目の五輪出場。ニュージーランドで最も有名な長いレフトのポイント、ラグランがホーム。8歳でサーフィンを始め、ニュージーランドで8度のナショナルチャンピオンに輝く。
2011年のオーストラリア・マーガレットリバーでのQSでケリー・スレーターを倒して話題になった。
エアリアルに定評があるが、インドネシアのクルイで好結果を重ねるなどバレルのスキルも高い。
2023年の『Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』でパリ五輪出場を決めた。
主な戦歴
2022年 QS3,000『Vissla Central Coast Pro』2位
2022年 QS1,000『Mad Mex Maroubra Pro』優勝
2022年 QS5,000『Krui Pro』2位
2024年 QS5,000『Krui Pro』3位
ルアーナ・シルヴァ Luana Silva
ブラジル代表
生年月日：2004/5/7(20歳)
出身地：アメリカ/ハワイ州・オアフ島ノースショア
両親はブラジル人だが、生まれも育ちもオアフ島ノースショアのハレイワ。ルアーナはハワイ語で「幸せ」を意味する。7歳でサーフィンを始め、ジュニア時代は3度のUSAナショナルチャンピオン、NSSAでも3度のナショナルチャンピオンを手に入れ、QSは15歳の時に初優勝を果たす。
2021年にCSポルトガル戦で優勝、翌年2022年にCTデビューを果たすが、ミッドシーズンカットでCS落ち。2024年に返り咲きを果たし、現在世界ランク12位。
2024年にプエルトリコで開催された『ISA World Surfing Games』にブラジル代表として出場。国別優勝に与えられる五輪追加1枠に入る。
同じブラジル代表のジョアオ・チアンカとは恋人同士でもある。
主な戦歴
2019年 QS1,500『Phillip Island Pro』優勝
2020年 QS1,000『Mothernest Great Lakes Pro』優勝
2021年 CS第2戦『MEO Vissla Pro Ericeira』優勝
2023年 CS第5戦『EDP Vissla Ericeira Pro』2位
2024年 CS第1戦『Bonsoy Gold Coast Pro』2位
(空海)
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