2025年CTルーキーの中で最も活躍が期待されているカナダのエリン・ブルックス。
彼女は2024年CT最終戦にワイルドカードで出場して見事に優勝。
ワイルドカードでの優勝は過去にステファニー・ギルモア、カリッサ・ムーア、タイラー・ライト、ミック・ファニング、ジョエル・パーキンソンなど、のちにワールドチャンピオンとなる選手が成し遂げている。
17歳にしてエアリアルからバレルまで一流で、すでに隙がないエリンにWSLのカイポがインタビュー。
テキサスから世界のサーフステージへの旅、パイプラインに向けたトレーニング、次世代の台頭についてなど。
トレードマークのファイヤーパターンのエピソードもあり、最後には愛犬も登場!
あなたはテキサス州バーニーで生まれ、オアフ島のノースショアに住んでいる。CTで初のカナダ出身のサーファーでもある。そのことについて教えて。
テキサス州バーニーで生まれ、9歳までサーフィンをしたことがなかった。9歳の時に家族と一緒にハワイに引っ越し、そこからサーフィンを始めたの。
ちなみに私と父はカナダとアメリカの二重国籍を持っているわ。
あなたのお父さん、ジェフがサーフィンを始めた時から非常に強い決意があったと話していた。サーフィンに夢中になり、すべてを注ぎ込み、それが9歳でサーフィンを始めてから大きな進歩を遂げ、17歳の今、プロサーフィンの頂点であるチャンピオンシップツアーにまで到達したんだね。 では、あなたの原動力は?エリン・ブルックスのモチベーションは何?
サーフィンが大好きだから、それほど難しくはないの。
自分の好きなことを仕事にできるのは本当に素晴らしいことだし、実際、それを仕事だとはあまり思っていない。
ただ、CTに参加できること。そして、家族や友達、スポンサーからの素晴らしいサポートを受けられていることには本当に感謝している。
ここまで早く達成できたのは、そのおかげよ。
CSはたった2年でシリーズ4位となり、CTへの出場権を獲得した。 さて、これは興味深い質問だけど、CTには12の大会があることを考えてみて。その中で、あなたはスケジュールにある3つの大会、リオ、スナッパー、そしてフィジーで優勝している。これらの優勝は自信を与えている?勢いを感じている?
はい、間違いなく自信を持っているわ。
これらの場所で優勝したことは、自分に大きな自信を与えてくれた。CTレベルでもCSでも素晴らしい女子と競い合う機会を得て、すごくラッキーだと思っているわ。
今年は彼女たちと激しくプッシュし合うと思う。今年のツアーは本当に素晴らしくて、その一員として参加できることに心から感謝している。
素晴らしい波で、数人のサーファーと一緒にサーフィンできるのが本当に楽しみよ。
ツアーについて話しましょう。CTの最初の大会が近所のパイプラインで開催されるけど、それについてどう感じている?
パイプラインでシーズンがスタートすることに興奮している。
最初のイベントがパイプラインだと分かっていたので、特にこの冬は多くの時間を費やしてきたの。結果を出したいと考えているし、大きな波やバレルでも非常に快適に感じている。競技するのがとても楽しみよ。
どんなボードを使っているの?スポンサーのマットと一緒に仕事しているの?メイヘムのパイプライン用のボード?
波が大きい日は6’0″から6’4″を使っているけど、少し小さめの日には5’6″から5’10″までを使用している。
私はかなり身長が低いけど、特にフリーサーフィンの中でみんなと戦うためには、パドル力が重要なの。早いドロップインをするために、その少しの余裕があると嬉しいわ。そうすれば、確実に自分が乗るとみんなに分かってもらえるの。
確かに。メイソン・ホーはパイプラインで大きめのボードを使っていることで知られており、それが彼にとって上手く作用している。パイプラインのクルーはとても強烈で、あなたもその中でトレーニングしている。 あと、カヘア・ハートと一緒にジムでトレーニングしているのを見た。マクアカイ・ロスマンやビリー・ケンパー、マイキー・レッズなど、素晴らしいサーファーと一緒にトレーニングしているようだね。チーズバーガー(ケオニ野崎)もその一員。今はベジバーガーと呼ばれているんだっけ?(笑)。彼はかなり体重を落として、素晴らしい体型になっているんだよね。 カヘアとのクロストレーニングについて話してもらえる?
カヘアとのトレーニングでは、冬に向けての脚力トレーニングを重点に置いた。
彼は基礎的なトレーニングをするだけではなく、呼吸を上手くコントロールする方法も教えてくれる。また、別のトレーニングとして、ラファエルという人物と一緒に「アーケードトレーニング」を行っている。ラファエルは、トランポリンを使ってアジリティ(素早くかつ効率的に方向を変えたり、体を動かしたりする能力)などのトレーニングをしているの。
パイプラインに集中している今でも、エアーでの感覚を保つためにやっているわ。それはアブダビやポルトガルでのエアーで快適さを感じるための助けになる。
今年のスケジュールは本当に凄いよね。パイプラインで始まり、第2戦では大きくギアを切り替えて、サーフ・アブダビでパフォーマンス重視の戦いになる。あの施設を訪れる機会があったようだけど、どんな感じだった?
サーフ・アブダビには幸運にも2回行く機会があった。これまでサーフィンした中でおそらく最高の波だと思うわ。レモーのプールよりも大分やさしく感じるし、あそこで大会をするのが本当に楽しみね。
また、ファンの皆さんにとっても素晴らしい経験になると思う。2回訪れた際に感じたことがあって、あの施設のおかげでサーフィンをあまり知らない人々が興味を持ち始めている。世界最高峰のサーファーたちを観戦することにワクワクしているのがよく分かったわ。
パフォーマンスサーフィンに関して言えば、あなたはその最前線に立っている。そして、その成長は本当に早かったと思う。でも、他のサーファーたちからインスピレーションを受けてきたはずだよね。これまでの中で、好きなサーファーや影響を受けたサーファーは誰?
ガブリエル・メディナ、イタロ・フェレイラ、ジョン・ジョン・フローレンス、カリッサ・ムーア、ステファニー・ギルモアが好きよ。
私の意見では、彼らは間違いなく最高のサーファーたち。彼らを見るのが本当に大好きで、彼らの技術を自分のサーフィンに取り入れながら、自分らしいスタイルも大切にしている。
全員がとても親切で、本当にサポートしてくれるの。彼らと一緒にツアーに参加するのが楽しみよ!
とても充実した1年になりそうだね。今年は11戦、そしてファイナルを含めて12戦がある。 イベント間の間隔もかなり短いけど、誰と一緒に旅をするの?コーチやトレーナーは?旅先でのプログラムはどのような感じ?
ハワイではシェーン・ドリアンがコーチだけど、年間を通じてのコーチはジェイク・パターソンの予定。本当に楽しみ!
ジェイクはとても親切で、すでに凄いレスポンスが良い。まだ一緒にトレーニングを始めていないけど、メールではとても協力的よ。
親友のイザベラ・ニコルズやソーヤー・リンドブラッドとも旅ができたらいいなと思う。ソーヤーもジェイクとトレーニングをしているし、ツアー中に新しい友人もできたらと思う。フィジーに行った時はみんなとても親切で温かく迎え入れてくれたので、同じように良い経験ができることを願っている。もちろん、激しい競争になると思うわ。
ツアーでは、ミッドシーズンカットの前に7つのイベントが行われ、その後さらに歴史的なサーフィンのイベントが続く。このミッドシーズンカットに直面するという現実について、どのように感じている?
ミッドシーズンカットは確かに誰にとっても厳しいものだけど、最初のいくつかのイベントで良いパフォーマンスを発揮できればと思っている。
まあ、すべてのイベントで良い成績を収めたいけど、それによってカットの心配をせず、年間を通じてツアーに参加できるようにしたい。
どのイベントも本当に素晴らしいだろうし、最終的な目標はファイナルまで進むことよ。
「できるかもしれない」というエネルギーと「絶対にできる」というエネルギーがあるよね。もし、ファイナル5に進めば、クラウドブレイクに戻ることになり、あなたはそこでの勝利経験がすでにある。「絶対にできる」という自信を持てる場所だよね。ファイナルの開催地について、そして、ワールドタイトルの可能性について、どのように考えている?
ファイナルがクラウドブレイクで開催されるのは本当に素晴らしいことね。
そこに進出できたら最高だと思う。そして、ケイティやモリー、キャロライン、タティアナなどの素晴らしいサーファーたちが挑戦するだろうけど、誰がそこに到達するかはまだ分からない。
もし、彼女たちと一緒に競い合えるなら、本当に素晴らしい経験になると思う。実際に過去のコンテストで彼女たち全員と対戦したことがあるので、それは大きな自信にもなる。これから1年がかりのシーズンが始まるので、何が起こるか楽しみよ。
キャロラインやケイティのようなサーファーなど、確実に今のウィンメンズプロサーフィン界では新しい世代が登場してきているし、新しいムーブメントが起きているように思う。その変化を感じている?
先輩たちが私たちにとって多くのインスピレーションを与えてくれた一方、若い世代が台頭してきているのも感じるわ。例えば、私やベラ、シエラ・カーなどが目立っているし、キャロラインやケイティも若い世代と言える。どちらもワールドチャンピオンで、キャロラインはオリンピック金メダリストでもある。
新しい世代が大きな形でステップアップしているのを実感している。
今まさにウィメンズプロサーフィンの中で最もエキサイティングな時代が来ていると感じている。エアーやビッグウェーブへの挑戦、さらには『エディ・アイカウ』での女性たちの登場など、進化が目に見える形で表れている。
特にフィジーやパイプラインでのサクラやケイティ、モリーの活躍は本当に刺激的だよね。この時代に生きていることは、素晴らしいこと。
まだその旅の始まりにいる感じだけど、どう感じている?ワクワクしているの?今、勢いを感じている?2025年のツアーについてはどう思う?
2025年のツアーについては、ずっと憧れていたサーファーたちと競い合えることに凄くワクワクしている。そして、素晴らしい波での競技も楽しみ。
CTとCSで優勝し、CTに進出したことは、自分にとって最高の競技シーズンだったので、勢いを感じている。自信を持って次のシーズンに臨めるし、凄く楽しみよ。
最高だったね。クオリファイをした瞬間を見ていたよ。とても印象的だった。あなたのお父さん、ジェフがクオリファイしたら髪と髭を剃ると約束してくれたんだ。まるで『ダック・ダイナスティ(アメリカの人気番組)』のようだったけど、約束を守って髪とヒゲを剃ったんだ
あれは本当に面白い出来事だったわ。
実際、私も切らせてもらったの。お父さんは6年間髪を切らず、ヒゲも2年間ずっと伸ばし続けていた。母と私はかなりそのスタイルに飽きていた。
お父さんはその髪の中に埋もれてしまっているような感じで、もともとはきちんとした髪型だったんだけど、引っ越してからはアイランドスタイルに合わせて、全部伸ばし放題になっていたのよ。
アイランドスタイルだね。お父さんもそれを楽しんでいたみたいだし、髪を剃ることが楽しかったと言っていた。モチベーションにもなったともね。彼は本当にあなたのことをサポートしている。 また、最近の若い世代のサーファーたちの中で、プロの舞台に上がる新しいサーファーたちが自分の信仰についてオープンに話しているのを見かけるようになった。ヒート後のインタビューで『Thanking God』と神に感謝の意を示すサーファーが増えているのがとても新鮮で、素晴らしいことだと思う。 それについて、あなた自身の信仰について、どのようにあなたの生活やサーフィンに影響を与えているのか、少し話してもらえる?
クリスチャンに誇りを持っている。
どんな時でも、私のすべてを神に捧げ、感謝の気持ちを表すようにしている。今の自分があるのは彼のおかげで、彼が私に与えてくれたものは計り知れない。だから、ヒート後に感謝の意を示して、世界に彼の愛を広めることが私の役目だと思っているの。
あなたが言う通り、神を生活に取り入れると、人生がもっと良くなる。心から同意するよ。 そして、ツアーの背番号について、17番を選んだ理由は?
17番を選んだ理由は、17歳でプロ資格を得たこと。この年が私の「ゴールデン・バースデー」だったから。
私は7月17日に生まれ、この年は間違いなく私のゴールデン・イヤーだったと思っている。
クオリファイを達成して、初めてCTでワイルドカードとして優勝し、さらにスナッパー で10ポイントを取ってコンテストも勝ったので、17番は私にとって特別な番号なの。
あのスナッパーでの10ポイントは本当に凄かったよね。WSLのハイライトで何度も使われているシーンだけど、あの波は本当に素晴らしかった。ビーチにいたみんなが飛び跳ねて応援していたのも印象的だったよ。あの波に乗った時の気持ちは?しかも、優先権がない状態で波をキャッチしたんだよね?
あのヒートは本当に楽しかった。親友のイザベラ・ニコルスと競っていて、その前のヒートでみんながバレルに入っているのを見て、私たちもワクワクしていたの。
ヒートが始まって数分間は波がフラットで、二人で「どうしよう、ショーを見せたいのに!」って思っていたわ。次に波が入り、私は動き始めた。イザベラは動かなくて、「え?どうして?」って感じだったわ。今までスナッパーで乗った波の中で最高だと思った。どんなに深くても、この波に乗らなきゃと思った。テイクオフした瞬間にボトムに降りて、グラブレールしたの。少し深すぎるかなと思ったけど、スピットがフォームボールを押し出してくれて、その瞬間に波を越えて出てきた。自分でも驚いたわ。ビーチのみんなの大歓声を聞いて驚いて見てしまった。その後も波をしっかりフィニッシュしなければいけなかったので、気持ちを切り替えてコンテストに集中したわ。
バレルを決めた後、すぐにまだ終わっていないと思い、最後まで集中してフィニッシュした。いつもアピールをしないけど、あの時は本当に興奮していて、思わずアピールしちゃったの。
シェイパーのマット・バイオロスとは良い関係を築いているよね。ツアーでは幅広いレンジのサーフボードが必要だけど、すでに準備はできているの?
マットは本当に素晴らしいシェイパーよ。私の家にまで来て、今冬用やこれからのアブダビに向けてのボードをすべて見てくれた。
最近少し成長して筋肉も増えたので、ボードを少し調整する必要があったの。コントロールしやすいように、他の女子たちと競えるようにね。ボードは5’2″から6’4″までの範囲で、様々な波に対応できるようにしてある。例えば、バレルからポルトガルのビーチブレイク、ポイントブレイク、リーフブレイクまで。それぞれに合ったボードを用意している。彼のボードには本当に信頼を置いているし、最高のシェイパーよ」
あなたのボードは炎のデザインが施されていて速そうに見える。マットの娘、ライダーがアートワークを担当しているんだよね。炎のデザインの意味は?
以前はボードに稲妻のデザインが入っていたけど、速そうなものが欲しかったの。両親はラインナップで私を見つけやすいように明るいデザインを希望していた。
ノースショアのサーフショップに行った時、リス・リアルって知ってる?彼は素晴らしいヴィンテージサーフボードのコレクションを持っていて、そこでペイントを見ていたら炎のデザインが入ったボードを見かけ、「次のボードは絶対これにしよう!」と思った。あれは本当に凄く速そうに見えたわ。
ライダーはアートワークをとても美しく仕上げてくれるよね。
彼女はツアーに出ている多くのサーフィン仲間たちのペイントも担当している。
私のボードやキャロライン、グリフィン、メイソンのボードも手がけている。メイソンはツアーに参加していないけど、彼のデザインはかなりユニークよ。
私は炎のデザインが気に入っていて、自分にぴったりだと感じている。
カラフルなボードやアートワークが施されたボードの方が、プレーンな白いボードよりも良いと思う?
ボードに色がある方が見ていてもっとワクワクすると思う。それは私自身が常にそう感じているからかもしれないけど、実際に白いボードを持ったことがないので、違いが分からないわ。
ルーキーイヤーで最も楽しみにしていることは?
ずっと憧れてきたサーファーたちと一緒に素晴らしい波で競い合うことが一番楽しみ。
素晴らしい波を数人の女性だけで、あのレベルで競い合えることがとても特別。そこに到達するためにすごく努力してきて、今それを達成したので、全力を尽くすつもり。
ノースショアのシーズンはバタフライの時間みたいだよね。毎日オアフ島は波が大きくて、みんな自分自身をプッシュしている。最悪のワイプアウトについて教えて。どういう状況だったのかも。
最悪のワイプアウトはサンセットビーチだわ。ありがたいことに、今年はツアーがそこで開催されない。少し怖いのよ。
昨年、私はCTのサーファーたちと本当に大きな日に一緒にサーフィンしていて、最悪の場所でワイプアウトしたの。上がろうとしても波に押されてしまい、何度もボトムに戻されたわ。冷静になって頭を守るようにした。どこにいるか、ボードがどこにあるか全く分からなくて、まるで永遠にボトムにいる感じがした。本当に長く感じたわ。やっと上がった時は息を切らしながら、ありがとう、上がれて良かったと思った。
サンセットは怖いね。ヒートで緊張することはある?
ヒートの中ではあまり緊張しない。ホーンが鳴ったら、大丈夫なの。でも、それまでは確かに緊張する。待っている時にジャンプしたり、興奮し過ぎたりしているのかもしれない。考え過ぎてしまい、それが緊張を引き起こすの。ヒートが始まると、自分が練習してきたことをみんなに見せる時だと思うの。だって私は凄く努力してきて、沢山海にも入ってきたからね。楽しみたいわ。
これから最初の7つのイベントについて思い付いたことを答えて。
1.バンザイ・パイプライン
興奮するけど怖い。
2.アーフ・アブダビ
新しくて楽しい。
3.スーパーチューブ(ポルトガル)
寒い。
4.エルサルバドル
逆に暑い。というか超暑い。
5.ベルズビーチ
象徴的。
6.スナッパーロックス
大好きで10ポイントをまた出したい。
7.マーガレットリバー
カット(そして、私でされないことを願っている)
ここで愛犬のジミーが登場。
ジミーはどうやって家族に加わったの?
父と取引をしたの。
あるISAの大会で早く負けたので、メインファイナルに行くために12回ヒートを勝つ必要があった。父は、もし私がそれを達成したら、ジミーを迎え入れてくれると約束した。それで、何があってもそれを達成しなければならないと思ったの。
ずっとゴールデンレトリバーが欲しかったのよ。
ジミーがあなたの一番のファンになるね。2025年はあなたを応援し続けるでしょう。ジミーのためにジャージを作ってあげるよ。 そして、ジミーがすべてのコンペで応援できるように、worldsurfleague.comで大会をチェックしてもらう。旅行中でもアプリでジミーがヒートを見逃さないようにする。 それでどう?
完璧よ!
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)