PHOTO:© WSL/Tim Hain

41歳のジョシュ・カーがCSを回る2つの理由

先日お伝えしたジュリアン・ウィルソンのCSことチャレンジャーシリーズ参戦。
すでにオーストラリア/オセアニアリージョナルのCS出場選手の枠も決まったが、その中に元CT選手のジョシュ・カーの名があるのに気づいた方はいるだろうか?

ジュリアンは数年CTから離れたとはいえ、まだ36歳。
ジョシュは3月29日で41歳になったばかりとCSに出場する選手では最年長となる。

ジョシュがCTを回った最後の年は2017年。
優勝こそなかったが、当時トップクラスのエアリアルスキルを持ち、バレルも一流。更には2015年のビッグウェーブツアー『Todos Santos Challenge』で優勝するなど、マルチプレイヤーとして活躍してきた。

そんな彼が40歳にして強豪ひしめくQSを勝ち上がり、ニアスでは2位という結果を残し、今シーズンのCS出場権を獲得。
自分の子供のような年齢の選手たちと互角に戦えるだけの実力は今も健在(気力さえあれば)だ。

とはいえ、年齢を考えると、ジュリアンのように本気でCT返り咲きを目指しているとは考えにくい。
それでもCSを回るジョシュには大きな2つの理由があるのだ。

CSを回る一つ目の理由

(娘のシエラは2026年のCT入りを目指す) PHOTO:© WSL/Matt Dunbar

ジョシュがCSを回る一つ目の理由は、娘のシエラのサポートとして。
コーチではなく、あくまでも選手時代の経験を活かした父親が側にいる安心感の意味合いが大きい。

QSを回り始めたきっかけも、シエラと一緒に旅をしていた流れで『どうせなら自分も』と軽い気持ちで出場したことだった。
すでに選手としてのキャリアを終えてプレッシャーはゼロの状態で、パーフェクト10続出のあの素晴らしいニアスの波に乗らせたら、無双状態だった。
初めて訪れたニアスでファイナルに残ってしまったのだ。

シエラも父の活躍と今回のCS入りに関しては、驚きを通り越して笑っているそうだ。
(親子でのCS出場は史上初)

ジュニアのワールドチャンピオンでもあるシエラは、フィリピンと台湾のQS5,000で優勝(今季通算4勝)してリージョナルランキング1位でCS入りを果たし、18歳でCSを回ることになる。
ケイトリン・シマーズ(USA)、エリン・ブルックス(CAN)、ベラ・ケンワーズィ(USA)などと共にCTで戦うには、この1年が勝負。
親子で力を合わせ、全力でクオリファイを目指すそうだ。

CSを回る二つ目の理由

(ニアスではツインフィンの可能性を追求した)
PHOTO:© WSL/Tim Hain

ケリー・スレーターやミック・ファニングのようにビジネスのセンスもあるジョシュ。

ミック・ファニング、ジョエル・パーキンソン、ビード・ダービッジなどのクーランガッタの仲間と立ち上げたクラフト・ビール会社Balterの成功を始め、Album Surfboardsのパートナー、カリフォルニア発のeバイクブーム先導などCT引退後も精力的な活動を続け、ゴルフアパレルブランド「TravisMathew」のアンバサダーまで務めている。

そんなジョシュが現在力を注いでいるのが、サーフボードブランドの「Draft Surf」

「Draft Surfは、ツインフィンを軸にしたボードデザインを進化させている。
実際にジョシュはニアスと台湾のQSで「Draft Surf」のツインフィンを使用している。

QSでツインフィンに乗る選手は皆無で、オーストラリア/オセアニアリージョナルでは、ニアスでクリステンセンのアシンメトリー・ツインを乗っていたネイサン・モンチェットのみ。
ツアーではまだツインフィンに対する偏見があるが、彼はその可能性を追求し続けている。

「Draft Surf」のメインシェイパーは、クーランガッタにある「Hammo Surfboards」のハモ。
一時、ジョシュはシドニーのアンドリュー・ムーニーが削る「Serpent Sleds」のツインにハマっていたが、ハモのSailfishというモデルのツインフィンに出会い、「Draft Surf」のボードとして改良を続けている。

一時住んでいたカリフォルニアからクーランガッタに戻ったジョシュは、本格的に「Draft Surf」の成長に打ち込んでおり、今回のCS出場の二つ目の理由はボードテストを兼ねている。
なにより、ジョシュが活躍すればブランドの露出も多くなり、宣伝に繋がる。

「Draft Surf」では、ウィルコことマット・ウィルキンソン、カイオ・イベリと元CT選手もテストに参加。
実はシエラも昨年のWSL特別戦『J-Bay Classic』で「Draft Surf」の5’5を乗っていた。

ジョシュのCS参戦は、家族とビジネスの二つの挑戦になる。
シエラの成長を支えながら、「Draft Surf」の可能性を追求する。
6月から始まるCS、カー家族に注目したい。

(黒本人志)

この記事に 関連するタグ

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。