Image: OutraCultura (YouTube)

マット・アーチボルドが明かす映画『ハートブルー』の舞台裏

最近話題のサーフィン映画といえば、ニコラス・ケイジ主演のスリラー『THE SURFER』だが、これまでの歴史を振り返るとキアヌ・リーブス、パトリック・スウェイジが出演した1991年公開の『ハートブルー(原題:Point Break)』がサーフィンを題材としたハリウッド映画の名作と言える。

この映画は女性監督、キャスリン・ビグローの代表作。

キャスリン・ビグロー監督の作品は賛否両論あるが、監督と制作を務めたイラクでの爆発物処理班の任務を描いた2008年公開の「ハートロッカー」は低予算映画ながらヴェネツィア国際映画祭で高い評価を受け、元夫ジェームス・キャメロンの映画「アバター」とアカデミー賞を争い、6部門を制した。
今作品では史上初の女性による監督賞受賞という快挙も成し遂げた。

34年経った今でも映画『ハートブルー』が色褪せない魅力を持っているのは、ストーリーのハイライトである「rock ‘n’ roll」を掛け声にした銀行強盗やカーチェイスだけではなく、サーフィンシーンにもこだわっていた点。
意外に知られていないのだが、カリフォルニアを代表するカリスマ、マット・アーチボルドがスタントや演技指導を務めていたのだ。

2026年で35周年を迎える前に彼自身が当時の裏話を語った。


役を手に入れたきっかけ

デニス・ジャービス(Spyder Surfboards の創設者でこの映画のスタントサーファーのキャスティングに関わった)から電話がかかってきたんだ。
「パトリックのスタンス役にぴったりだから使いたい」とね。

それでLAにキャスティングに行ったんだ。実は最初、銀行強盗の一人としてセリフのある役をやる話もあったんだけど、キャスリン・ビグロー監督が「いや、彼はパトリックのスタントとして雇ったのよ」って言ったのさ。

同時に、サーファーたちの調整も手伝っていたし、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニー(パトリック側の仲間役を務めた)とか、キアヌ・リーブスにもサーフィンを教えていたんだ。あれは本当にクールな経験だった。

パトリックとは沢山一緒に過ごした。彼は本当に良い奴だったな。

設定とは違うハワイでの撮影

最初はローワーズで撮影を始めたんだけど、1週間くらいで「もうやめよう」ってなってさ。
何か理由があったのか、すぐに中止になって結局スタッフ全員でハワイに移動することになったんだ。
クルー全員でハワイに飛んで、結局何ヶ月もハワイに滞在することになったんだよ。
俺はタートル・ベイに滞在していて、パイプ近くに自分専用の控え室まで用意されていた。
めちゃくちゃ最高だったよ。

唯一の残念な点は、ずっとフルスーツを着なきゃいけなかったこと。
撮影の設定がカリフォルニアだったからね。
あの厚手のO’Neillのアニマルスキンスーツを着て、水の中に4時間もいたりしてさ。

パイプラインは完全にクローズされて撮影に使われた。
めちゃくちゃすごかったよ。

それからマウイとか、ハワイ中のいろんな場所で撮影したな。
ブライアン・ケアウラナがいつも俺をジェットスキーで引っ張ってくれてた。
トーインサーフィンがまだ一般的になるずっと前の話だよ。

確か1991年だったな。良い思い出が沢山あるよ。
ハジー(パトリック・スウェイジ)は、パイプのすぐ側のビーチに家を借りていた。

キャスリン・ビグロー監督について

『ハートブルー』って、本当に不思議なカルト映画だよな。
今でもみんなめちゃくちゃ興奮してるし、この映画について話している。
本当に特別な体験だったよ。

キャスリンはいつも俺をカメラの後ろに呼んで、いろいろ手伝わせてくれた。
彼女が俺の話をちゃんと聞いてくれたのがすごくクールだったんだ。
それが、彼女が素晴らしい監督だと思う理由のひとつでもあるよ。

彼女は本当に人の話を聞くんだよ。
あれだけの大物監督なのに、俺みたいなちっぽけなサーファーの意見にも耳を傾けてくれたんだ。

(染谷たかし)

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