ハワイのノースショアでサーファーがワイプアウト、リーシュが外れてボードが行方不明となった。そして2年後、フィリピンでそのボードが発見された。という記事がサーフラインのウェブマガジンに掲載されたのでご紹介しよう。
太平洋のど真ん中に位置するハワイ、ワイプアウトしてボードを流すと、カレントに外洋へと運ばれてしまい行方不明になるという噂を、筆者は耳にしたことがある。しかし外洋へと運ばれたサーフボードはそれからどこに行ってしまうのだろう。
最近ハワイで行方不明となったサーフボードが、5200マイル離れたフィリピンで発見されたというニュースがサーフラインの記事となった。5200マイルというと8,368kmという途方もない距離。でもどうやってそれが発見されたのか、記事を元に順を追って説明したい。
ことの発端は、ハワイ在住の写真家でサーファーの、ダグ・ファルターという人がワイメアへとパドルアウトしたところから始まる。その彼のボードはお気に入りのガンで、シェイパーはライル・カーソン、サイズは10’6”×23”、厚みはおよそ3’1/4。スリーストリンガーの、ティントブルーでラミネートされた美しいガンだ。
そのガンはダグにとっては特別なサーフボードだった。というのも2016年のエディ・インビテーショナルの試合後に、彼はそのボードで人生最大のワイメアの波をサーフしたことがあったからだ。
ダグはその信頼のおけるガンでその日もパドルアウトした。波のサイズは、彼のジャッジではハワイアンサイズで10フィート、フェイスは20~30フィートくらいだったという。良い波にもたくさん乗れて7本くらいはサーフしたという。しかし夕方遅く6時30分くらいにワイプアウトしていまいリーシュが外れ、そのサーフボードを流してしまった。
リーシュが切れたのではなく、ボードが壊れたのでもなかったと彼は言っている。カレントに乗ってしまうと湾をぐるりと周ってボードが沖に流されてしまうのを知っていた彼は、ボードの後を追いかけ、急いでビーチまで泳ぎ着き、湾を一望できるところから探したが見つけられなかった。さらに彼は岩場をよじ登って探したが、やがて暗くなってなにも見えなくなってしまった。
じつはその2ヶ月前、ダグの友人がビッグウェーブポイントのヒマラヤでボードを流してしまったことがあったが、ビーチに流れ着いたそのボードの写真を、発見者がフェイスブックに公開しており、偶然にもダグがそれを見つけ、友人に伝えたことがあった。
そこで、ダグも写真をSNSで公開し、さらに港に張り紙をして漁師たちにも協力を願い出たが、誰にも発見することはできなかった。しかし、捜索中にもダグはいろいろな話を聞いた。たとえばカウアイ島であるボードが発見されたり、または4年間も経ってから漁師がボードを見つけたという話もあったという。
そして最近になって、ようやくこの事件が動いた。2018年の2月にハワイで行方不明となったそのサーフボードが、2年も経過してからなんとフィリピンで発見された。フィリピンでそのボードを所有している人物が、サーフボードのロゴにあったライル・カーソンという名前をたよりにSNSで検索したのがきっかけとなった。
そのボードはおそらく太平洋を漂ってフィリピンの小島に漂着したのだろう。地元の漁師の網に掛かっていたのを、その漁師が発見した。最初は沈船かなにかと思ったらしいが、その漁師はそのサーフボードを手元に保管していた。その期間がどのくらいだったかは不明だが、漁師はサーフボードをある男性へ40ドルほどで売った。その男がSNSを通じてダグたちへとコンタクトを取ってきたのだった。
その男は幼稚園と小学校の教師で、サーフィンを習うためにそのサーフボードを手に入れたのだという。しかし、サーフィンについての知識は乏しく、ダグとサーフワックスの話題になってもその使い方を知らなかったという。
さて、そのボードを取り戻したいかという問いに、ダグは複雑な思いのようだ。いずれにせよサーフボードの行方がわかり、そのボードでサーフィンを習っている人がいるということは喜ばしいことであり、サーフボードの第二の人生を祝福したい気持ちではあるという。
This story based on below
https://www.surfline.com/surf-news/lost-surfboard-floated-hawaii-philippines/92386/
(李リョウ)