『サーファーズイヤー』と『翼状片』(よくじょうへん)という2つの病気を知り、予防に心がけよう
シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 43
健康的でストレスフリーなサーフィン。こんなに練習が楽しいスポーツって他にあるかな、と思ってしまうのは筆者だけ?
しかしサーフィンが大好きでもやり過ぎにはご注意。じつはやり過ぎで病気になってしまうこともあるからだ。その代表選手がサーファーズイヤーと翼状片(よくじょうへん)という2つの病気。このサーファーにとって職業病のような病気をわかりやすく説明したい。
サーファーズイヤー
骨が耳の穴を塞(ふさ)いでしまうサーファーズイヤーは、病名として一般社会で認知されているほどサーファーに多い。その原因は冷たい風や海水。
サーフィンで冷たい風にあたり続けたり、ワイプアウトして冷たい海水が耳の穴に入り込んだりして、それがなんども続く(数年間)と、やがて耳の穴のなかで骨が飛び出してきて、穴を塞いでしまう。その結果、難聴や頭痛だけでなく、耳の穴から水が抜けにくくなるために炎症を起こし重篤(じゅうとく)な病気へと悪化する。
この病気に悩む人は、水温の低い地域で定期的にサーフィンをしているサーファーやプロダイバーに多い。しかし、この病気の原因について詳しくはまだ解明はされていず、サーファーズイヤーに罹(かか)りやすい人とそうでない人がいるという。もし、この病気になって重症となると、その骨をノミで削り取る手術が必要となるので注意したい。
予防として一番良いのは海に入らないこと。無理ならば海に入る回数を減らす。または温暖な地域へと移住する。(冬にフルスーツを必要としない地域)つぎに専用の耳栓をしたり、またはヘッドキャップやヘルメットで頭全体を冷やさないのも効果があるようだ。しかし、どれも予防であって、サーファーズイヤーにならないとは言い切れない。気になる人は耳鼻科に相談し、まずはサーファーズイヤーに罹っているかをチェックし、適切な指導を受けるといいだろう。
翼状片(よくじょうへん)
翼状片は、紫外線を浴び続けることで黒目のところに鱗(うろこ)のような結膜組織(けつまくそしき)が侵入してきてしまう病気。鱗はおもに鼻側から侵入してくるケースが多いが、耳側やときには両側から侵入してくる場合もある。いずれにせよ、黒目をその鱗がおおい出すと、目に違和感を感じたり視力が低下したりする。ちなみに翼状片に似ている症状に険裂斑(けんれつはん)というものがあるが、角膜の上に広がることはない。
さてこの翼状片という病気、原因は紫外線や埃などの刺激、またコンタクトレンズやドライアイも原因と考えられている。中高年者に発症が多いという報告があるが、これは突然の発症ではなく、子供の頃から紫外線などを浴びてきた積み重ねで発症するからだ。
翼状片は気にならなければそのままでも構わないが、進行して視力に影響してくる場合があるために手術が必要となることがある。手術は角膜からその翼状片をメスなどではがし
切断された結膜を縫合し数日後に抜糸と、想像すると尻込みしてしまうような手術だ。術後は99%きれいに治るが、角膜中央に翼状片が入りこんでからの手術だと、術後に視力が戻らないこともあり、眼科医に早めに相談したほうが良いようだ。
翼状片を予防する効果的な方法は残念ながらまだ無く、サーフィンのときに帽子を被るなどしてできるだけ直射日光を避けるしかない。そんなことでと思う読者もいるかもしれないが、シーズンを通して考えるとそれで紫外線を遮る量は少なくはない。
夏の紫外線、冬の寒風や低水温と、人間にとってはタフな環境にサーファーは身をさらす。今回の病気だけではなく、常に身体のケアに注意してトラブルのないサーフィンライフを心がけよう。
(李リョウ)
参考文献
https://www.eyedoctors.jp/ecpmb/disease/d31.html
http://www.kawano-eye.jp/disease/pterygium.html
https://www.msdmanuals.com/ja-jp
https://www.emergency-live.com/health-and-safety/surfers-ear-the-cold-water-factor-and-more/
https://mobilesurfdoc.com/2016/05/19/i-have-surfers-ear-what-should-i-do/
https://mobilesurfdoc.com/surfing-medicine/
http://besshoganka.com/hp/?page_id=925