シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 47
気がつけば2月も終わり。湘南ではすでに春の陽気がそこかしこに…花粉も飛んでいます。クシュン!
暖かくなってくると、「夏がもうすぐやって来るぞ」と期待しちゃうけど、春は短いようでけっこう長い。夏といえる7月までは、3月から数えてもなんと4ヶ月もある。4ヶ月というと1年の三分の一。その4ヶ月の、波や快適に過ごすウエットについてアドバイスしたい。
海水は夏までずっと冷たい
気温はどんどん暖かくなるのに、春の海は冷たい水温が続く。それは海水が冬の冷たい空気に冷やされて、なかなか温まらないという現象が起きているからだ。それだけでなく、梅雨が重なり長雨が続くと、海水は冷たさをそのまま維持してしまう。つまり、『気分は夏』でも、海水は冬のままがしばらく続く。
太平洋岸の海水温は千葉が境目となる
海水温は海流の影響も大きい。関東圏でも千葉北になると水温が低くて驚くことがあるが、千島海流の影響によるもので夏になってもジャーフルが必要なくらい冷たいことがある。逆に千葉南は日本海流によって暖かい。
陽気に誘われて、風邪をひかないように!
3月になれば、春の陽気がいっそう増す。ポカポカした太陽の光。気持ち良さに誘われてつい薄着になってしまいがちだ。でも気温は体が感じているよりも低いことを忘れないようにしたい。冬の海がまだ終わったわけではない。Tシャツにビーサンで海へ出かけるのはまだちょっと早い、注意しよう。
決まればヤバイ、春の波
春だけでなく、季節の変わり目は波の予測が難しい。3月から4月にかけては、ぽかぽかした陽気でも冬のような気象状況が続き、ときおり南岸低気圧による南風が、大きな波を発生させることもある。
また、春は熱帯性の低気圧(台風)が発生するようになり、通過するルートによっては、ビッグウェーブと出会えるだろう。しかし、この時期の熱低は中国大陸の方へ進んでしまうことが多い…。それでも、沖縄や九州にはそのウネリが確実に反応する。
梅雨前線が発達するのは、関東ならば5月を過ぎたあたりからだ。梅雨とはつまりレインシーズンで、前線上で冷たい空気と暖かい空気がぶつかりあって雨となる。サーフィンとしては、前線に伴う低気圧がどう発達するか、もしくは前線が日本列島のどの位置にあるかで波のコンデションが変わる。
梅雨前線の位置しだいでは良い波が発生することもある。南から吹く風で波が起き、北から吹く風でオフショアとなり、結果として意外なほどの良い波をもたらすからだ。東北の太平洋側では『前線が発生するだけで波が上がる』という話を福島のサーファーから聞いたことがある。だから梅雨の時期は波には困らないとも彼は言っていた。
理想のジャーフルを考えると…
さて、春から初夏にかけてはジャーフルが大活躍する。両面ジャージ素材のフルスーツを略してジャーフルと呼ぶが、用途が広く、使用する期間も長い。春と秋に使用するジャーフルは季節の変化を感じるウェットスーツともいえる。
一言でジャーフルと言ってもその性能はさまざまだ。冬用のフルスーツとして使えるくらい生地の厚いタイプから、夏も着られる1~2mmのタイプもある。ここでは、生地の厚みが3mm以下の軽量なフルスーツというスタンスでジャーフルを考えてみたい。
いつごろからジャーフルを着るようになるか、それは地域によってかなりの差が出る。沖縄ではすでに波情報でさえジャーフルやスプリングスーツを推奨している。北海道ではまだドライスーツ必須で、ジャーフルでサーフィンができるのは夏のほんの短い時期だろう。ひとつの目安としては、桜の開花が終わってから、というのはどうだろう? しかしこれには個人差がありなんとも言えないところだ。
現在の湘南では、キャップ、グローブそしてブーツという重装備の人もいる一方で、イケイケのショートボーダーは、すでにジャーフルを着て素足でリップしていたりとバラバラだ。ちなみに筆者はすでに3mmのジャーフルにブーツでサーフィンをしている。TSNの編集部では5月を過ぎないとジャーフルは着ませんという人もいる。
冬用フルスーツとは違う
フルスーツと言ってもジャーフルは、冬用のスーツとは用途や目的がちょっと違う。冬用は保温力が一番だけれど、ジャーフルはむしろ快適性を重視していて、寒さだけでなく暑さにも対応できなくてはならない。だから、サーフィン中に暑くなりすぎないように、生地を薄くたり、海水が多少は入って体温を調整することも考慮し、快適性を向上させる。では、どんなジャーフルがオススメか?
ジャーフルは2mmか3mmか?
地域にもよるが、筆者の住む湘南で考えるのは以下のようなジャーフルが理想だ。かなり独断と偏見に満ちているが、参考と思って読んでいただきたい。
2mmか3mmどちらか1つ選ぶならば筆者は3mmを選ぶ。保温性とさらに耐久性も高いからだ。秋が深くなったときにもできるだけジャーフルでサーフィンをしたいという気持ちもある。ちなみに2mmのジャーフルは軽量ということもあり快適性は申し分ない。3mmと2mmのジャーフルを2つ持って使い分けられればベストだろうけど、ちょっと贅沢かな。
バックジップで、止水バリアや防水ジッパーは不要?
もしこれからジャーフルを作ろうと思ったら、価格の安いバックジップがオススメだ。バックジップの良い点は着替えが楽なことだ。いまのバックジップは生地の裁断が良いからパドルも窮屈に感じない。もし注文で作るならば、止水バリアや防水ジッパーはつけないことも考慮しよう。価格を安く抑えられるし、快適性も向上する。(地域差あり。千葉以北は通年で水温が低いから止水バリア等はあっても良い)
色に迷ったら黒
いろいろな色を選べるのもジャーフルの特徴だ。とくにこだわりが無ければ黒色を筆者はオススメする。ジャーフルは両面ジャージの生地で耐久性が高いから、大切に使えば何年も着ることができる。長く使うと黒以外は紫外線で退色しやすい。また汚れてきてもあまり目立つことがない。
裾ジッパーをオプションで…
足の裾に20cmくらいの長さの裾ジッパーを取りつけると、ウェットスーツを脱ぐのが超楽になる。もし注文先のウェットスーツメーカーで、オプションで取りつけてもらえるならば、検討の余地はあると思う。
まとめ
サーファーはジャーフルでサーフィンをする季節が大好き。水は少し冷たいけれど気温は暖かく、カリフォルニアのように過ごしやすいからでもある。とくに、春は寒い冬を耐え忍んで、やっとブーツから解放された気分を満喫できる。それこそ、サーファーにしかわからないフィーリング。そんなうれしいシーズンが、すぐそこまでやってきている!
(李リョウ)