2028年LAパラリンピックにも追加が検討されているパラサーフィン。
ISAが主催するパラサーフィンの国際大会、『ISA World Para Surfing Championship』では、毎年のように参加人数が増えており、カリフォルニアのハンティントンビーチで開催された2023年は2015年の初開催の倍以上となる27カ国184人のサーファーが参加していた。
日本は昨年を上回る6個のメダルを獲得して団体7位と世界のパラサーフィンの中では上位国でもある。
2023年9月には第1回全日本パラサーフィン選手権大会も行われた。
今回紹介するのは、大会という、そんな大げさな話ではなく、海の中では誰もが平等であり、サーフィンを楽しむ気持ちも平等。それを障がいを持つ子どもたちの教育。教育というのも堅苦しい。「体験」、ただ単純に人生を楽しむことに活かせないか?というワンデイキャンプの話。
2023年10月29日(日)に湘南の辻堂で一般社団法人こたえのない学校、FOXプロジェクトの主催、サーフライダーファウンデーションジャパン(SFJ)の共催、プロサーファーの武知実波さんの協力のもとで実現した。
ミラクルの連続で実現したワンデイキャンプ
このワンデイキャンプ実現に辿り着くにはいくつものミラクルが重なっていた…。
経緯やワンデイキャンプの詳しい模様はFOXプロジェクトの藤原さとさんのSFJの記事を読んで欲しい。
FOX Project x 海の寺子屋
https://www.surfrider.jp/column/8783/
藤原さとさんはFOXプロジェクトという重い障がいを持つ子どもたちのためのプロジェクトを運営している。
FOXプロジェクトは、全国で学校・教育者研修を展開する一般社団法人こたえのない学校のインクルーシブ教育の部門。
インクルーシブ教育とは、障がいのある子どもとない子どもが共に学ぶことである。
藤原さとさんは、あるきっかけによりSFJ代表の中川さんと出会い、コロナ禍を挟んでSFJのアンバサダーであるプロサーファーの武知実波さんとも繋がることになる。
そして、精力的に活動する武知実波さんと話す内にFOXプロジェクトの活動として「海で障がいのある子もない子も一緒に過ごすキャンプを実現したい」という夢が現実に向かって動き出したのだ。
藤原さとさんは武知実波さんの誘いで2023年9月に千葉の白子で開催された第1回全日本パラサーフィン選手権大会の見学に行く。
そこでキャンプ実現のために重要な多くの人に出会い、更に下見のために向かった辻堂でもミラクルな出会いがあった。
10月29日の当日。
サーファーなら分かるだろうが、日にちを決めてのサーフィンは天候や波のコンディションなどの予想がつかず、思い通りにならないのが常である。
しかし、この当日はまたしてもミラクルが起こり、晴れに加えて子どもたちに丁度良い穏やかな波と海水温だった。
この優しい海に重い障がいがある子なども積極的に海に入り、プロジェクトは無事に成功した。
“「障がいのある子もない子も一緒に学べるように!」などと考えていたが、もはやわたしは純粋に海を楽しんでいた。障がいのある子も包摂しましょう、一緒に学びましょうなんていうことは目の前に大きく広がる海の前では吹っ飛んでしまっていた。わたしが誰かを包摂しているのではない。誰でもない、わたしこそが海に包摂されて、穏やかに浮かんでいるのである。海がどんな人をも包み込んでしまうのだ。海を前にして、ちっぽけなわたしたち人間の力なんてとうてい及ぶところではない。
ああ、私は海に還ってきた。還ってきたのだ。 “
(空海)