PHOTO: ©WSL/Matt Dunbar

チョープーの新ジャッジタワー問題決着後の再燃…からの現状

F+(エフプラス)

先週ISAの15日付の情報アップデートでタヒチのタワー問題は規模を縮小して、軽量かつ自然環境に影響の少ないバージョンで建設を進めるということになり、そのための海洋調査や建設テストが近日中に行われる……で決着した様子なんだけど、たぶん周囲の雑音がすごいっぽくて、ISAは20日付で、新タワーの建設を俺らが支持してるわけじゃないからね、的なタイトルの責任きっぱり回避メールを流してきた。

その証拠に、俺らはちゃんと建設ストップの指示が出た後、ずいぶん前(12月9日)にタワーを使わないで陸からリモートでジャッジする代替案とその方法等を細かく記したものをフレンチポリネシア政府とパリ大会主催者に送ってるかんね~。で、そのあと、規模を縮小して建てるって決断をあっちがしたんであって、俺らがゴリ押ししたんじゃないよ~、みたいなニュアンスを行間にしっかり入れ込むような内容。なんかものすごい言い訳というか弁明というか、とりあえず責任回避だけはしっかりしておきましょうみたいな文言なわけだけど、たぶんISA近辺、大炎上なんだろうと思う。
まぁ、自然相手のスポーツであるサーフィン団体なだけに、環境破壊の先導者みたいなイメージは絶対NGなわけで、今回の一件もその辺ものすごく神経質になってるが故の出来事だと思う。これで選手の大会ボイコットとかでも起きようものなら、ISA崩壊だもんな。

で、まぁ、リモートジャッジでちゃんとやれるのかどうかは別として、方法論としては陸から超望遠のカメラとか、陸に高さのあるタワーを立ててそこから、とか、ドローンを駆使するとか、まぁ、ライブの多角的アングルから映像で判断するという方法なわけだけど、世の中ジャッジまでリモートかい、みたいな。
まぁ、もとよりジャッジングにはすでに映像も使われているわけで、そう違和感ないのかもしれないけど、これでコンマ数ポイントが違ってくるかもしれない。ポイント出てくるのに恐ろしく長い時間もかかりそうだし。そのコンマ数ポイントがメダルの色を変えるんだから、どうなのかなぁ。ほぼヘッドジャッジの採点にならうってことになるだろうし(あ、今もそうか(笑))。

そもそもサーフィンはビーチから肉眼で見るものであったわけだけど、それが正しいのかどうかは誰にもわからない。ただ、サーフィンコンテストが始まったときからそうだった、というだけのことだ。だから映像でのジャッジングを否定する理由はないけど、現実問題コロナで現場に出なかった後、3年ぶりに現場に出てみて、あぁ、ライブと現実とはこんなに違うんだ、と思ったのも事実だ。

PHOTO: ©WSL/Kirstin Scholtz

さて、こうなってくると気になるのはWSLの動向だ。
2024パリ大会の前、5月22日から同じ会場で試合なわけだけど、既存のタワーに関して、オリンピックじゃ使っちゃダメで、WSLはいいですよ、という判断はないだろうから、WSLも昨年まで使っていた既存のタワーは使用禁止となるんだろう。だからと言って、今建設が進められようとしている規模を縮小したアルミニウムの新タワーも、ISAがきっぱり、建設は支持してないからね~、と言っちゃった以上、それをフレンチポリネシア政府が建設したとしても、WSLが使うことはなんか炎上必至な感じがする。だって小さかろうが何だろうが、サンゴ礁への影響って避けられないだろうし。

(チョープーの波を得意とし、AUS代表でもあるジャック・ロビンソン)PHOTO: ©WSL/Matt Dunbar

特にCTサーファーの中には自然保護団体とかそういう活動を熱心にしている選手も多く、選手ばかりではなく、WSL自体もその手の活動には熱心だ。
となると、まぁ、タヒチは世界初のリモートジャッジでやります、みたいなアナウンスがあっても全く不思議ではない。
で、そうなるとISAは俺らが考えたんだから世界初は俺らで、みたいな、とにかく子供のケンカ的展開が見えてくる。
なんか団体ってどこも面白いな、と思う。

F+編集長つのだゆき

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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