昨年に引き続き今年も訪れたのはインドネシアのスマトラ島北端に位置するアチェ州。
正確なサーフエリアとしては、アチェ州の州都であるバンダアチェから30分ほどの距離に位置するロンガビーチです。
ロンガビーチのサーフシーズンはスウェルの乏しいインドネシアの雨季と言う事で、サーフィンに関しては基本的には以前にお届けしたコラムと似たり寄ったりといったところ。
そこで今回はエリア情報や波を外した時の観光情報などをシェアします。
インドネシアの中でも異質なアチェ州
インドネシアは人口の90%弱にあたる2億人ほどがイスラム教徒というムスリム世界最多の国。
なのですが戒律遵守はかなり緩く、最たる制限としては「豚肉を食べない」や「アルコールを飲まない」とあるもののどれほど守られているのか。
アルコールに関してはSNSを見ると隠す様子もないほど開けっぴろげです。
豚肉は首都ジャカルタでは中華街や中国人が多いエリアのレストランでは普通に提供されているので食べる事は可能。
そして豚肉を食べるムスリムに話を聞くとシンプルに「美味しいから」という理由であったり、「知らずに食べて美味しかったから止められなくなった」と言う友達もいました。
ただし、豚肉を食べるムスリムは全体的に見ればかなり少ないと感じます。
ムスリム女性の髪の毛を隠すヒジャブを被らない方も多く、このような事からムスリムと言ってもそれほど厳格ではありません。
ただし、アチェ州だけは様相が変わりインドネシアで唯一シャリア(イスラム法)が適用されているエリア。
アチェの空港に降り立つと、ヒジャブを被っていない女性がいないほどジャカルタとの変わりようは明白でした。
インドネシア人でイスラム教徒ではない女性なんかは「アチェには行けない」と口にしていたほどですし。
それだけ特殊であり異教徒であってもシャリアが適用されて罰せられるので、かなり慎んだ行動が求められる事になります。
日本と同じ津波による大被害を経験しているアチェ州
日本と同じく地震大国である事から、各地で頻繁に地震が発生しているインドネシア。
2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震はマグニチュード9.1を観測し、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と同規模でこれまでに世界で発生した地震の規模としては3番目となっています。
そして、スマトラ島沖地震の震央となったのがアチェ州の州都であるバンダアチェで、東北地方太平洋沖地震と同じく津波による大被害に見舞われる事に。
つまり、自然災害に関しては非常に日本と似通っている環境にあると言えます。
アチェ州の観光スポット
上記の点を踏まえた上で、ロンガビーチへとサーフトリップした際、波が小さい時などに観光に行くのに最適な場所があり、その場所は2つ共にロンガビーチからは30分ほどの距離に位置するバンダアチェ市内にあります。
まずはイスラム色が強いエリアと言うこともあり、イスラムの象徴と言えるモスク「Masjid Raya Baiturrahman」。
異教徒であっても壮観と感じられるほどの規模で、入場料は無料で施設内は裸足での入場となるので入り口で靴を預けます。
施設内には礼拝堂などがあるものの、異教徒はさすがに礼拝堂には入ってはいけないようなので注意が必要です。
もう一つの観光スポットは津波被害の記録を残している「Museum Tsunami Aceh(アチェ津波博物館)」。
普通に考えると気持ちが重くなりそうな施設ですが、根っから明るいインドネシア人がキャッキャしながら見学している姿を見ると気が休まりました。
私はリアルタイムの記憶がしっかり残っていて、クリスマス翌日と言うタイミングにして、信じられないような津波が迫ってくるテレビ映像は忘れられません。
それほどの経験をしながらも、20年近く経って現在はそんな災害があったなど微塵も感じさせない生活を目にすると、人間の力強さを感じさせられました。
ちなみに、グーグルマップなどの口コミでは入場料は無料でバイクなどの駐車料は有料とありますが、2024年1月現在は外国人は入場料が約150円で駐車料は無料でした。
(World Surf Movies)
※本コーナーでは、波情報BCM内で公開されているコラムの一部を掲載しています。