7月31日に発売された「ザ・サーファーズ・ジャーナル」日本版14.2号の読みどころを同誌のコントリビューティング・エディターも務める李リョウが紹介。
想いをつなぐ (Connecting Thoughts)/日本のサーフィンプロフェッショナリズム
ロックダンスはプロサーファーの添田博道氏が起業したサーフボードブランド。日本のサーファーならば誰でもこの名は知っていると思うが、ビジネスという枠を超えて日本のプロサーフィンを牽引してきたことはあまり知られていない。そこで今回サーファーズジャーナルが、これまで語られてこなかったジャパンオリジナルのブランドをその立ち上げから深掘りした。執筆はサーフトリップジャーナル誌の元編集長で、日本のサーフィン界を長年見つめてきた寺内崇氏。これは単なるヒーロー礼賛ではない。
ランチハンズ(Ranch Hands)/立ち入りが禁じられた楽園
カリフォルニアでランチと言えば、サンタバーバラの北にあるホリスターという牧場(ranch)を指す。海沿いのそこにはワールドクラスのサーフポイントがたくさんあるのだが、私有地だから簡単にはアクセスできない。だから一般サーファーは無断で侵入を試みる。その結果、銃を持った警備員に捕まってサーフボードを没収されたとか、警察に突き出されたという逸話が星の数ほどある。
そもそも、このランチの波が知られるようになったのは伝説のフォトグラファー、ロン・ストナーの写真が米サーファー誌に掲載されたのがきっかけだ。若き日のスキップフライがパーフェクトウェイブに向かってニーパドルする写真を記憶している人は多いだろう。あれはそのランチのコホというポイント。そのときの経緯を当事者が回想するのがこの記事。じつは彼らも無断侵入でランチに入りフォトセッションを行っていたという。知りませんでしたね~。考えてみればスキップもヒンソンも、さらにロンだってサンディゴのサーファーだからサンタバーバラは彼らにとってもアウェーだったんだね。ちなみにこのランチは区画で土地が販売されていて家を建てることができる。パタゴニアの創業者も住んでいる。おそらくトムカレンも…。
ラストワン(The Last one)/サーフボード作りを思索
ロビン・プロダノビッチというレジェンドシェイパーは、ゴードンアンドスミスの全盛時を支えたボードビルーダーの一人。70年代のG&Sは、週に200本を生産していたというからすごい!もちろんハンドシェイプの時代。だから彼が手で削ったサーフボードは数万に及ぶ。やがてマシンシェイプの時代が到来し…ハンドシェイプは絶滅寸前…いやどっこいそんなことはありませんよ。だってサーファーはハンドシェイプが好きだからね。そんなボードビルダーにまつわる長文のストーリーですが、記事の後半はラブレスのような新しいタイプのハンドシェイパーたちが紹介されています。小規模生産で運営するスタイルをブテイックボードビルダーと呼ぶようです。すでにジャンルは確率しつつあるね。
ポートフォリオ、ダニエル・プレン(Photo;Daniel・Pullen)
インタグラムに写真をアップしたらタイム誌の編集者から電話がかかってきたという。フォトグにとっては夢のような話です。しかも「2020年の100枚」という特集に選ばれたという、これまたゴイスーな話。これも夢だな。ダニエルは飯を食うためにブライダル写真を撮ってるらしいけど、ブライダルの撮影は勉強になります。若いフォトグにはお薦めです。クリップオンのストロボ上手くなりますよ。勉強しながら金もらってるみたいです。さて、彼はサーフィンをイーストコーストのアウターバンクスで撮っている。イーストはウエストとはガラリと雰囲気が違うから個性的な写真が撮れますね。ちなみにブレンのキャリアは写真大学で学んで…というのではなく、必要に迫られて技術や知識を習得していったタイプですね。Rowデータもずっと後になって使うようになったらしい。こいうタイプで写真が上手い人はピュアな才能があります。良い立ち位置で仕事しています。
(李リョウ)
THE SURFER’S JOURNAL(ザ・サーファーズ・ジャーナル)日本版14.2号
●世界でも選りすぐりのフォトグラファーによって捉えられた、サーフィンの美しく迫力に満ちた瞬間。
●新旧様々なライターたちに綴られる、本質的でバラエティに富んだストーリー。
最も信頼されるサーフィン誌として世界中のサーファーたちから愛され、書店では買うことができないライフスタイル・マガジン。
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