強風の中、ビーチクリーンに参加した子供たちと五十嵐カノア Photo:Chiaki Sawada

五十嵐カノア「ロス五輪で金メダル」宣言!ドジャース大谷翔平の活躍も刺激

五十嵐カノアが子供たちに海を守る大切さとサーフィンの楽しさを伝える「五十嵐カノアキッズサーフィンアカデミー」が20日、千葉県一宮町の一宮海岸で開かれた。

イベントは2019年からカノアとともに海洋保全活動に取り組む「SHISEIDO」と開催。当日は風速15mの北東風が吹き荒れビーチも波も厳しいコンディションとなったが、子供たちは元気にカノアとビーチクリーンに参加した。

悪天候で中止となったサーフィンアカデミーに代わり、カノアは子供たちを一宮町内の拠点へ招待。ロサンゼルス五輪で金メダルを目指す覚悟、目標に向かって日々努力を積み上げるためのルーティンの中身やMLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手についても語り、スター選手のリラックスした一面を覗かせた。

強風でサーフアカデミーは中止

カノア登場で一気にテンションが上がる子供たち Photo:Chiaki Sawada

目を開けられないほどの砂嵐でうつむきがちだった子供たちが、カノアの登場とともにパッと笑顔になった。「SHISEIDO BLUE PROJECT」の青いTシャツを着たカノアは「集まってくれてありがとうございます」と呼び掛け、さっそくビーチクリーンを開始。時折、子供たちにサーフィンの秘訣を伝授しながら、約15分間、一宮海岸のごみを拾った。

懸命にごみを拾う桑原叶空(かのあ)くん(左) Photo:Chiaki Sawada

東京都府中市から来た桑原叶空(かのあ)くん(5)の名前は、父健太さん(40)が「サーフィンも勉強も一流になってほしい」という願いを込めて、カノアにちなんで付けた。本物のカノアを前に、叶空くんは「試合見てました」など、たくさん話しかけ「かっこよかった」と興奮した様子。すでにサーフィン歴1年でプロを目指しているという。

急遽、カノアの一宮町の拠点に招待

ライフセーバーの三井さん(左) Photo:Chiaki Sawada

急遽決まったカノアの拠点でのイベントには、パドルボード世界選手権で優勝したライフセーバー三井結里花(ゆりか)さんも参加した。「ライフセーバーとして、海で『助けて~』という状況を作らないよう事故を未然に防ぐことを一番に活動しています。選手としては、パドルボードの20kmを漕ぐ速さを競う世界選手権で優勝しました」と自己紹介。

事故を防ぐため「海をよく見るようにしている」と語ると、カノアも相槌。「まずは自分の命を守るため、どんなところが危ないか、風や潮の流れを、準備運動しながら見るよう心掛けている」と話した。

「毎日同じルーティンで目標に近づく」

毎朝のルーティンを子供たちに教えるカノア Photo:Chiaki Sawada

カノアは毎朝、起きて必ず行うウォームアップを丁寧に説明。足首から頭まで下から順番に1か所2分ほどずつ、合計約15分かけて行うという。「サーフィンをしない日もやる。目標のためにルーティンが一番大切。どこにいても同じことをやる。毎日同じことを考えていれば目標に近づいてく」と、一流ならではの考え方を述べた。

ビーチクリーンは世界中で40回

カノアの拠点に招待された子供たち Photo:Chiaki Sawada

SHISEIDOとともに世界中で行ってきたビーチクリーンは40回を超えた。最も印象的だった活動について、カノアはタヒチでのサンゴの移植活動を挙げた。「ゴーグルをつけて海の中に入ると何も聞こえないほど静か。自分の力で潜ってサンゴを置くのは大変だったけど、海を守るチャレンジが印象に残っている。いつかみんなと一緒にやりたい」と、子供たちに笑顔で語りかけた。

また、今後の目標として「2028年ロス五輪で金メダルを取ること」と明言。「準備はもう始まっている。そこに近づくために何が必要かスケジュールを立ててルーティンをこなして、いい物を食べ、毎日サーフィンをする。来年は世界チャンピオンになれるよう、ケガがないよう、トップでいられるようにしたい」

子供たちもそれぞれ「最年少プロになりたい」「ジュニアオープンか全日本選手権で優勝したい」と夢を披露した。

子供たちにTシャツとラッシュガードをプレゼント Photo:Chiaki Sawada

「1%でもよくなりたい」

カノアは米ハーバード大大学院で経営学を専攻しており、参加者の1人が「なぜ勉強も頑張るのですか」と質問。カノアは「毎日なにか1%でもよくなりたい。サーフィンだけでなく、勉強だけでなく、兄として息子として友達としてもよくなりたい。勉強もそのための一つ。一生勉強したい。たとえハーバードの講座を受けてなくても、毎日勉強していると思う」と、高い志を示した。

イベント後の囲み取材での質疑応答は以下の通り。

Q 子供たちに伝えたいことは

今日の天気はちょっと厳しいコンディションで、でも、それはもう自然相手ってことで。その中でも子供たちと一緒にビーチクリーンができた。子供たちに今回1回だけでなくて、海でちょっとごみ拾いしようかなって自分でしてもらうことが一番大切なメッセージ。それだけでも、子供たちと一緒に喋れたことが、すごいうれしいです。

子供たちと話しながらビーチクリーン Photo:Chiaki Sawada

海を守る習慣をニューノーマルに

Q スポーツ選手と子供たちの関わりについて

子供の時に、当時の選手に海でサポートしてもらって勉強になった。ケリー・スレーターとかにいっぱい教えてもらって、一つ一つの言葉が印象に残った。自分もネクストジェネレーションに同じポジティブなことを伝えたいなと思う。特にこういう海を守ることは、どんどん子供たちのニューノーマルをスタートさせるということなので。海を楽しむことと守ることを、子供の時からみんなに伝えたいなと。

千葉・一宮町の拠点で子供たちとリラックスした様子のカノア Photo:Chiaki Sawada

Q 次の目標は

今年、2024年オリンピックが終わり、金メダルへの目標、モチベーションは強くアップした。3年4年の間に自分のサーフィンがもっと進化し、もっとうまくなるために、どういうことが必要なのか、今、その設定中。来年は世界チャンピオンになりたいということで、金メダルと世界チャンピオンになる目標は、続けてがんばりたい。

悪天候でもビーチクリーンは決行 Photo:Chiaki Sawada

Q 2024年はどんなシーズンだったか

すごい経験も、いろいろ勉強になったシーズンだった。自分は、こうしたから絶対結果が繋がってくるという考え方だったんだけど、特に自然相手のスポーツは、ちょっと新しいことをして、よくしただけで、結果がそのまま繋がるわけでもないっていうことを、すごい勉強になった。その中で、自分がやってることは合ってると知ってるから、それを続けて、来年に向けて、今年すごく勉強になったし、自分はいいリズムに入ってると思う。それを続けて来年に向けて、今年ミスしたことを、ちょっとずつ直していって、よくなりたいと思います。

「大谷選手のおかげで野球見るように」

Q LA出身。MLBドジャースや大谷選手の活躍は

もうたぶん、世界的に、野球見てない人でも、大谷選手のこと知ってると思うので。本当にやっぱ日本人ってことで、すごい自分もモチベーションにもなるし、頑張ってもらいたいし。大谷選手のおかげで、自分も野球も見るようになったとか、いろいろあるんで。本当に感謝の気持ちと、頑張ってもらいたいなと思う。

ビーチクリーンに参加した子供たちと記念撮影 Photo:Chiaki Sawada

Q 日本の各地で海に入った感想は

日本の海はいつもやってて。一つ一つの国、行く場所で、ちょっと波に癖があるっていう感じで、日本の波もまた世界にない。この前、一宮でサーフィンやった時、波がすごくおもしろくて、よくて。日本の波へのチャレンジはおもしろいし、あまり世界にない形の波なので。久しぶりに日本の波でやるのは、すごく気持ちよくて、いつも楽しんでます。

Q ビーチクリーンでは子供たちとどんな会話をしてきたか

ごみ拾いの説明とか、どういうごみを見つけて、なぜこのごみはよくないのか、何に繋がっていくのか、そういうことをいつもしゃべっている。あとサーフィンのこととか、世界トップの選手たちと戦うのはどういう気持ちなのとか。世界を回ってて疲れないのとか、どういう食べ物が好きなのとか、いろいろ。ごみ拾いだけのことじゃなくて、子供たちと一緒にいる時間っていうことで、2時間3時間ごみ拾いしてても、すぐ10分で終わっちゃったっていう感じの気持ちなんで。ずっと一日中一緒にいたいって感じで。子供たちが聞いてくる質問も、例えばケリー・スレーターと戦うってどんな気持ちなのって聞かれたら、自分もすごく深く考えて、いい答えをあげたいなっていつも思っている。

質問に答えるカノア Photo:Chiaki Sawada

Q ビーチクリーンでは、どんなごみが多いか

一番見るのは、ペットボトルのキャップ。マイクロプラスチックをいつも海で見かける。そのちっちゃいプラスチックなんですけど、それが意外と一番危ないんですよね。魚とかが食べるから。大きいごみよりもちっちゃいごみの方が気を付けないといけない。

子供たちの保護者やスタッフも一緒に記念撮影(SHISEIDO提供)

(沢田千秋)

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