ケリー・スレーターのウェイブプールを語る上で、欠かせない存在となるのが最大のライバルと言えるグレッグ・ウェバー。
トップサーファーのケリーに対しトップシェイパーのウェバーと、どちらもレジャーとしてのウェイブプールではなく、サーファー視点におけるトップクオリティの人工波を追求したためです。
過去には特許権争いなども発生していたので、これまでの両者の軌跡を振り返ってみたいと思います。
まずお伝えしておく点として、ケリーとウェバーは険悪な関係ではありません。ケリーのボードブランドであるスレーターデザインからは、ウェバーのボードモデルもリリースしている事から、お互いの専門分野においては敬意を払っていると言えます。
そんな二人の特許権争いが大々的に報じられたのは、2011年後半のこと。ケリー側は2008年から2回に渡りアメリカでウェイブプールの特許申請を行うと、すでに申請済みであったウェバーの特許侵害になるとのことで大部分が却下されたと言うのです。
2011年当時、ウェバーがフェイスブックで投稿していたウェイブプールの形は以下の通りです。
さらには、2012年には海外メディアにて、Webber’s Wave Poolの商業開発に関するイメージ図なども公開。
それから時は過ぎ、2014年8月にケリー側のウェイブプール完成予想図として公開されたイメージが以下の通り。
ケリーが自身のウェイブプールにおける初ライディング動画を公開したのは2015年12月のことなので、1年少々前の完成予想図が別物というのは意外な事実ではないでしょうか。
一方、特許権ではケリーに先行していたウェバーですが、2014年にクイーンズランド州で建設許可の覚書を交わし、2015年9月に完成予定だったものの実現には至らなかったことが報じられました。
しかも、2014年になるとウェバーのウェイブプールの完成図は、当初の円形ではなく長円形へと形状を変えていました。
その間、ウェイブガーデン社による造波装置「ウェブガーデン」を使用した商業ウェイブプール「サーフ・スノードニア」が2015年夏にイギリスのウェールズにてオープン。
サーフ・スノードニアではレッドブルによるサーフイベントが開催されたりと、モダンウェイブプールの新たな時代幕開けと大いに盛り上がりました。
それから程なくして、ケリーのウェイブプールは前述した通り、2015年にCT最終戦のパイプマスターズ終了後に映像公開という形でサプライズ発表と続きます。
では、先行していたはずのウェバーによるウェイブプールは!?
長らく経ったのですが、MagicSeaWeed誌が公開した2017年12月22日付けのインタビュー記事によると、ウェバーは数週間以内に建設工事がスタートし、2018年半ばには完成予定と公言しています。
ウェバーとパートナーシップを結んでいる「Tunnel Vision Wave Park」社は、先月のインタビューで、クリスマス前までに建設許可を取ると言及しているので、許可を得たと見て良いのではないでしょうか。
すでにフルスケールに近い形でのテスト済みと話すウェバーのウェイブプールは、本人談によるとケリーやウェイブガーデンの人工波を遥かに凌駕するクオリティとのこと。
また、ウェイブプールの形状は長さ300メートル幅150メートルの長円形で、ライトとレフトのポイントブレイクのような波を同時に発生可能だそうです。
ブリスベン空港から南に34分、ゴールドコースト空港から北に61分という距離に建設予定のウェバー念願のウェイブプール。今度こそは予定通りの完成を期待したいところです。
COVER PHOTO:Tunnel Vision Wave Park
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