リバーサーフィン、レイクサーフィン、タンカーの引き波など、世界中の変わった波を追いかける人気シリーズ『Weird Waves』のホスト、ディラン・グレイヴズがVansとの新しい動画シリーズ『Breaking Waves』をリリースした。
サーフィン界で避けられがちな問題を取り上げ、当事者の声に耳を傾けることで、少しでもオープンで心地よいサーフィン文化を作る狙いだ。
エピソード1では、LGBTQ+のサーファーを支援するサンフランシスコの団体「Queer Surf」を訪れた。
「この話題というのは、サーフィンではあまり触れられてこなかった。学んで、成長するためには、話をするほかない。活動している団体と話をして、その感想や私たちがどうサポートできるかを聞きたかった。彼らは他の人と同じように海を楽しむ権利がある。しかし、サーフィン文化ではまだ抵抗があり、その文化をどう作り変えるかを考えたい。」と語るグレイヴズ。
マイノリティに厳しいビーチカルチャー
サーフィンなどのビーチカルチャーでは男女の線引きが非常にはっきりしている。男子はボードショーツ、女子はビキニ。しかし、その2択に当てはまらない人もいる。
LGBTQ+と称されるこれらのセクシュアルマイノリティにとって、サーフィンの世界に踏み入れることは危険だらけだ。怒鳴られたり、バカにされたり、しまいには海から上げさせられたり、と。自分のアイデンティティを隠して溶け込もうとしても、女性やLGBTQ+への悪口が飛び交う中、決して心地よい居場所とは言えない。
理解に欠ける人間はどこの海にでもいて、すべての人に受け入れてもらうのは難しいだろう。Queer Surfではお互いを理解して尊重している仲間を集めることで、少しは安心して海を楽しむ環境を作り出している。
リーアン・カレンも登場
トム・カレンの娘、リーアン・カレンにも取材をした。恥ずかしそうに問いかけるグレイヴズに対してリーアンは軽快に自身のセクシャリティについて答えた。
2000年代の初めごろまでは自分のセクシュアリティを隠していたけれど、カミングアウトしたハワイのケアラ・ケネリーのインタビューにインスパイアされて、自分の性的指向に正直に生きる勇気をもらったと言う。メディアではLGBTQ+の話題が全く取り上げられてこなかったので、ケネリーがオープンに話すのは衝撃だったと言う。
オープンなサーフィン文化を作るには?
この記事をここまで読んでいる時点で読者は少なくてもLGBTQ+に対してある程度の理解はあるだろう。しかし、もっとオープンなビーチカルチャーを作るためにはまだ出来ることがある。もし自分がサーフカルチャーに受け入れてもらえたのであれば、取り残された人に対してやさしく接してみて欲しい。
もう一つはジェンダーへの理解を深める事。ジェンダーは男性と女性の二択ではなく、幅広いグラデーションのような分布であって、両方の性やどの性にも属さない人もいることを理解して、尊重する。恋愛対象についても同じように言えるだろう。
いろいろな思考を受け入れることで損をすることはないはずだ。自分自身が無理やり別のジェンダーになったりする必要は全くないのだから。ジェンダーは人それぞれだと理解するだけでも大事な一歩。ビーチは全ての人のものだ!
ケン・ロウズ