おそらく多くのサーファーが聞いた事があると思われる「フルムーン(満月)になると波が大きくなる」というセリフ。
私もかつては先輩サーファーなどから言われたことのあるセリフで、特にインドネシアのような赤道付近の国では顕著だと聞いた事があります。
しかし、冷静に考えてみると波の発生源となるのは風であり、インドネシアではローリングフォーティーズ(南緯40~50度の海域)辺りからのスウェルが遠距離を移動してヒット。
つまり、風波ではなく長周期のスウェルが、フルムーンを迎えるタイミングで毎回サイズアップすると言うのは違和感を覚えます。
そんな疑問を解消するべく、海外サーフトラベラーにとってお馴染みとなる波予報サイト「Magic Sea Weed」が過去のデータから月相による波のサイズ比較を行っています。
インドネシアにおける35年に渡るアーカイブデータからの比較表が以下の通り。
上記データを見ると、平均サイズとしてフルムーンの時に大きくなっているわけではないことが分かり、フルムーンがビッグスウェルを引き寄せているわけではありません。
とは言うものの、今も昔もまことしやかに語り継がれるフルムーン神話。その答えは潮回りにあるのかもしれません。
サーファーであれば必ずチェックするタイドチャート。例えば、ロータイド(干潮)から潮が上げ始める時間は波が良くなることは珍しくなく、さらに潮回りが大きい時の方が顕著。
フルムーンの時は大潮周りとなり、最も潮の満ち引きが活発になるので、時間帯によって一時的にサイズアップする可能性は十分にあります。
結論を言ってしまえば、フルムーンだからと言ってスウェル自体がサイズアップするわけではないのだけれども、大潮の影響はあるといった感じですね。
ただ、サーファーとしてはロマンを感じ、フルムーンだからサイズアップするというセリフを鵜呑みにしていた昔のように、信じてしまいたくもなります。
参照記事:「MYTHS IN SURFING: DOES A FULL MOON MAKE BIGGER WAVES?」