つい先日、WSL(ワールドサーフリーグ)がCBD(カンナビジオール)ブランドであるcbdMD社がWSLビッグウェイブイベントのタイトルスポンサーになったと発表しました。
CBDとは大麻草に含まれる100種類以上の成分「カンナビノイド」の一つであり、CBDオイルなどがアメリカなどでは流行していて、cbdMD社はすでにジェイミー・オブライエンやネイザン・フローレンスなんかのスポンサーとなっています。
ただ、日本では大麻が厳しく規制されていて、大麻取締法違反の疑いで逮捕される有名人のニュースも珍しくないので、今回のWSLの発表に違和感を感じる方もいることでしょう。
また、海外サーフメディアでも今回のパートナーシップについては賛否の声があります。そこで、まずはCBDと大麻の関係を紐解いていきます。
CBDの概要
CBDとは前述した通り、100種類以上ある大麻由来成分の一種。
実際にCBDを抽出する流れとしては、まずは大麻草に含まれる100種類以上ある化学物質の総称である「カンナビノイド」を抽出します。このカンナビノイドの中から、今度はCBDを分離させて抽出することになります。
カンナビノイドの中には、いわゆる大麻の代名詞と言える「ハイ」になれる成分も含まれ、その成分がTHC(テトラヒドロカンナビノール)。
THCは大麻草の花や葉に多く含まれており、日本の大麻取締法の対象となっていますが、大麻草の茎や種子については規制の対象外となっています。
つまり、日本であっても大麻草の茎や種子から抽出したCBDをオイルや電子タバコなどで摂取する分には合法というわけです。
ですが、CBD商品の中には基準値以上のTHCが含まれていたといったケースもあります。
THCが混入する理由としては意図的に混入したケース、それに、茎や種子にTHCが付着した可能性があるなど、諸説囁かれています。
そのため、THCフリーのCBD商品を利用していると思いながら、気付かずにTHCを摂取してしまっていたという事例もあり得るとのこと。
海外から日本国内に入ってくるCBD商品は、通関の際に厳しくチェックされているとのことで問題ないようです。
CBDのアスリート使用
アスリートともなれば、日常的に摂取してきた常備薬などにも気を配る必要があります。その理由は、ドーピングルールに抵触しないため。
そこで気になるのがCBDの扱いですが、WADA(世界アンチドーピング機構)は2018年からCBDを禁止薬物リストから除外しています。
大麻草の成分の中で、唯一除外されているのがCBDですが、「CBD抽出の際にTHCが含まれる可能性がある点に注意が必要」とWADAサイトには但し書きがされています。
カナダやアメリカの一部の州では大麻が合法になっている一方、WADAではTHCは禁止薬物に指定されているためです。
CBDの効用
一般的に言われている効用としては、依存性は低いにもかかわらず、慢性的な痛みの軽減や睡眠の向上、さらには美容にも効果的と挙げられます。
こういったメリットについてはWSLもプレスリリースで言及しています。
我々はcbdMD社とジョーズ・ビッグ・ウェイブ・チャンピオンシップのパートナーシップを結ぶことを発表できエキサイトしています。
ビッグウェイブサーフィンにおいて、パフォーマンスとリカバリーは最も重要なポイント。今回のパートナーシップを機に、CBDの有効性が消費者に知れ渡る一助になればと思っています。
CBDに反対の意見
今回のWSLがCBDブランドと提携した件に関する反対意見としては、「ヘルシーではない」や「禁止薬物であるTHCが混入した場合はドーピングルールに反する」など、決定的に排除を求める内容ではありません。
ヘルシーという点で言えば、ビール会社のコロナやエナジードリンクのレッドブルなども同じ土俵に上げられることが多いですが、WSLイベントのタイトルスポンサーを務めているので。
では、なぜ用心深い意見が飛び交うのか?WADAは2017年までは大麻草の成分全てを禁止にしていて、CBDを禁止薬物から除外したのは2018年とつい最近のこと。
CBDに注目が集まり始めてからの事なので、CBD自体がまだ新しいものという点がポイントではないでしょうか。新しいという事はデータ自体が少なく、その点が大きな懸念材料と考えられます。
例えば、アメリカではオピオイド中毒が社会問題となり、トランプ政権は2017年10月に公衆衛生の緊急事態と宣言したほど。
オピオイド自体は適切に摂取している分には問題ないはずだったと思いますが、処方薬にもかかわらず簡単に医師が処方することから、2015年には薬物中毒死の半数弱がオピオイドの過剰摂取が占めたほどです。
つまり、現時点においては素晴らしい効用があると見られるCBDであっても、使い方次第では悪魔に化ける恐れもあります。
3×ワールドチャンピオンであったアンディ・アイアンズが32歳という若さで亡くなったのもオピオイドの過剰摂取でした。昨年公開された映画「Andy Irons: Kissed By God」でも語られていましたね。
サーファーとしてはアンディの死は大きな教訓にしなければならず、だからこそWSLの判断には賛否が分かれるのだと推測します。
まとめ
CBDがアスリートにとって救世主となるのか、はたまた悪魔に化けるのか判明するにはまだ時間が掛かるというのが現状とも言えます。
ですが、すでにCBDはアメリカのセレブなどが有効性をSNS投稿することでブームの兆しを見せています。
あくまでも合法ですので、使用するかどうかは個人の判断に委ねられます。
今回のWSLとCBDブランドの提携と言うニュースをきっかけに、一度しっかりとCBDというものを考えてみてはいかがでしょうか。
参照記事:cbdMD Partners with World Surf League for Jaws Big Wave Championships|World Surf League