2TIMES WORLD CHAMP TOM CARROLL PHOTO BY ELLIS
シリーズ「おいらはサーファーの味方」①
パワーサーフィンを信条とするサーファーにトム・キャロルのファンは多い。彼がパイプラインでみせたトップターンは鮮烈に僕の心に焼きついている。サンセットであんなにディープなボトムターンができる人は未だにいないんじゃないかって思う。世界タイトルも2度手中にしているけど、現在のようなドリームツアーだったらもっと数多く世界チャンピオンになっていただろう。そのトム・キャロルが米サーファー誌にサーフィンについて語った。試合に勝つためのモチベーションやサーフィンの本質なんかにも迫っている。
俺の心に刻み込んだ言葉
「 “人生でもサーフィンでも、お前よりも上手くやる奴は必ずどこかにいる、と思ったほうがいい” 友人に言われたそのアドバイスを俺はいつも胸に刻んでいたね」
サーフィンに才能は必要か
「集中力と努力が、才能よりも重要だ。ジョンジョンやケリーにはすばらしい才能がある。でももっとすごいのは彼らのサーフィンに対する集中力と取り組む姿勢だ」
現在のツアーについて
「賞金額が上がってCTツアーのテンションが上がった。それは目標のラインが上がったということさ、プレッシャーが大きくなってそれに対応できるやつとできない奴に分けられるんだ。しっかり賞金を稼いで良いサポートチーム、良いマネージャーを雇ってプラスに変えるのさ」
モチベーションとは
「怒りは何かに打ち勝つためのモチベーションになるが、ときとしてそれは俺を混乱させたね。選手でいた頃は試合で勝つためにテンションを上げて戦った。でもサーフィンが上手くなったと気づいたのは選手を引退してからだった。つまりサーフィンはボクシングのようにリングに上がって戦うことじゃあない。むしろそれは一人でダンスを演じているようなものなんだ。波に乗っている瞬間に自分のスタイルを演じているってことさ、優美とパワーを海からのセンスを感じながら表現しているのさ」
最大のモチベーションとは
「試合の中で、勝つ理由が誰よりもはっきりしている選手は強いね。信じられないくらいの実力を発揮するよ。1987年のパイプラインマスターズの俺がそうだった。ファイナル前日に姉が交通事故で死んでしまったんだ。(トムの母は彼が幼い頃に病死している)俺は試合をキャンセルして帰国しようとした。でも父親が、姉さんはお前がパイプラインで勝つのを望んでいるよ。と電話の向こうで言ったんだ。そう聞いた瞬間、俺にはパイプラインで勝つこと以外に何も見えなくなった。俺は無心で姉のためにサーフィンをした。もうそれ以外のことには関心が向かなかった。でもね、その湧き上がるモチベーションは捕らえようとしても、コントロールしようとしてもできない。できることは流れに任せて一緒に進むだけなのさ」
怪我の功名
「サーフィンを止めようと思ったことは一度もないけど、怪我をするとしばらくは止めざるをえないよね。でもその間はサーフィンから離れていろいろなことを冷静に考えることができる。人生はサーフィンだけじゃないからね」
米サーファー誌ウェブマガジン:wisdom:Tom Carroll BY TOOD PRODANOVICHより抜粋
reference: https://www.surfer.com/features/wisdom/
(李リョウ)