「スラスター対クアッドフィン」どう違うか、いつ乗るか?

4フィン(クアッド)をオプションとして選ぶ意味。いつ使えば良いのか?

クアッドフィンはスラスターとツインフィンの欠点を埋めることができる。サーファーはコントロール性を失うことなく加速性とルース性を得たいと思っている。その要求にクアッドは応えることができる。しかもクアッドはヘビーでホローな波や、逆にパワーの無い波にも対応できる。もちろんそれにはフィンの配置が重要だ。小波のときには、リアフィンがフロントフィン寄りでかつ左右のレールに近いセットアップのクアッドを選べばルースなターンを得られる。つまり反応が良くテールがスライドしやすいドライブ性能を得られるということだ。

もし大きなホローの波にクアッドで挑戦するならば、リアフィンがテール寄りのサーフボードを選ぶと波のフェイスによくホールドし加速性も向上する。また切り立った波のハイラインをキープするとき、クアッドは2枚のフィンがフェイスに食い込んでホールド性を高めると同時に、センターフィンからの抵抗が無いために加速性がスラスターより高い。つまりクアッドは高速のバレルと相性が良い。またテイクオフ後にサーフボードに立ちパンプやドライブを加えなくともダウンザラインでスピードに乗りやすいという特徴もクアッドにはある。

(クアッドにはフィンプレースメントが2種類のある。リアフィンの位置がフロントフィンと並行であるものと、スラスターのセンターフィンのようにストリンガーに対して垂直なものだ。後者はフロントフィンとセンターフィンのプレースメントの角度に違いがあるために、水流の中で相反しあいほんのわずかな引きずり抵抗が起こると言われている)

ファイブプラグにクアッドフィンを装着。プラグの位置とフィンの種類と数そして変化する波。経験を積んで自分のベストフィンセットアップを見つけよう

3フィン(スラスター)を選ぶ意味と、どんなときに使うべきか?

スラスターのフィンセットアップが誕生してから30年が経過しているが、現在もプロサーファーを含めて多くのサーファーに支持されている。しかしクアッドの性能が良いならば、あえてスラスターにする意味があるだろうかと疑問が残る。スラスターが選ばれる理由は、オフザリップのときにパーフェクトなセットアップだからなのだ。

クアッドは、波が小さくても、ホローで大きな波でダウンザラインするときにもすばらしいかもしれない。しかしスラスターには「こうしたい」とサーファーが感じた瞬間にレスポンス良く反応してくれる。その反応はクアッドよりも上だ。つまり質の良い波で高いレベルのサーフィンをしたいときに安定したコントロールを約束してくれるのがスラスターだ。例えば肩からオーバーヘッドの波をイメージしてほしい。トップトゥーボトムのサーフィンができてターンに十分なスペースがあるとする、そのときこそスラスターの出番だ。もちろんスラスターは小波でも大きな波でも機能する。しかしフィンの大きさとサーフボードとのコンビネーション、そしてサーファーの要求するものが何かということがそのセットアップを機能させるには重要だ。近年ではビッグウェーブの世界でクアッドが注目されているが、それは加速性とハイラインでのホールド性の良さが理由だ。しかし今でもスラスターが有する安定とコントロール性を好むサーファーもいる。

ファイブプラグにトライフィン(スラスター)のセットアップ。3か4かは嬉しい悩みどころ

さて、どんなボードを選ぶべきか?

サーフボードを探しているのならば、前述のBoard Engineのサイトにアクセスしてみるといい。そのときにもしファイブプラグのボードがあれば迷わずそれを選ぶことを薦める。理由は、いろいろなフィンセットアップを経験するほうが、サーフィンが上達するからだ。つまりサーフィンは、さまざまな経験を積み重ねた方が技術的な対応力が増す。

ファイブプラグのフィンボックスによって水の抵抗を心配する人がいるかもしれないがそれは無用だ。シェーパーの何人かはスラスターかクアッドを選ばなくてはいけないという主義の人もいる。だがそういう考えを持つビルダーは、今では少数派だ。もしカスタムオーダーをするつもりでファイブフィンプラグが選べるならばそのオプションをお勧めする。例えばヒプト・クリプト(※オーストラリアのサーフボード・オブ・ザ・イヤーを2年連続で受賞した、オールラウンドのハイ・パフォーマンスボード。ファイブプラグ)をデザインしたヘイデン・コックスは、最初はスラスターとしてそのボードをデザインした。そのシェープのボトムコンツアーは加速性が十分だからクアッドは必要ないとヘイデンは考えたからだ。しかし、市場の要求が高まりファイブプラグのヒプト・クリプトが誕生することになったのだという。だがヘイデンは、ファイブプラグのプレースメントに相当悩んだようだ。プラグを2つ増やせばいいという単純なものではなかったという。
さて、とにかくファイブフィンプラグを選べるチャンスが訪れたら、迷う必要はない。そこから得ることはあっても失うものは何もない、サーフィンは経験こそが全てなのだから。

(李リョウ)

Ref:www.theinertia.com/surf/thruster-vs-quad-fin-what-to-ride-and-when/
Thruster vs. Quad Fin: What to Ride and When

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