2018年に引退したミック・ファニングの空いた枠に入ったマイケル・フェブラリー。
通称’マイキー’、26歳。
南アフリカ出身、黒人としては初のCTサーファーは周囲からの期待も大きかったが、残念ながらコンテストの世界で彼の真価を発揮することは出来なかった…。
しかし、黒人独特のリズム感と身のこなしでフリーサーフィンの世界で才能を開花。
アレックス・ノスト監督 『Tan Madonna』でもフィーチャーされている。
マイキーに最も合うサーフボードはレトロフィッシュだという意見が多い。
2019年のJ-Bay戦にワイルドカードで出場した時に参加したスペシャルヒートの『Corona Highline』でも、ツインフィンでフローターの際に片足をクロスさせて上げる「ディスコ・フローター」や、ステファニー・ギルモアとの息の合ったシェアライドを披露して世界中のWSLファンを唸らせた。
今回WSLが公開したマイキーの作品、カイ・ネヴィル監督の『Road to the Highline』は南アフリカでの10日間、様々なシェイパーが削ったレトロツインフィッシュを持ってマイキーがダーバンからJ-Bayを旅した記録だ。
実は『Corona Highline』でステファニー、マイキーを始め、ライアン・カリナン、ジョアン・ディファイが乗っていたレトロツインフィンはマイキーがシェイプしたボードで作品の中にもその過程が登場している。
『Corona Highline』の前日、J-Bayを見渡せる丘の上でステファニーに自らが削ったボードを手渡すマイキー。
J-Bayで一番相性が良いのはツインフィンなのよねと意気投合した二人。
あの見事なシェアライドはこんなバックステージの元で生まれたのだろう。
スタイル、クラフト、フリーダム、アドベンチャー、コネクション。
これはサーフィンの美しい遺産を作り上げてきた人々の軌跡を辿る物語でもある。
(黒本人志)