2007年、当時19歳のジュリアン・ウィルソンが日本滞在時に編み出したエアリアル「スシロール」は世界中のサーフィンメディアを驚かせていた。
あれから10年以上の月日が過ぎ、またしてもジュリアンが革新的な技を披露した。
それはスケートボードやスノーボードの技であるレールでのボードスライド。
メルボルンのウェーブプール「UrbnSurf」でメイクした動画が話題になっている。
サーフィンのボードスライドの歴史
そもそもスケートボードやスノーボードの技であるレールでのボードスライドをサーフィンでトライしようとする発想はどこから来たのだろうか?
それは90年代後半から2000年代初頭まで遡る。
カリフォルニアのジョシュ・ソリ、オーストラリアのジェイムス・カットがレールサーフィンの愛好家として知られている。
また、ジュリアンが「スシロール」で話題になっていた頃、雑誌「TransWorld SURF」のスタッフが「FUEL TV」の番組、「Built To Shred」と協力して海にレールを浮かべ、ボードスライドに挑戦する企画を行った。
最初は波によってレール自体を浮かべるのに苦戦したり、破損したりもしたが、カリフォルニアのサーファー、リッキー・ホワイトロックがボードスライドに成功した。
ジュリアン・ウィルソンの挑戦
当時、サーフボードでのボードスライドの映像、写真が「FUEL TV」やサーフィン雑誌でリリースされた時は衝撃的だったが、賛否両論あり、いつか忘れ去られていた…。
しかし、10年以上の月日が過ぎ、ウェーブプール上に近代化されたレールが設置され、ジュリアン・ウィルソンと科学者のチームによって復活。
コーチのルーク・イーガンが牽引するジェットスキーによる海でのテストの後、メルボルンのウェーブプール「UrbnSurf」で2020年2月27日に本番が行われた。
今回の近代的ボードスライドは、「Red Bull」、オーストラリアの映像製作会社「Hype」の協力で行われ、テクニカルアドバイザーを務めたプロフォトグラファーのアンディ・グリーンが撮影した。
ジュリアンとチームが考えたレールは水に浮かぶフローティングボックスと呼ばれるもの。
当然、波の動きで激しく揺れるためにボードスライドは非常に難しいが、子供の頃からスケートボードを愛し、ツアーの最中も常に’マイボード’を持参してこっそりとスケートパークに忍び込んでいるジュリアンにとっては、困難を極めながらも、非常にやりがいのある挑戦だった。
今回のボードスライドがCTで採用されることはないだろうが、世界中に建設されているウェーブプールでこのようなスケートボードスタイルのサーフィンが人気になる可能性はある。
サーフィンとスケートボードが連携していることは多くのサーファーが認めているのだから。
(空海)