世界のロングブレイクとその攻略法 photo : media.newzealand.com
シリーズ「サーフトリップのすすめ」No. 1
何百メートルも続く『長い波』に乗ったことありますか?カービングターンを駆使して走っても走っても続くロングウォール。そのような膝がガクガクする波は日本には少ないけれど、海外には『長い波』ってけっこうあるんです。サーフィンが上手くなりたかったら『長い波』が特効薬です。トム・カレンの美しくスタイリッシュなターンもあの長いリンコンの波で練習したからだと言われていますね。『長い波』は何度もターンが試せますからたった一本乗っただけでもサーフィンが上手くなったことを実感します。ビーチブレイクでワンアクションするだけがサーフィンじゃあありませんよ。オーバーヘッドの波でターンが決まるようになってきたら貯金をかきあつめて外国を目指し膝がガクガクするほどの『長い波』を味わってみましょう。一生の思い出になりますよ。というわけで比較的ファンで安全な世界のロングブレイクを3つ紹介いたします。
パボネス コスタリカ
ブレイク:レフト
距離:300m~1000m
海底:玉石、砂
パワー:ファン
波の確率:80%(1年で150日)
ベストシーズン:3月から10月
膝ガクガク度(最高☆5):☆☆☆☆☆
コスタリカの首都サンホセから車で8時間。中南米の暖かい海とジャングルそしてラテンの文化が好きな人にはパボネスは最高のデスティネーションです。気温は1年を通じて28~30℃とサーフトランクスと日焼け止めクリームだけで大丈夫なぐらいですね。この波はトーマス・キャンベルの映画 Sproutにも登場しますね。このコスタリカの大自然にある『長い波』パボネスは現代社会から隔絶した場所でショッピングモールもATMもありません。だから地球上に残された数少ないサーファーズパラダイスの一つと言われています。ちなみにコスタリカは中南米でも治安の良い国としても知られています。
マウイのロビー・ナッシュが パボネスにてSUPでロングディスタンスに挑戦し1000m!!を達成した映像です。
リンコン カリフォルニア
ブレイク:ライト
距離:100m~500m以上
海底:玉石、砂
パワー:究極のファンウェーブ
波の確率:50%(ウインタースゥエルのみ)
ベストシーズン:11月から3月
ウェットスーツ:フル、ブーツ、グローブ、キャップ
膝ガクガク度:☆☆☆☆
LA国際空港から車で北に2時間。ベンチュラとサンタバーバラの間にその『女王』と呼ばれる長いライトブレイク、リンコンがあります。国道101沿いから丸見えだから場所を探すこともないし駐車場も無料。今回紹介するサーフブレイクでは一番アクセスが楽だといえるでしょう。ただしこの波を当てるにはちょっとした準備と幸運が必要です。まずこのサーフポイントにはノースかノースウエストのスウェルしかヒットせず、しかもチャンネル海峡の奥にポイントがあるために大きなスゥエルしか届きません。つまり北半球が冬でハワイへ大きな波が押し寄せたときがチャンスですね。届き始めると数日続くことがあります。しかしながらあまりに有名なリンコンですから、波がブレイクするとカリフォルニアのサーファーが集結するために混雑は鉄板です。しかしテイクオフがイージーで一本の波で200メートルくらいはサーフできますから、数本乗るだけでも満足度は高いといえます。アフターサーフィンも充実していてベンチュラにはパタゴニアの本店があるし、サンタバーバラへ行けばチャンネルアイランドやイエーターサーフボードの店があります。
チャンネルアイランド時代にケリーがリンコンの小波で遊んだフッテージです。
いかにも冬のリンコンという感じのフッテージ。ハワイの波が大きくなるとその波がここまで届きます。
ラグラン・マヌベイ ニュージーランド
ブレイク:レフト
距離:100m~500m以上
海底:岩
パワー:パワフル
波の確率:70%
ベストシーズン:11月から3月
ウェットスーツ:フル、ブーツ、
膝ガクガク度:☆☆☆☆☆
オークランド空港から車で2時間。マヌベイはラグランにある4つのサーフブレイクのうちの1つです。ニュージーランドはオーストラリアに気候が似ていて過ごしやすいです。ただ水は冷たくフルスーツが必要なことと海底が岩ですから怪我をしないためにもブーツをお勧めします。ラグランはニュージーランドの美しい大自然に囲まれていますが、住宅も多く人里離れた場所というわけではありません。レイドバックした土地の雰囲気がありナチュラル志向のサーファーにはお勧めの場所です。バックパッカータイプから高級ホテルまでさまざまな宿泊施設があります。
サーフポイント『長い波』での攻略と裏技
さて今回選んだ3つの『長い波』はどれも世界でも知られたサーフブレイクで波が良くなれば混雑は必至です。しかし混雑が逆にビジターにとっては有利に働く場合もあります。それはローカルサーファーにあまり気を使わなくて済むことなんです。サーファーがどんどんパドルアウトしてくるから誰がロコでビジターかなんて区別できない状態になります。そうなったら良い波を良いポジションから乗った人の勝ちですね。さらに『長い波』には『長い波』の乗り方や波をゲットする攻略法がありますからそれをいくつかアドバイスさせていただきます。
1.カレントにあまり逆らわない
『長い波』はよく強いカレントが発生します。沖のピークからインサイドに向かって流れます。その強い流れに逆らってパドルし続けるとあっという間に体力を消耗しますから、ある程度は流されながら各セクションのブレイクの様子を見てインサイドで岸に上がり、歩いてファーストブレイクへ向かいパドルアウトします。その繰り返しでパドル力を温存します。(すべての『長い波』であてはまるということはありません)
2.とつぜんのチャンスを逃さない
波が良くなりサーファーが集結すると下手くそなサーファーが増えるのも『長い波』の特徴です。奥のサーファーに波を譲ったらその人がパーリングしたり早いセクションで捕まったりと「あ〜行っとけば良かった」なんて思うことがよく起こります(経験上)。その逃した獲物は大きいですよ。だから、もしサーファーが奥から波に乗ってきていてもテイクオフのチャンスがある限りはその人が目の前を通り過ぎるまでそのチャンスを自ら捨てないことが肝心です。テイクオフゾーンが広いのも『長い波』の特徴ですから「あいつスープに捕まりそうだな」と思ったらとりあえずテイクオフの準備だけはしておくのも方法です。(混雑してもドロップインだけはしないように注意しよう。トラブルが起きても責任はもてませんよ〜でも混雑していると誰が誰だかわからないことが多いからね〜臨機応変で〜)
3.ラウンドハウスカットバックはしない
早いセクションを抜けて、気持ち良くカットバックを決めたくなっても、『長い波』ではその気持ちを抑えたほうが無難な場合が多いです。『長い波』では、早いセクションの終わりは次のセクションの始まりを意味しますから大きなカットバックをするとボトムでスープに捕まり失速してしまいます。『長い波』ではハイラインをキープしボトムに降りるときは十分に加速させてからが基本。ふだんビーチブレイクばかりでサーフしていると波に乗ったら何かしなきゃあと焦ってしまうものですが、『長い波』ではとにかく良いポジションでテイクオフすることに集中し、波に乗ったら長く乗ることを心がけ70%くらいのサーフィンで軽く流すくらいが良い結果を生む場合が多いです。とにかく人が多くて集中できなくてもその雰囲気に飲まれないことが『長い波』では肝心です。
(李リョウ)