最近、日本でも感度の高いロガー界隈でじわじわと人気が上がっている「LOG RAP」
ロガーとラップをミックスさせた動画で、InstagramとYouTubeで見ることができる。
もっとマニアックな話になるとSpotifyで「LOG RAP」のレギュラー、カイマナ・タカヤマが「LOG RAP」でプレイリストを公開している。
「LOG RAP」の創設者は、NY出身のライアン・キャノン。
2011年にNYのロングビーチで開催されたCTイベントを見てサーフィンを始めたライアンは、NYの若者らしく、ヒップホップとスニーカーカルチャーに夢中だった。
その後、サンディエゴ州立大学の入学と共にカリフォルニアに移ったライアンは、独特のサーフカルチャーにNYのヒップホップカルチャーをミックスさせた「LOG RAP」を開始。
元々、ロガーではなかったが、インターネットで調べたシングルフィンのロングボードカルチャーと80年代半ば〜90年代半ばのRUN DMCを筆頭としたヒップホップの黄金時代の音との相性が良いと感じて動画を作り続けた。
ロガーのボード上でのウォーキングを含む身体の動かし方とヒップホップのダンスには類似点があるように思える。
ライアンが動画を作る時はサーファーのクリップを編集するよりも、サーファーに合ったビート、ラップの曲を選ぶのに時間を費やしているそうだ。
ビート、トリム、ステップ。
それが「LOG RAP」の動画が気持ち良い要因でもある。
「LOG RAP」を最初に有名にしたのは、2017年、Mos Defの「Auditorium」をBGMに9’9”のシングルフィンをスタイル全開で操るデヴォン・ハワードの動画だろう。
メランコリックなトラックとMos DefとSlick Rickの独特のフローに夕日をバックとしたデヴォンの伝統的なスタイルがピッタリとハマったのだ。
進化する「LOG RAP」
ショートボードと比べるとアンダーグラウンド感があるロングボードの映像の世界で地道に普及してきた「LOG RAP」
InstagramとYouTubeという現代人には欠かせないプラットフォームを利用したのが功を奏したとも言える。
2019年にはカイマナ・タカヤマ、カニエラ・スチュワート、トミー・ウィットなどが出演してアニメーションや、NYのカルチャーもミックスさせた「Log Rap: The Movie」を完成させ、サンディエゴでプレミア上映会を行うまで成長。
2020年には、コロナ禍に世界最高のロガー12人がケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」に召集した『クエルボ・サーフランチ・クラシック』のオフィシャルメディアとして動画を公開した。
2021年はロガーの枠を超えて、ミッドレングス、フィッシュなどの映像も更新されている。
特にNasの「Made You Look」をBGMに使用、ジョエル・チューダー、トッシュ・チューダー、ライアン・バーチなどのカリフォルニアのブラックスでのバレルセッションは、あの名作「ONE CALIFORNIA DAY」に匹敵するようなクオリティだ。
また、公式サイトでは最近「Log Rap」のRUN DMCのロゴをオマージュしたデザインのパーカーやTシャツなどが販売されている。
日本では「Log Rap」出演者でもある瀬筒雄太と丸山”Ryobay”良子のショップYRと、湘南のTHE USA SURFで販売が開始された。
(黒本人志)