photo:RiRyo place:Rincon

波旅の掟、カリフォルニア編(サーフトリップのすすめ)

シリーズ「サーフトリップのすすめ」No. 11

さて、今回の『波旅の掟』はカリフォニア編。カリフォルニアと言っても、この州はとにかく広い。だから、サーフトリップを考えている人は、まずは『ざっくり』と計画を立てるのがおすすめだ。

そこで、ざっくりとお薦めするのが『南カリフォルニア』と呼ばれている地域。ロサンジェルスを中心として、北はサンタバーバラ、南はサンディエゴまでを指す。ちなみにサンディエゴを南下するとメキシコとの国境がある。

黄色い帯で示されている地域が南カリフォルニア(GoogleMap に作画)

さて、その南カリフォルニア。LA空港(ロサンジェルス)もここにある。日本から飛行機に乗れば、ほとんどのサーファーがここから入国し、南カリフォルニアのどこかに散らばるというわけだ。

さてさて、その『南カリフォルニア』、ここも広い。北のサンタバーバラから南のサンディエゴまで、車でフリーウェイを飛ばして、渋滞がなくても5時間くらいはかかる。だからこの南カリフォルニアも、ざっくりと3つに分けて、イメージしやすくする。

南カリフォルニアの拡大図、LA空港を中心にして3つにざっくりと分けるとイメージしやすい(GoogleMapに作画)

南カリフォルニアの、三つのサーフエリア

その3つをざっくりと説明しよう。まずLA空港の周辺だ。地図にL.A.と記してあるところだ。そこにはハンティントンなどのサーフエリアがある。そしてSouth(南)にはサンクレメンテやサンディエゴがある。そしてNorth(北)にはベンチュラやサンタバーバラがある。

マリブやレドンドそしてハンティントンを目指したければLA周辺。トラッセルズやサンオノフレならば南、そしてリンコンやCストリートならば北とイメージすればいい。ちなみに、黄色の帯と帯の間にも、サーフポイントが無数にあるのは言うまでもない。それではそれぞれの地域をもう少し詳しく説明しよう。

リンコンは『南カリフォルニア』の北端に近く、海水はぐっと冷たくなる。シーズンは真冬、南へ1時間ほど下ればサウススェウルのマリブがある Rincon photo: RIRyo

LA空港周辺エリア

LA空港の周囲にはマンハッタン、ハモサ。レドンドというビーチブレイクがある。ちょっと南に行けば、シール、サンセット、ハンティントン、ニューポート、ラグーナというビーチ。悪名高いウェッジはニューポートの南の外れにあるが、怪我をするからサーフィンはしない方がいい。

ベニスビーチがあるサンタモニカもLA空港から近い、マリブは、サンタモニカから少し北へ向かったところにある。LA空港から1号線に入り北を目指せばマリブに行ける。1号線は海沿いだから景色がすごく良い。カリフォルニアの雰囲気を味わいたい人にはお勧めの道だ。

サンクレメンテ、サンディエゴエリア(South)

LA空港周辺のエリアはパスして、ダイレクトに南へ向かうという方法もある。空港から405号線を南へ向い、5号線に合流するとサンクレメンテに着く、ここにはトラッセルズやサンオノフレがある。さらに南下するとスワミース、カーディフがあり、さらに下ると大都市サンディエゴに着く、ここにはラホヤという町がありその周辺にはブラックスやショアーズがある。トラッセルズは駐車場からポイントまでけっこう歩くからそのつもりでいた方がいい。

サンクレメンテはバリバリのサーフシティで、ティミーパターソンやメイヘム、アルバムなど、有名なサーフボードブランドがひしめいている。またサーファーズジャーナルの編集部もこの町にある。ペドロスというタコスの店もありドライブスルーで注文できる。

ベンチュラ、サンタバーバラエリア(North)

このエリアはLA空港からは北。101号線を使えばベンチュラ、サンタバーバラへ最短で行くことができる。しかし先ほども言ったが、海沿いの1号線を使う方法もあり、この道は景色も良い。LA空港から1号線を北上するとサンタモニカからマリブへと通じる。さらに北を目指すとズマやカウンティラインがあり、さらに北へ行くとやがてオクスナードから101号線に合流する。その先がベンチュラだ。ベンチュラにはサーフポイント、カリフォルニアストリート(別名Cストリート)がある。ベンチュラにはベンチュラサーフショップという老舗のサーフショップやパタゴニアの本店がある。

リンコンは、ベンチュラの先にあり、波があれば101号線からサーフィンが見える。サンタバーバラにはアル・メリックやレニー・イェーターの本店がある。サンタバーバラの町周辺にもサーフポイントはあるが、一部をのぞいていま1つだ。

サーフィンシーズン

カリフォルニアはノーススウェルが届く冬がベストシーズンと思っていいだろう。ハワイのノースショアで波が大きいとカリフォルニアも波がある。夏は南半球からのスェウルが届く、これはハワイのサウスショアと同じスウェルだ。さらにサイクロンが発生してサウススウェルを発生することもある。

カリフォルニアのサーフポイントには、ノーススウェルしかヒットしないサーフポイントもある。逆にいえばサウススウェルしかヒットしないポイントもあるということだ。海岸線の向きや、沖に浮かぶ島がスウェルをさえぎってしまうのが理由だ。良い例がマリブとリンコンだろう。マリブは南のスウェル、リンコンは北のスウェルがヒットする。たとえばリンコンでサーフィンをしたければ真冬を狙う、夏は湖のようにフラットだ。

カリフォルニアでは、サーフィンの後に周辺の町を散策しても楽しい。まるで映画のようなシーンに出会えることもある。Santa Barbara Photo:RiRyo

季節と海水温

日本の春と秋のくり返しが、カリフォルニアの気候。空気はドライで過ごしやすいが、夜になると冷える。夏でもフリースやパーカーは必要だ。海水は寒流によって通年で冷たく、日本でいえば東北に近い。南へ下れば海水温もやや温かくなるけど、夏でも3mmフルは必要と思った方がいい。リンコンでサーフするつもりならば、ブーツ&グローブを用意しよう。

波が無いとき

インターネットで調べれば、波の予想は日本にいるときからすでに了解済みかもしれない。しかし、予想よりも波が小さくて、どうしようと思ったときは、『ハンティントンビーチ』がおすすめだ。ここはウェーブマグネットと呼ばれるくらいに、さまざまな方角からのスウェルをキャッチするからだ。

それでも波がしょぼいときは、南カリフォルニアのさらに北にあるピズモビーチやモロ・ベイに行くという選択もある。ただしここは遠いから、ネットでスウェルの波高をよく調べてから決断しよう。海水も冷たいぞ。

グッドウェーブをゲットするには

「もう1日あれば…」「1日早く着いていれば…」サーフトリップは1日でも長く滞在できるように計画をしたい。良い波に出会う確率を増すにはそれしかない。できることならば住んでしまうというのもアリかもしれない。たとえば語学勉強のようなハードルの低い海外留学もある。数週間、いや数ヶ月滞在できれば「グッドウェーブ」は保証されたようなものだ。

例えば、リンコンで良い波を当てるのはなかなか難しい。筆者の経験で考えてみると、冬のシーズンにリンコンで波が良いのは、せいぜい10~15日間くらいじゃないかと思う。長期が無理ならば、短期の旅行を数多くという方法もある。気に入ったサーフポイントへなんども訪れれば、コンデションが読めるようになり、大外し(おおはずし)は減るだろう。

トラブル回避

都会に近いサーフポイントは治安が悪くトラブルも招きやすい。できるならば荷物は宿に置き、軽装でサーフィンに出かけよう。車を駐車するときは周囲の空気をさりげなく読もう。日本に住んでいると治安が良すぎて、それに慣れてしまっているが、アメリカは銃社会だということはお忘れなく。

まとめ

カリフォルニアへ「波」だけを目的で訪れるサーファーは少ない。むしろここに存在するリアルなサーフカルチャーに触れてみたいと願う人のほうが多い。サーファーならば一度は訪れてみたい『メッカ』のような場所、それがカリフォルニアだ。

(李リョウ)

blank

「国内外サーフィン界の最新トレンド・ニュースを読み解く」をコンセプトに、最新サーフィンニュースをお届けします。

この記事に 関連するタグ

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。