Photo: HONEY

豊かな自然をゲストたちと共有。潮風と緑の手作りウッドハウス

World Beach House – 世界のビーチサイドの⾃宅を紹介

フランス・ホセゴーの海のそばで出会った2人が選んだ、広大な土地付きの家。自宅を大改造し、同時に自然豊かな環境を生かしたロッジも建設。これまでに培った経験を基に、住まいを超えた新たな場所となる手作りウッドハウスを紹介。


敷地内の木を家作りに利用。自然と一緒に過ごしていく

ホセゴーのビーチから車で10分ほど内陸へ走る。潮風がまだ届く場所に現れたのは深い緑に覆われた森。その森を構成する細く高い木々の中にある砂道を進むと、急に視界は開け小高い丘が登場する。そこには白壁に木枠という、地元のランド建築を擁した大きな家が建っていた。

コランティンとアントワーヌ夫婦が広大な土地付きの家を購入したのは今から2年前。敷地の広さは6ヘクタールにも及び、小川まで流れている。そこで夫婦は友人のアドバイスを受け、環境を利用したゲストルームを建てることを決意。自分たちで木を切り倒し一部を更地にすると、その倒した木で小さなロッジを作った。それも半年の間に3棟も。

木と白壁のランド地方の伝統的な造りの家。庭には大人数対応のBBQ台が設置されている

さらには人が集まれるスペースと、自宅のリノベーションも同時進行。もちろん友人たちの手を借りての作業だったが、基本はコランティンとアントワーヌの2人。もともとアントワーヌは家具デザイナーのキャリアを持つうえ、7年前から木を使ったサーフボードのシェイプやバイクのカスタムも行っている。デザインも手作業も1人でまかなえるキャパシティが大いに発揮された。それに資材調達も敷地内でまかなえる。

「もともとの素材を生かした色が好き。ナチュラルの中にある自然の色のバリエーションを楽しんでほしいし、楽しみたい。それはロッジも自宅のデザインにも共通していること」

リビングから眺めるプール。その奥の森も敷地の一部というから圧巻

自宅部分はもともと書庫だった場所にキッチンを移し、1階はすべての壁を取り払い、一間続きのリビングに大改造した。

「私はウッドが大好き。リビングの床もそうしたかったけれど、天井とのバランスを考えてコンクリートにした。でもやっぱりウッドが欲しくて、ラグのようにはめ込む形に落とし込んだの」

ソファやアートはそれぞれが持っていた物を持ち寄ったというが、グレーで統一できている

デザインのインスピレーションの源は2人が旅してきた経験。海の近くに住んでしばらく経つが、2人はパリ、リールと都市出身者。それからサーフィンに出合い、様々な国、場所を旅して様々な物や人に出会ってきた。そのアウトプットが自宅と宿泊&イベント施設の『Coco Barn』に表現されている。

「次は小川を利用して森林浴プールを作りたい。来年の夏までが目標だけど、その前に子供が産まれるの。どう影響してくるのかわからないけれど、すごく待ち望んでいたこと。家族形態や自
分たち自身の変化を楽しみながら、この土地でどんどん遊んでいく」。


世界地図をアートの一部に。眺めながら次の旅先を想像している
自宅の隣に併設したアントワーヌのシェイプルーム。フォームにウッドを用いた『DUST Barn』サーフボードを7年前から主宰
もともとキッチンだった場所をダイニングに変更。手作りブランコも加え日常の中にも遊び心をプラス
『Dust Barn』はバイクのカスタムもしている。ゲストハウス&イベントスペース『Coco Barn』の名前の由来はそこから来ている
小川沿いに作られた離れのゲストハウス。2面のガラス張りが、森の中で寝起きしているような感覚に誘う
屋外に設置されたバスタブで夜は星空を眺めながら入浴できる
林の一部をイベントスペースに様変わりさせた。ウェディングパーティのレストランやヨガリトリートの場所として使用している
階段を上がるとベッドルームに。枕の高さに窓が設置され、快適な空間で休みながらも緑の中にいる気分を満喫できる
インテリアに使用している植物も敷地内から調達。スペースが広いので大胆に飾り付けるのがポイント。ハンモックは友人でボルドーを拠点に活躍する編み物作家『Maison Léone』のもの
離れのゲストハウスのシャワールーム。一面ガラス張りと解放的! もちろん水回りも自分たちで施行
ウッド使いもならす部分とあえてそのままの形を残す部分を混ぜている。ベッドシーツやリネン系はフランスのブランド『La cerise sur le gateau』を愛用
一見ブランコのように見えるベッドも、天井からの吊るしは支柱代わり。揺れそうで動かないというギャップ。その遊び心から新しい会話が生まれる
ハシゴの段の部分に長めの木板をはめこみ、ウッドシェルフが完成。壁に飾られた羽、葉のアートも敷地内のものを利用。アートの地産地消だ
洗面台はストーンを採用とナチュラルなもので統一

Photo: Mélanie Bordas Aubies

(Michiko Nagashima)

※HONEY Vol.23より抜粋

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