World Beach House – 世界のビーチサイドの⾃宅を紹介
両親の深い愛情とこだわりが詰まった世界の子供部屋をピックアップ。すべて海沿いのビーチハウスで、両親がサーファーという家ばかり。子供部屋だからといって甘くするのはナンセンス。我が家の参考にしたい事例を2回にわたって紹介します。
#01_裸足主義。センスを育てるウッドキャビン
古くからアーティストに愛され、都会でありながらラベンダーとセージの香りに包まれたヴィンテージミックスな街、エコーパーク。丘の斜面に建てられたメインハウスを抜けると夢のようなプレイグラウンドがパノラマに広がる。プリスクールの先生をしているママのサーシャが「子供らしくいられる場所」として、多忙なママに代わって学校帰りの子供達が安全に遊べる場所としても提供しているそう。木から吊るされたスウィングやペイントだらけのコンクリートめがけて、子供達が靴を脱ぎ捨てて走り回る姿はなんとも微笑ましい光景だ。
長女であるデヴィンちゃんの誕生と共に建てられたウッドプレイハウスは数学の教授をしているパパのハンドメイド。
「キャンプに行った時のワクワク感がするウッドキャビンをずっと作ってあげたくて。80年前の家をリノベートしたときに余ったベイマツをリサイクルして仕上げたんだ」
梁のスペースを使ってアートをデコレーションしたり、チョークボードをはめ込んだりと無駄なくDIYが生かされている。パパの血筋か、サイエンスが大好きという長男のヘンリーくんに、将来アーティストになりたいというデヴィンちゃん。真逆な個性を持つ2人にはコンピューターゲームなどいらない。疲れるまで思いっきり青空の下で遊び、そこにあるモノをクリエイトして想像力を身につけていく。本来の子供の遊びの原点がここにはある。そう遠くないうちに海水を使ったプールを作る予定だそう。“森の中のビーチ“ の完成が待ち遠しい。
Photo & Text:Mimi Wada
#02_モダンとDIYをスタイリングで楽しむ
ファッションスタイリストだったママのセンスが光るキッズルーム。長女ザラちゃんの部屋は温故知新な雰囲気が漂い、アートや人形がいっぱい。年代やスタイルはバラバラなのに、不思議と統一感はとれている。
「子供たちにはいつでもクラフトできる環境を与えたいの」。そんなママの思いが詰まったウォール・オーガナイザーには、多数のクラフト素材が飾られ、しかもクリエイティビティを掻き立てるようにセットアップされている。祖母から受け継いだという年代物のナプキンコレクションも、手作りのタッセルと合わせてフラッグ調に飾ることで、ヴィンテージ感とポップな印象がミックス、なんともイノセントな空間を作り出している。
長男サイオンくんの部屋は、DIYのインテリアが作り出すワイルド且つナチュラルなテイスト。見せるおもちゃと隠すおもちゃを区別し、隠したバスケットとラグの質感を合わせることで部屋に統一感を持たせている。子供部屋ではあまり使われない黒を基調とした配色も、ナチュラルな素材との組み合わせがあるからこそ強すぎず、遊び心をさらに盛り上げてくれる。まさに男の子と女の子がいるママにしか得ることができない、部屋作りの喜びだ。庭に自作のカビーハウス(子供のための小屋)を作るのは親にとっても夢のひとつで、ツリーハウスがウェルカミングしていた。子供たちのキラキラな笑顔を見れば、DIYの大変さなんて簡単に吹っ飛んでしまう。滑り台を軽快に滑り降りる子供たちを優しく見守るママの後ろ姿が、そう語っていた。
Photo:Kate Holmes
(Maki Mukaeda(3 little spirals))
#03_ミニマリスト4 姉妹のシンプルルーム
4姉妹と聞いただけで、部屋はどれほどの数の洋服やシューズが溢れ、何体の人形が飾られているかと想像してしまう……。しかし、オーガニックコットンにこだわった子供服のブランドをプロデュースするママの自宅は、究極にシンプルだった。インテリアのコンセプトは“ホーミーな心地よさと素朴さ”である。シュタイナー学校(自由教育の象徴であり、日本でも知識偏重の受験教育に対する代替として支持を集めている)に通う長女ココちゃんと次女オータムちゃんは、クラフトの時間に作ったフェルトのティアラや首飾りを大切に持ち帰り、三女ジュニパーちゃんにプレゼントしている。おもちゃを含めすべてのモノを最小限に絞り、しかもそれらは素材にこだわっている。モノを大切にする気持ちや、壊れたら修復するという重要ながらも忘れがちな過程を、実践することで子供たちに伝えているのだ。
バックヤードではニワトリと駆け回り、パパイヤやパッションフルーツなどのトロピカルフルーツを収穫する。その場にラグを広げ、採りたてのフレッシュフルーツでガールズ・ティーパーティを楽しむこともしばしば。たくさんの時間を野外で過ごす、オーストラリアン・カルチャーともいえるスタイルだ。
パパがプロのボディボーダーだけに、上3人の娘たちもビーチが大好き。ピンクのボードケースからは、最近新調したというサーフボードが顔を出していた。姉妹でボードをシェアし、波に乗るというストークを味わうそうだ。シンプルでありながらも、自由なビーチライフがそこにあった。
Photo:Kate Holmes
(Maki Mukaeda(3 little spirals))
※HONEY Vol.13より抜粋