両親の深い愛情とこだわりが詰まった世界の子供部屋をピックアップ。すべて海沿いのビーチハウスで、両親がサーファーという家ばかり。子供部屋だからといって甘くするのはナンセンス。我が家の参考にしたい事例を2回にわたって紹介します。
#04_旅するファミリーの憩いの空間
一年のうち約7ヶ月間を家族全員で旅するスーパーアクティブ・ファミリー。それもそのはず、パパはASPツアーをフォローするプロとして活躍していたキーレン・ペロー。現役を引退した今もコンテストのコミッショナーとして活躍しているため、当時と変わらないスケジュールで世界を飛び回っている。そんなホテル暮らしが続くトラベルファミリーの自宅はとにかく広く、すっきりと片付いている。子供部屋も然り。収納にとことんこだわり、おもちゃなどは手が届く場所にありながらも見えない工夫が施されていた。部屋にはセンスのいい木製のおもちゃが、デコレーション程度に飾られている。
子供専用の大きなラウンジルームを挟んで、長男トシュくんと長女フランキーちゃんの部屋が隣り合わせに配置されている。「12歳の男の子と6歳の女の子では遊ぶモノも、友達も全くバラバラ。2人の希望に合わせて部屋をレイアウトし、リビングは大勢の友達が集まっても遊べるようにリノベーションした」とママ。
旅に出て、友達と会えなかった時間を取り戻すように遊ぶ子供たち。授業にも遅れないよう家庭教師を雇い、一生懸命勉強している。「モノが少ないと執着心に捉われない。だから旅にも出やすいし、戻ってもきやすい」。本物のシンプルとは何かを悟ったような言葉だ。季節がよくなると下校時間と同時に、ガーデンやプールはキッズでいっぱいになる。大きなパンダナスの木の横には子供たちがくつろぐキャナピーが置かれた、憧れのビーチハウスである。
Photo:Kate Holmes
(Maki Mukaeda(3 little spirals))
#05_限られた空間をユーモア&アートに活用
6畳もないだろう。10歳を超えた男の子、女の子のキッズ2人が過ごす部屋にしては十分な広さとは思えない。さらに2人が習っている電子ピアノやギターなどを含め、置いてあるモノもかなり多い。それなのに温かく居心地のよい空気が、このキッズルームには漂っている。
「ベッドの配置を工夫して、間を棚で仕切る。同じ部屋でもプライベートなスペースを作ったの」と教えてくれたのは2人のママ。ママはアクセサリー作家Maison Monikとして知られ、周りの友達も自然とクリエイターが多い。棚に貼られたTOM、JOAという名前をマスキングテープで形作り、互いの陣地をユーモラスに表現する手法も仲間からのアイデアだ。このテープが部屋全体のアイキャッチとなり、ポップでクリエイティブな雰囲気を演出している。
よく見ると家具という家具がこの部屋にはない。ピアノ台にしているのは木箱。その中には本を収納するという一石二鳥ぶりも発揮。トムの陣地の壁に打ち付けられた小物台はスケートボード。ママがパートナーのファーストデッキを再利用してつくった。子供2人が寝るベッドはパレットと呼ばれる簀の子にマットレスを敷いて完成。ちなみにこのマットレスは家族でトリップに行くとき、愛車のフォルクスワーゲンのバンに積み込み、車内ベッドに変形させるなど多方面に大活躍している。
Photo:Melanie Bordas Aubies
(text:Michiko Nagashima)
#06_サーファーママが幼かった頃の夢を実現
“小さなサーファーの部屋”がテーマというナタンくん1歳のキッズルーム。1歳ですでに自分の部屋があるというのはうらやましい話だが、フランスでは生まれる前から両親が子供部屋を用意するのは一般的。とはいえナタンくんの部屋にはサーフボード、ラッシュガード、ティピなど大人から見てもテンションの上がる遊び道具が満載。部屋の色調はモノトーン+差し色に青、といった具合でよくあるカラフルなキッズルームとは一線を画している。まさに大人サーフルームのミニチュア版だ。
「この部屋は私たちらしさがよく出ているの。旦那もインテリアを考えるのが好きで2人でナタンの部屋を作っているけど、最終決定権は私かな(笑)」。そう話すママ、ステファニーは“ママサーファーのライフスタイル”を日々アップする人気ブロガー&インスタグラマーでもある。「一番こだわって選んだアイテムはDenise et Rachelのティピ。ティピは私が小さい頃、自分の部屋に欲しかったものなの! やっと夢が叶ったわ」。
インテリアはサーファー仲間が作るブランドからや、隣街ビアリッツにある行きつけのショップやサイトで購入。たくさん揃えられた宝物の中、今のところつたい歩きを始めたナタンくんのお気に入りは赤いクルマ。「彼の部屋だけど、今は私たちの好みが強く出ている。今後は成長に合わせて、一緒に部屋作りをしていくのが楽しみよ」。数年後のママサーファーは、きっと“サーファーのママ” にもなっているだろう。
Photo:Bon Potier
(text:Michiko Nagashima)
※HONEY Vol.13より抜粋