『あっあぶない!』と叫んでしまうことがよくある。ビッグウェーブにチャージするサーファーよりも、むしろ小波でサーフするビギナーを見ていて感じることが多い。意外なところに海の危険は潜んでいる。サーフィン中に遅かれ早かれ経験する3つの危険を知っておき、事故を最小限に食い止めよう。
1.ショアブレイクは危険がいっぱい
『海に背中を見せるな』ハワイアンが、ショアブレイクで遊ぶ子供たちに教える言葉。海ではいかなるときも水平線の方へ注意を向ける、という意味。ショアブレイク(波打ち際)は一番危険が潜んでいる。波が小さい日でも、ショアブレイクは波のパワーが凝縮されて一気にブレイクする。しかも水深はほぼゼロ。サーフボードが折れるアクシデントもこのショアブレイクで起こることが多い。サーフボードが顔にヒットする事故もショアブレイクでよく起きる。
パドルアウト(海へ向かう)やパドルイン(陸に戻る)のときは、波打ち際をよく観察し波の動きを予測してショアブレイクを乗り越えよう。サーフボードは両手でしっかりと握り、そしてけっして海には背中を見せないように。
2.『あっ刺さった』と思ったら…
『パーリング』はテイクオフでノーズが海中へと刺さること。パーリングは誰しも経験する。上級者でもやってしまうことがあるこのパーリングは、危険なワイプアウトの1つ。なぜならば空中へとサーフボードが舞い上がって、それが落下してサーファーへヒットしまうからだ。もしノーズの先端やフィンが顔に当たったら大怪我は必至。
パーリングのシチュエーションは必ず決まっている。サーフボードが失速し波のトップからボトムへと落下するときだ。上級者は、条件反射のようにサーフボードをコントロールしてボードを捨てることができる。ボードにできるだけダメージを与えないためだ。しかしビギナーはそこまでの余裕はない。ではどうしたらいいか?1つだけ方法がある。ノーズが海に刺さる瞬間を目撃したときは、サーフボードが100%空中に舞っていると思っていい。だから慌てて海面に顔を出すのは危険だ。波に巻かれて苦しくても、数秒数える余裕を持とう。そして頭を両手でカバーする。それができれば、サーフボードはすでに着水し危険は遠ざかっているはずだ。
3.サーファーの背後でパドルアウトしない
崩れた波『スープ』のパワーは予想以上に強いもの。そこを乗り越えて沖に向かうのは、サーファーに課せられた試練のようなものだ。ダックダイブが上手にできたとしてもサーフボードを保持するのはキツイ。波のパワーが強いときには、サーフボードが手から離れてしまって吹っ飛ばされることも珍しくない。そのとき、背後にサーファーがいたら事故が起こる可能性は高い。上級者はそれを知っているから、サーファーの真後ろでパドルアウトは決してしない。でもビギナーはそれを知らない。
パドルアウトするときは、サーファーの真後ろでパドルしないように注意しよう。また安易にサーフボードを離さないようにもしたい。離さざるをえないときは背後に人がいないか確認しよう。
まとめ
交通規則を知らないで車を運転したらどうなるか?海には危険を示す標識は無い。ビギナーが海のハザードに気づけないのはしかたないけれど、予備知識があれば、事故を未然に防いだり、最小限に抑えることも可能だ。大波でワイプアウトするよりも、ショアブレイクや、空中に舞い上がったサーフボードの方が何倍も危険だということを理解してサーフィンを楽しもう。海の危険は意外なところに潜んでいるからだ。
(李リョウ)
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