シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 22
アレックス・グレイがバックサイドチューブライディングを解剖する。
前回のフロントサイドに続いて今回はバックサイド、英語圏ではこれをピッグドッグというニックネームで呼ぶようだ。
つまり豚犬?語源はオーストラリアで、イノシシ猟で使われる犬ピットブルが由来らしい。
チューブライディングといえばフロントサイド以外に考えられなかったシングルフィンの時代、その収まりの悪いバックサイドの姿を嘲笑した呼び名だったのだろう。しかしこのピッグドッグもテクニックの進化とともに洗練されてハンデとは思われない時代となった。
というわけで今回もアレックス・グレイによるアドバイス。
チューブライディングの総合的なアドバイスはフロントサイド編にまとめてあるから参照されたい。ここではバックサイドバレルに関するアドバイスに止める。
-両肩をスクウェアに保つ
バックサイドでドロップを決めたら、リップの下に潜り込み、次にしなければならないことは出口に向かって体をしっかりとポジショニングすることだ。最善のポジショニング?それは両肩をストリンガーに対して直角に保ちつつラインにセットすること。
「バックサイド・チューブライディングでもっとも重要なことは波に対して両肩をスクウェアにすること」とグレイ。
「リップから滑り落ちてしまう人が多いけど、それは両肩の位置が悪いから、サーフボードのレールに対し両肩をスクウェアに保つと、波の中心に身体を保てることにもなる」
バックサイドバレルの習い始めは、上腕を使ってストールしたりスタビライズしたりするけど、現在、最も進んでいるやり方は太腿やお尻で波のフェイスに座ってストールするのが効果的と言われている。
「バックサイドチューブライディングは何年にも渡って進化してきた。とくに2000年初期までは上腕を後方へ伸ばしてフェイスをドラッグした。でもアイアンズ兄弟やスレーター、そしてドリアンがやり方を変えた。上腕を前方へ向けたんだ。その代わりに尻で波のフェイスに座ってストールしたんだ。」
もし尻でストールできるようになりたかったら次の映像を見てスレーターやジョンジョンのマスタークラスを参考にするといい。
-レールは君の友達
スレーターみたいにノーグラブ・バックサイドでパイプをメイクするのは現実的とはいえない。むしろグラブレールでスタビリティーを保ったり、レールとラインをアジャストするやり方がお勧めだ。
「バックサイドチューブライディングの有利な点はレールを手でグリップできることだ。スタビリティかつセーフティ、さらにボードが滑ってしまうことも抑えられる。クラウドブレークのような長いバレルでCT選手がグラブレールでハイラインを保っているのを見たことがあるだろう。それが好例だ」
-まとめ(筆者より)
チューブライディングは近代サーフィンが生み出したテクニックで、ショートボード革命以後にサーフボードの進化とともに急速に発展した。
歴史的に見ると、パイプラインがパイプラインと呼ばれるようになった1960年代以後にジェリー・ロペスを中心としたサーファーたちが確立したフロントサイドのスタイルは、メディアが大きな影響力を持ったこともあり世界中のサーファーに大きな影響力を与えた。
その後ショーン・トムソンがパイプラインマスターズに勝ちバックサイドでチューブをメイクする可能性を押し広げた。
トライフィン登場後はケリー・スレーターがニーボーダーのようなコンパクトなスタイルでよりディープなバレルを成功させてパイプラインに勝ち、バックサイドが不利であるというそれまでの常識を刷新した。
バレルは試合ではテクニックの一つでしかないかもしれないが、フリーサーフィンでは一種のメディテーションのような行為と表現した方が正しく、他のスポーツと決定的に異なる理由がここにあると言っても過言ではない。
(李リョウ)
Reference : surfline
How to get barreled backside.
Alex Gray dissects proper technique for backside tube riding.