鎌倉で⽣まれ、70 年代湘南のサーフカルチャーを体感しながら独特の感性を磨きカリフォルニアに渡った写真家・⼩尾淳介⽒の写真展『Lifestyle of West Coast ×Isshiki Hayama』が、4月23日から葉山の一式BASEで開催される。
この写真展は、4月23日から5月15日にわたって開催される葉山芸術祭の一環として実施されるもの。初日4月23日の17時からは「⻄海岸カルチャーに学ぶ、葉⼭の暮らし⽅。」をテーマに、葉山出身の写真家・横山泰介氏とのトークショーも行われる予定だ。
⼩尾⽒が切り取る印象的なカリフォルニアの世界観のルーツについて、彼本人が語ったインタビューを紹介。
カリフォルニアと葉⼭、
ファインダーの向こう側に⾒える⾵景。
葉⼭芸術祭の⼀環で写真展を開催することになったきっかけは?
⼀緒にサーフィンやスノーボードをしたりしていた友達の斎藤淳太くんが葉⼭の⼀⾊ BASE を経営していて。葉⼭芸術祭には彼が毎年参加していたんだけど、コロナ禍で2年連続開催できなかった。ようやくまた今年開催できるようになって、ちょうど僕が葉⼭に引っ越してきたということもあって「オビジュンの写真でなんかできないかな?」っていう話から始まったんです。彼は⽣まれも育ちも葉⼭だけど、僕は鎌倉出⾝だから、都内から葉⼭に引っ越してくるのに、いろいろ情報をもらった。結局⼀⾊ BASE のすぐそばに家を建てたんだけどね。
鎌倉がルーツの⼩尾さんが葉⼭に引越したのはどうしてですか?
やっぱり次の世代に何か残してあげたい、という気持ちが強かったんです。⼟地を購⼊してゼロから家を建てたいということで、最適な場所を探し始めた。今回家を建てた葉⼭の⼟地が⾒つかったのは本当に偶然だと思う。タイミングが良かったというか、いろんな要素がうまくいってこの場所と奇跡的に出会えた。「呼ばれた」というのが近いかもしれないね。葉⼭は鎌倉よりちょっと⽥舎でのんびりしているし、今の僕にはとても雰囲気が合うんだよ。何も無理しないでいいのが気に⼊にいっている。
展⽰イベントのトークショーには同じ写真家の横⼭泰介さんも参加されるとのことですね?
泰ちゃんは僕たち2⼈もよく知ってる間柄で、すごく⼤切な先輩なんです。彼も葉⼭に住んでいるしカリフォルニアのこともよく知っているから、せっかくなら対談をしようかって話になって声をかけてみたら快諾してくれました。
写真展は「カリフォルニアと葉⼭の暮らし」がテーマとのことですが、カリフォルニアにはいつごろ住んでいたんですか?
1979 年にカリフォルアに渡って、90 年の⼿前くらいまで 10 年ぐらい住んでいたかな。すぐ上のケンって兄貴がいて先にカリフォルニアに⾏って⾶⾏機学校で先⽣をしていただけど、その頃⾼校を中退した僕も彼を頼ってアメリカ⾏って、セスナのライセンスを取ろうとしたのがきっかけだね。
写真を学びに⾏ったわけじゃないんですね。
そう。カメラを始めたきっかけは最初に通った英語学校にカメラマンの先輩がいたことかな。その⼈と仲良くなって彼がよく仕事をしていた⽇本のメディア向けのコーディネーターカンパニーでバイトを始めたんだ。コマーシャルの撮影隊が来たときにお世話する仕事。主にドライバーとか通訳をやっていたんだけど、その時に撮影っていうものがすごい⾯⽩いなって感じて。いろんな撮影にすべて同⾏していたからね。でも写真学校には⾏ってないよ。UCLA で少しだけ基礎クラス取ったくらい。
ほぼ独学なんですね。
まずはアシスタントついて、⽇本⼈はもちろん、ドイツ⼈やアメリカ⼈のカメラマンなんかもいたっけ。⼤きなコマーシャルのセカンドアシスタントなんかをしながら、⾊々学んだ。今キャノン使っているのは、その時のカメラマンがキャノン使ってたからだよ。
カリフォルニアの印象的な⾵景をたくさん撮影されていますよね?
半分以上は仕事での撮影期間で撮影したものだね。撮影の期間中っていうのは、ずっと写真を撮っている。特にクライアントからオーダーされたわけじゃなくても、そこで僕の感性に触れたものはすべて写真に収めていたんだ。それがいつの間にかたくさんアーカイブされていった。そこに住んでいたから、当然カリフォリニアが被写体になることが多くなったんだよね。
なるほど。⼩尾さんにとってカリフォルニアのイメージってどんな感じですか?
やっぱり光が強い。刺すような光。僕はずっとサーフィンをしているのだけど、海の上のように開けた場所からは、いつも太陽の光に照らされた景⾊がたくさん⾒えるんだ。そういう強い光が作る陰影の中で毎⽇暮らしていると、⽴体感がある⾵景がすごく好きになる。僕の写真は陰影が強いものが多いのだけど、それはそういう理由だね。
ざらついた特徴的なイメージは鎌倉じゃなくて、カリフォルニアの光が関係しているんですね。
そうだね、鎌倉はあまり関係ない。⻘い空とかパームツリーみたいに誰もが思うカリフォルニアのイメージじゃなくて、⻄海岸の強い光が僕の写真のルーツだね。特に⼣⽅の光が好きなんだ。太陽が傾いてくると、どんどん世界がオレンジ⾊になっていく。光の強さも増してくる。横から射す強い光が対象物に当たると陰影がさらに強くなる。その感じが好きなんだ。
ところで写真を撮るとき⼀番⼤事にしているのはどんなことですか?
なによりも、素早く撮る、速く撮るってこと。時間をかけてしまうと⼈や⾵景とかのテンションがどんどん変わっていってしまうから。瞬間的に撮影することによって、テンションとか動作のひとつひとつを撮り逃がさないように、できる限り素早く撮るんです。物事はいつだって⾃分の予測に反して、いろんなことがどんどん移り変わっていく。僕はそういう予測の外側に起きる瞬間を、切り取りたい。なるべく素早く撮ることで、⾒逃していた瞬間が⾃分の⼿に⼊るという状態を作れる。だから瞬間的な集中⼒がとにかく⼤切なんだよ。
今回の展⽰ではどんな写真をチョイスしたんですか?
まずは「部屋に飾ってもいいな」と思えるような写真を選んでいますね。パネルのものと額装してあるものがあるけど、どちらもそのまま部屋に飾れるようになっています。展⽰⾃体は、⼀⾊ BASE という場所は壁が細かく分かれているから、それぞれの壁ごとにカテゴリを分けて写真を編集しています。例えば海のイメージ、砂漠のイメージ、モノクロで撮影したイメージという感じにね。
写真展
Lifestyle of West Coast ×Isshiki Hayama
日時:2022年4⽉23⽇(土)〜5⽉15日(日) 11時〜22時(⼀⾊ BASE 営業時間に準じる)
会場:⼀⾊ BASE 〒240-0116 葉⼭町下⼭⼝1506
⼊場料:来店時に店内メニューより飲⾷のご注⽂をください。
SPECIAL TALK LIVE ⼩尾淳介 x 横⼭泰介
「⻄海岸カルチャーに学ぶ、葉⼭の暮らし⽅。」
日時:4⽉23⽇ 17時〜 (YouTube LIVE 配信予定)
会場:⼀⾊ BOAT HOUSE @⼀⾊海岸
お問い合わせ:(046)876-6588(⼀⾊ BASE) isshikibase@isshikihayama.com
photo by Yoichi Onoda
text by Anna magazine
(THE SURF NEWS編集部)