(2018/10/23 用地内訳を追記)
千葉県木更津市で建設計画があがっていた人工サーフィン施設『サーフランチ』。今年春頃から長らく開発申請が続けられていたが、遂に今月12日、その開発許可が下りた。
THE SURF NEWSが木更津市に対して取材を行った今年6月時点では、今年春頃より開発許可の申請前となる事前協議という段階に入っており、「急ぎの案件」として取り扱われていたものの、なかなか開発申請に進まなかった。
今年7月、「2018年9月着工、2019年12月完成予定の見通し」と報じられたものの、着工予定の9月になってもまだ開発許可が下りず。関係筋によれば、本計画の許可権限者の一つである千葉県において、排水の問題が主な争点になっていたようだが、10月12日になり、その他諸問題も含めてクリアされ、ようやく開発許可に至った。
登録簿上の着工日は10月13日、完了予定は2020年3月31日となっているが、実際にはまだ工事は始まっていない。
木更津市のウェーブプール建設概要
木更津市に建設予定の施設については、Kelly Slater Wave Companyの日本法人となる「ケリー・スレーター・ウェーブ・カンパニー・ジャパン合同会社」が申請主。
ケリー・スレーターが開発したカリフォルニア・レモーのウェーブプールは「サーフランチ」だが、木更津市で申請されている名称は「WSLハイパフォーマンスセンター」という名称で、プロ向けのトレーニング施設となる。イベントや企業向けの利用は想定されているものの、一般利用については、利用料金などを算出すると、ほぼあり得ないとみられている。
建設地は、館山自動車道・木更津北ICのすぐ近くの木更津市笹子地区と袖ヶ浦市滝の口にまたがる約32ヘクタールの用地。このうち、約19ヘクタールがウェーブプールを含む人工サーフィン施設用地となり、残りの約13ヘクタールが森林・緑地などの公共用地に充てられる。
造波装置を備えたウェーブプールを建設するほか、2つのクラブハウスや5000台分の駐車場も併設予定。敷地内に40~100mの井戸を3ヶ所掘り、地下水などでプール用の水をまかなうという。
完成は2020年3月末。オリンピック会場の代替候補となるか
本施設の開発許可が正式におりた現時点で、完成予定は2020年3月。今年7月の報道より3ヶ月遅い結果となった。
開発許可の遅延などにより一時は建設撤退、購入した用地の転売などの可能性も噂されたが、ひとまず建設自体はこのまま進む模様。木更津市によると、通常、この都市計画法第29条に基づく開発許可が下りた場合、建設見送りなどされることはあまりないという。
2020年東京オリンピックの会場は、既に同県一宮町の釣ヶ崎海岸に決定しているが、本施設を五輪会場の代替候補として推し進めるのではないかとの見方もある。ただし世界的にみてもウェーブプールの建設は、計画の遅延例が後を絶たない。予定通り2020年3月末までの完成となるか。引き続き注目したい。
(THE SURF NEWS編集部)
■人工サーフィン施設『サーフランチ』とは
この『Surf Ranch(サーフランチ)』と名づけられた人工サーフィン施設は、11Xワールドチャンピオンのケリー・スレーターが開発したウェーブプール。
既にこの第1号がカリフォルニアのレモーにあり、2016年12月の完成後しばらく情報公開されない時期が続いたが、今年になりWSL[ワールド・サーフ・リーグ]が2つの一般公開イベントを実施。
5月には『Founders’ Cup of Surfing』、9月には初めてのCT[チャンピオンシップツアー]戦『Surf Ranch Pro』が行われた。