ミネソタ・スペリオル湖、ジェリー・ロペスも登場したオレゴン・デシューツ川、イギリス・セヴァーン川と続いた(他にモンタナ・アイダホのリバーサーフィンもある)世界中の変な波にフリーサーファーのディラン・グレイヴスがトライするVANSのYouTubeチャンネル、「Weird Waves」のシーズン1、最終話が公開。
シーズン1を締めくくる舞台となったのは、ドイツ南部の都市、ミュンヘンにあるアイスバッハ川。
リバーサーフィン発祥の地と言われているこの川。
実は2018年の夏、品川大井町にオープンした人工サーフィン施設「citywave Tokyo」のルーツにもなっているのだ。
今回はディランの他にVANSのチームライダー、タナー・グダスカスとスペイン・バスク地方のキッズ、ケオ二・ラサが参加。
案内役はローカルプロのタオ・シューマッハ。
リバーサーフィン発祥の地で都市の人口が多いだけに過去に紹介した川と比べて圧倒的にサーファーが多く、常に順番待ちをしている状態。
まずはローカルのタオによる説明を受けるディラン。
川の両サイドで順番を待ち、サーファーがワイプアウトしたタイミングでジャンプインする。
一人が波に乗る時間は大体20〜40秒。たまに長く波に乗り過ぎているサーファーがいるとドロップインして波を奪う場合もあるそうだ。
「強いローカリズムがあるよ!」とタオは冗談半分で話す。
そのタオはこの川で初めて「360 ショートビット」をメイク。
オンラインビデオコンテストで優勝経験もある。
以下がその時の動画。
もちろん、このストーリー中もタオのサーフィンシーンがあるが、誰よりも刺激的だ。
タオはこの川でサーフィンしているだけではなく、2008年にブルガリの金の指輪を発見以来、川に潜って宝物探しをしている。
ダイヤモンド入りのハートのペンダント、おもちゃのガン、結婚指輪、車の鍵、携帯電話、時計、カメラなど、この川に沈んでいた物をウェブサイトに並べて公開。
それはヨーロッパが持つ古い歴史があいまって芸術的でもある。
このシリーズで乗ってきたどの波とも違うアイスバッハ川のリバーサーフィンはプロサーファーでさえも最初は難しい。
タオのアドバイスで小さめのフィンに変えたディランは一番最初のエントリーで失敗して流されてしまう。
タナー・グダスカスも波に慣れるまで時間がかかったようだ。
「かなり難しい。本当に余裕がない感じかな。ちょっと閉所恐怖症のようになる。そうだな〜二つの壁に挟まれた気持ち。でも、最高だよ」
とディランの最初の感想。
ローカルによるとこの川で本格的にリバーサーフィンが始まったのは1986年頃。
タオと並ぶヘビーローカルのクウィリン・ローリーダーが15歳の時にボディーボードをここで始め、サーフィンに移行。
半年で他の誰よりも上手くなり、長年この波を愛している。
ディランが’スムースオペレーター’と称するようにクウィリンは誰よりも美しくこの川でサーフィンする。
海が近くにないドイツ南部で毎日サーフィンが楽しめる理想的なライフスタイルを手に入れたこの街のサーファー。
今でこそ、この川のことは世界中に知れ渡っているが、以前は秩序を守るためにカメラを奪い取って川に沈められたこともあったそうだ…。
昼間は常に混雑しているこのブレイクを貸し切りにするために雨の23時にライトをセットアップしてナイトリバーサーフィンをした一行。
ブレイクの真上にある橋から光を照らせば昼間と変わらず、ローカル達との最後のセッションを満喫。
川で冷やしたビールを片手にドイツ語で乾杯(prost・プロスト)!
静かに夜は更けていった…。
今回のシリーズでホスト役を務めたディラン・グレイヴスはフロリダ生まれでプエルトリコ育ち。
両親はサーフィンをするためにプエルトリコに移住をしてディラン自身は23歳でカリフォルニアに引っ越し、現在はサンクレメンテ在住。
フリーサーファーとして活動している。
好評だった「Weird Waves」は各方面の海で失われつつあるサーフィンカルチャーの側面にスポットを当て、思わぬ場所で波に乗る興奮を味わっている人々がいることを紹介。
当初、各エピソード5〜8分の長さで予定していたが、興味深いキャラクターや場面が多く、結局11〜15分前後まで延長された。
シリーズの中で最も気に入った場所はイギリス・セヴァーン川で、潮の満ち引きによって生まれる波とそこでサーフィンする人々の情熱に感銘を受けたそうだ。
「Weird Waves」はシーズン2も予定されている。
変わった波と共にそこでサーフィンする魅力的な人達にも注目したい。
(黒本人志)