オーストラリアを代表するトップシェイパーであるグレッグ・ウェバー。かつてはタジ・バロウのメインシェイパーを務めていた事もあります。
近年では、ケリー・スレーターが自身のボードブランド「スレーターデザインズ」を立ち上げた際に発表した第1弾モデルの一つにウェバーデザインが採用。
経歴が示す通り、シェイパーとしてトップ中のトップと言えるウェバーですが、ウェバーの夢はシェイプだけに留まらず、サーファー向けウェイブプールのクリエイトまで。
過去にはケリーとウェイブプールの特許権争いなども話題となり、近年は「ウェバーのウェイブプールが完成間近!」とニュースになる事も度々ありますが実現には至らず。
そんな最中、ウェバーが新たなコンセプトの人工リーフを完成させたとのニュースが飛び込んできました。
通常の人工リーフというと海底に埋め込むタイプですが、ニューコンセプトということで、埋め込みタイプではなく、どの海にも設置可能というのがウェバーリーフ(Webber Reefs)。
ウェバーが今回発表したのは、Vウォール(移動可能堤防)とVリーフ(浮遊式リーフ)の二つで、すでに特許取得済みとのこと。
いずれもコンセプトとしては「V」という言葉の通り、V字型の人工物を海に設置することで、スウェルの向きを人工的に変えてパーフェクトウェイブを発生させるというもの。
Vウォールは、V字型の堤防のようなもので、波がブレイクするラインナップのアウト側に同ウォール先端または末端を固定させて設置します。
両端を固定させない理由としては、スウェルの向きは刻一刻と変わるので、向きに合わせてウォールの位置を調整可能にするため。
50メートルほどのベースモデルとなる同ウォールは10万ドル~というローコストで造ることが可能だそうです。
Vリーフもウォールとほぼ似たようなコンセプトですが、波質を変える以外の点も考慮したラグジュアリー版といったところ。
第一の理由として、同リーフはシャークアタック予防として、波がブレイクするエリア内をシャークネットで囲み、そのシャークネットからはサメが逃げ出す周波数も発生させると言う万全な安全対策を施しています。
もう一点の理由としては、同リーフには照明システムを完備することで、ナイトサーフィンさえも可能にするとのこと。
さて、額面通りに受け取れば、サーフィン不可能なビーチであってもサーフィン可能なブレイクに変貌可能と思えるウェバーリーフ。
この手の人工リーフはこれまでにも話題に上がることは多々あり、かつてのウェイブプールのように発展途上であり成功事例を見た記憶がないのですが、期待はしてしまいます。
ただし、メリットを享受するのはサーファーのみであり、海洋生態系への影響も考えられることから、実際の設置許可が下りるのかどうかが難しいところ。
最後に、すでにウェバーはオーストラリア各州やカリフォルニアなどへと販売を開始していて、初となる設置場所になる可能性が高いのは日本の千葉県とも報じられています。
All Photos by Webber Reefs
参照記事「Greg Webber announces new concept for artificial ocean waves|SurferToday」