「フリーサーファー」という職業は言葉と反して決して楽な仕事ではない。
まず才能ありき、環境や生まれた国にも大きく左右される。
サーフィンマーケットの分母が大きいアメリカ、オーストラリア、ハワイでは「フリーサーファー」として成功しているサーファーもいるが、日本でその職業を主として生活しているサーファーはほとんどいない。
「フリーサーファー」の収入は主にスポンサーや出演したサーフムービー、映像コンテストなどの賞金。
特にビッグウェーブの世界はコンテスト自体が少ないため、映像コンテストでの収入は大きい。
世界最大の波情報サイト「Surfline」が主催する映像コンテスト『O’Neill Wave of the Winter』はその中の一つ。
2017年11月1日〜2018年2月28日の期間、オアフ島・ノースショア、主にパイプラインとバックドアのバレルライドが対象で、各月のトップを決めた後に総合優勝を決める。
各月のトップに送られる賞金はUS1,000ドル(日本円にして約106,000円)と少ないが、総合優勝にはUS25,000ドル(日本円にして約265万円)と十分な賞金が用意されているのだ。
今年のノースショアは今のところ1月中旬の『Da Hui Backdoor Shootout』の開催中が最も波が良く、1月の『O’Neill Wave of the Winter』のトップ5に選ばれた映像もこの期間に集中。
JOBことジェイミー・オブライエン
ネイザン・フローレンス(ジョン・ジョンの弟)
オラマナ・エレオグラム
カラ・グレース
松岡慧斗
以上のベスト5から一般のWeb投票によって松岡慧斗が半数以上の票を獲得。
1月の『O’Neill Wave of the Winter』でトップに立った。
松岡慧斗の映像は日本有数のサーフィンカメラマン、木本直哉氏によって撮影された『Da Hui Backdoor Shootout』の最中に乗ったパイプライン。
イベントのハイエストスコアとなった11ポイントのクレイジーなバレルだ。
すでに決まっている11月、12月の『O’Neill Wave of the Winter』はアメリカ東海岸出身のブレット・バーリーが獲得。
その時期のノースショアの波は不安定だったため、松岡慧斗の映像の方が評価は高い。
まだ2月が残されているが、例年通りだとスウェルのピークは過ぎるため、松岡慧斗が総合優勝を決める可能性が十分にある。
2017年JPSAフル参戦でランキング10位。
彼を「フリーサーファー」と呼べるかは判断が難しいが、ケリー・スレーターやJOBも獲得した『O’Neill Wave of the Winter』を手に入れることになれば、他の日本人サーファーにとってもチャンスは広がることだろう。
『Keito Matsuoka Wins January O’Neill Wave of the Winter』
(空海)