世界的に大きなニュースとして報じられている香港での逃亡犯条例改正に反対する100万人以上参加という大規模なデモ活動。
同ニュースを知らない方はいないくらい、日本国内でも大々的に報じられていますが、この件に今年9月に宮崎で行われた世界選手権「ISAワールドサーフィンゲームス」や「USオープン」など、数々のサーフコンテストをサポートしている「Vans(ヴァンズ)」が巻き込まれることに。
香港デモを描いたスニーカーがデザインコンテストから除外
事の発端は、VANSが行っていた「Global Custom Culture」というシューズデザインコンテスト。
同コンテストは、スニーカーのデザイン案を公募し、オンライン投票の結果、Top10がカスタムシューズを制作、さらにTop3が賞金をもらえるという企画。世界中からアーティストやクリエイターなど計10万人以上が参加していて、10月1日から13日にかけて、一般参加による投票が行われました。
その結果、トップ投票の一つとなった作品に、香港デモ活動の象徴である黄色い傘、ヘルメット、マスク、ゴーグルが描写されていたことから、VANSは同作品をコンペティションから除外することに。
その対応に関し少数ながらも香港人が「言論統制ではないか」との声を上げ、その中に含まれていた卸売業者が今後はVANS商品を卸さないと発言するほどの事態に発展。
一方、香港とは反対の立場にある中国では、VANSの対応をSNSで称賛したりと、VANSとしては板挟みの状況に陥っているとか。
対するVANSの公式声明
VANSにとって香港と中国の市場規模は大きく、2024年までの成長戦略において重要なパートを担うと見なしています。
具体的な数字としては、APAC(アジア太平洋)でのビジネスがVANSの総収入の18%を占めるEMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)と同等になると見込んでいて、2024年にはグローバルでの収入が60億ドルと予測。
そんな矢先での今回の騒動とあり、VANSは釈明として公式声明を発表。
弊社がコンペティションを行った目的は、世界中のアーティストによるクリエイティブな表現に特化しています。 誰に対してもオープンであるがため、政治的にどちらかの立場に立つと言う行動は決してしないよう、一部作品は除外することにしました。
VANSとしては公平な道を選んだものの、時期が時期であったため、あわや巻き込まれる形となった今回の一件。
このタイミングにして、アーティストが香港デモの象徴をデザインに取り入れ、そのデザイン案がトップ投票の一つになったという事で、アーティスト及び投票者がコンペティションを利用した可能性もあるのではと感じてしまいます。
一般投票は公平なように思えるものの、今回のような100万人以上の規模のデモ参加者に投票を訴えかければ、投票をコントロールすることも難しくはないはずですし。
真相は定かではないのですが、もしもコントロールされ、ヴァンズが利用されたのであれば悲しくも感じます。
参照記事:Vans Get Caught in Hong Kong/China Crosshairs| Shop-Eat-Surf